ベステラは下値固め完了して出直り期待、20年1月期営業増益・増配予想

 ベステラ<1433>(東1)は鋼構造プラント設備解体工事を展開し、次世代プラント解体工法「3D解体」実現に向けたロボット開発も推進している。19年1月期(連結決算に移行)は18年1月期非連結業績との比較で大幅増益だった。20年1月期は固定資産売却益の反動で最終減益だが、需要が高水準に推移して増収・営業増益、そして増配予想である。株価は反発力の鈍い展開だが、下値固め完了して出直りを期待したい。

■鋼構造プラント設備解体のオンリーワン企業

 製鉄所・発電所・ガスホルダー・石油精製設備など鋼構造プラント設備の解体工事に特化したオンリーワン企業である。

 製鉄・電力・ガス・石油・石油化学業界(製鉄所・発電所・石油精製・石油化学設備など)向けを主力とするプラント解体工事、および特定化学物質・アスベスト・ダイオキシン・土壌汚染などの環境関連対策工事を展開している。

 大手企業のエンジニアリング子会社を中心とした優良な顧客基盤、豊富な工事実績に基づく効率的な解体マネジメント、解体工事会社としては類のない特許工法・知的財産の保有(特許取得14件、特許申請中5件)を強みとしている。

 主要顧客はJFEグループ、新日鐵住金グループ、戸田建設、東京エネシス、IHIグループなどである。特許関連では、04年球形ガスホルダー解体「リンゴ皮むき工法」の特許を取得、07年火力発電所等の「ボイラ解体方法」の特許を取得、10年遠隔操作による溶断ロボット「りんご☆スター」を開発した。

 18年7月には日本国内の原子力発電設備解体事業に関して日立プラントコンストラクションと業務提携、18年9月には第一カッター興業<1716>とプラント設備解体事業において業務提携した。

 関連事業として、建設技能労働者不足に対応した人材派遣・紹介・育成サービス、プラント解体事業における事前調査等の強化を目的とした3D計測・データサービスも展開している。18年3月若手技術者育成教育支援サービスや人材サービスを展開するヒロ・エンジニアリングを子会社化した。

 収益計上基準は工事進行基準と工事完成基準がある。収益面では顧客の設備投資計画の影響を受け、工事完成時期や完成工事利益率によって四半期業績が変動する。また完成工事高は顧客の設備投資計画に応じた季節性があり、第4四半期の割合が高くなる特性がある。

■プラント解体需要は中期的に増加予想

 企業の事業再編や設備集約、産業競争力強化法やエネルギー供給構造高度化法など余剰設備の再編に向けた国の政策を背景として、1960年代の高度成長期に建造されたプラントの老朽化に伴う解体工事が増加すると予想されている。

 20年1月期~22年1月期の中期経営計画2021(ローリング方式)では、目標値に22年1月期売上高72億円、営業利益6億50百万円、経常利益6億45百万円、純利益4億57百万円、売上高営業利益率9.0%、EPS55円を掲げている。配当性向の目安は40%とする。

 基本戦略として、収益構造改革(受注案件数・規模の拡大、工法の充実、元請工事の拡大、ストック型の安定的受注の拡大)、人事構造改革、3D事業の価値の追求(計測サービスの拡充)、M&A戦略などを推進する。

 ロボット工法については、遠隔操作による溶断ロボット「りんご☆スター」を開発して工事実績を積み上げ、新アタッチメント開発による用途拡大を進めている。また東京工業大学との産学連携による群移動体型ロボット「群龍」や、京都大学および山口大学との共同研究による監視ロボットを開発している。さらに次世代プラント解体工法「3D解体」実現に向けたロボット開発を推進する。

■19年1月期大幅増益、20年1月期営業増益・増配予想

 19年1月期(連結決算に移行)の連結業績は、18年1月期非連結業績との比較で、売上高が7.3%増の49億27百万円、営業利益が31.9%増の4億97百万円、経常利益が35.6%増の4億95百万円、純利益が固定資産(本社ビル)売却益3億88百万円も寄与して2.4倍の6億21百万円だった。配当は18年1月期と同額の年間15円(第2四半期末5円、期末10円)で、配当性向は19.9%となる。

 売上高、利益とも過去最高だった。工事が順調に進捗し、増収効果や高利益率工事の貢献で本社移転・賃貸費用の増加などを吸収した。受注高は17.9%減の35億65百万円で、受注残高は10億21百万円となった。

 20年1月期連結業績予想は、売上高が19年1月期比15.7%増の57億円、営業利益が5.5%増の5億25百万円、経常利益が5.2%増の5億21百万円、純利益が固定資産売却益の反動で41.0%減の3億67百万円としている。配当予想は1円増配の年間16円(第2四半期末6円、期末10円)としている。予想配当性向は35.9%となる。

 需要が高水準に推移する見込みだ。20年1月期も好業績を期待したい。

■株主優待制度は毎年1月末の株主対象

 株主優待制度は、毎年1月31日現在100株以上300株未満保有株主に対してクオカード1000円分、300株以上保有株主に対してクオカード2000円分を贈呈する。

■株価は下値固め完了して出直り期待

 株価は反発力の鈍い展開だが、1200円近辺で下値固め完了して出直りを期待したい。3月25日の終値は1368円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS44円61銭で算出)は約31倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は約1.2%、前期実績PBR(前期実績の連結BPS317円49銭で算出)は約4.3倍、時価総額は約114億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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