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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】テクマトリックスは強基調を確認、中期成長力を評価して14年8月戻り高値目指す
- 2015/4/8 07:10
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
情報サービス事業のテクマトリックス<3762>(東1)の株価は、3月23日の年初来高値738円から利益確定売りや3月期末配当権利落ちで一旦反落したが、27日の660円から切り返しの動きを強めている。強基調を確認した形であり、中期成長力を評価して14年8月の戻り高値781円を目指す展開だろう。なお5月8日に15年3月期決算発表を予定している。
ネットワーク・セキュリティ関連のハードウェアを販売する情報基盤事業、医療・CRM・EC・金融を重点分野としてシステム受託開発やクラウドサービスを提供するアプリケーション・サービス事業を展開している。
重点戦略として、ストック型ビジネスの保守・運用・監視サービス関連の戦略的拡大、クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進、ネットワーク・セキュリティ関連商材およびサービスの充実、ビッグデータ分析支援サービス、大規模EC事業者向けバックオフィスシステム構築ソリューション「楽楽ECインテグレーションサービス」などを強化している。
中期成長に向けてM&A・アライアンスを積極活用するとともに、グループ再編も推進している。14年2月に子会社の沖縄クロス・ヘッドが台湾のデータセンター事業者eASPNetと事業協力についての覚書締結、14年3月にクロス・ヘッドを完全子会社化した。
14年7月には日本事務器(NJC)と医療情報クラウドサービス「NOBORI」に関する販売代理店契約を締結、14年8月には沖縄クロス・ヘッドが日本ヒューレットパッカード(日本HP)と業務提携、14年10月にはクロス・ヘッドが仮想化技術の米Pica8(ピカエイト)社に出資、ソフトバンクテレコムなどと3社共同でクラウド型医療情報サービス「地域健康・医療情報プラットフォームサービス(HeLIP)」の提供を開始した。
14年12月にはクロス・ヘッドがエヌ・シー・エル・コミュニケーションの株式を追加取得して完全子会社化し、15年4月1日付で合併した。ネットワーク仮想化技術であるSDN市場の本格成長が期待されているため、合併によって技術力強化や業務効率化を推進する。
3月9日には子会社カサレアルがJetBrains社(チェコ)とトレーニングパートナー契約を締結し、サムライズム(東京都)とJetBrains社製品を利用した研修に関する業務提携を開始した。3月23日にはスリーゼット(東京都)に対して医療情報クラウドサービス「NOBORI」を、クリニックを対象としてOEM提供する契約の締結を発表した。
なお医療分野では、オンプレミス型(ユーザーがハードウェア、ソフトウェア、データを自分自身で保有・管理)システム提供から、クラウド型(ユーザーがインターネット経由で利用)サービス提供へビジネスモデル変更を推進しているため、14年3月期から医療情報クラウドサービスの売上と利益をサービス期間に応じて按分計上する方法に変更した。このため今後複数年に亘って売上と利益にマイナス影響となるが、他事業の成長でカバーする方針としている。
前期(15年3月期)の連結業績見通し(1月30日、本社移転に伴う原状回復費用の特別損失計上に伴い、純利益を80百万円減額修正)は、売上高が前々期比5.5%増の183億円、営業利益が同3.7%増の11億60百万円、経常利益が同0.4%減の11億60百万円、純利益が同21.8%減の6億20百万円、そして配当予想が前々期と同額の年間15円(期末一括)としている。
ストック型ビジネスの戦略的拡大に向けて人件費が増加するが、情報基盤事業でサイバー攻撃に対応した次世代ファイアウォール製品、アプリケーション・サービス事業で医療分野のクラウドサービスなどが好調に推移して増収、営業増益見通しだ。
第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比6.5%増収、同11.1%営業減益、同15.1%経常減益、同50.4%最終減益だった。ストック型ビジネスの戦略的拡大に向けた人件費の増加、法人税等調整額計上の一巡、本社移転に伴う原状回復費用の特別損失計上などで減益だったが、売上面ではクラウドサービスなどのストック型ビジネスが順調に拡大した。
なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)39億49百万円、第2四半期(7月~9月)46億55百万円、第3四半期(10月~12月)43億75百万円、営業利益は第1四半期63百万円、第2四半期2億87百万円、第3四半期1億92百万円だった。
通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が70.9%、営業利益が46.7%、経常利益が45.4%、純利益が37.9%と低水準だが、第4四半期(1月~3月)の構成比が高い収益構造のため挽回が期待される。
また来期(16年3月期)は大型案件の寄与に加えて、ストック型ビジネスの戦略的拡大に向けた先行投資費用の一巡などで好業績が期待される。
株価の動きを見ると、マイナンバー制度やセキュリティ関連を材料視した3月23日の年初来高値738円から利益確定売りで一旦反落したが、27日の660円から切り返しの動きを強めている。自律調整が一巡した形だろう。
4月7日の終値683円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS51円24銭で算出)は13~14倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は2.2%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS513円07銭で算出)は1.3倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線近辺から切り返した。また週足チャートで見ると13週移動平均線が26週移動平均線を上抜いてゴールデンクロスの形だ。強基調を確認した形であり、中期成長力を評価して14年8月の戻り高値781円を目指す展開だろう。