- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- 【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ミロク情報サービスは1月高値は射程圏で一段高の可能性、16年3月期も増収増益基調
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ミロク情報サービスは1月高値は射程圏で一段高の可能性、16年3月期も増収増益基調
- 2015/4/9 06:57
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
財務・会計ソフトのミロク情報サービス<9928>(東1)の株価は、高値圏680円~700円近辺で堅調に推移している。16年3月期も増収増益基調が予想され、好業績見通しを評価する流れに変化はないだろう。1月高値710円は射程圏であり、これを突破すればフシ突破の形となって一段高の可能性があるだろう。
会計事務所(税理士・公認会計士事務所)と、その顧問先企業である中堅・中小企業向けに、業務用アプリケーションソフト開発・販売、汎用サーバ・パソコン・サプライ用品販売、運用支援・保守サービス、経営情報・コンサルティングサービスなどを展開している。
会計事務所が抱えている課題を解決することで中堅・中小企業支援にも繫がるトータルソリューションが強みで、システム導入契約売上とサービス収入が収益柱である。全国約8400の会計事務所ユーザーおよび約1万7000社の中堅・中小企業ユーザーを有し、サービス収入などのストック型収益構造を特徴としている。13年10月には、連結会計システム開発のプライマルと資本・業務提携して、連結会計や連結納税までグループ経営支援ソリューションの提供を強化している。
14年5月に発表した第3次中期経営計画(15年3月期~17年3月期)では、目標値として17年3月期売上高260億円、経常利益40億円、純利益24億50百万円、売上高経常利益率15%、ROE15%を掲げている。
重点戦略としては、顧客基盤拡大に向けた販売戦力増強と販路拡大(市場ポテンシャルに合わせた人的リソース配分適正化、販社M&Aも活用したエリア拡大、顧客サポート体制と経営情報サービスの充実など)、新規顧客を創造する新製品・サービス開発(マルチデバイス対応クラウドサービスなど)、新規事業による新たな収益基盤確立(利益率向上に向けた事業ポートフォリオ再設計、中小企業の事業再生支援サービスへの参入など)を推進している。
新規事業では、登録会員数約130万人の中小・ベンチャー企業支援ビジネス情報サイト「bizocean(ビズオーシャン)」のクラウド拡充とネットビジネスへの展開、マルチデバイス対応お金管理アプリ「マネトラ」による消費者間取引(CtoC)市場への参入、経済団体・FC企業への会計クラウドサービスの提供などを推進している。
14年5月には全国商工会連合会の会員事業者向け「会計・税務のクラウド型アプリケーションソフト」を開発し、8月にはソフトテックス社から完全Web対応クラウド販売管理システム「商い哲人EX」を譲り受けた。9月には中小企業の事業承継や事業再生を支援する子会社MJS・M&Aパートナーズを設立した。
10月にはCtoC向けクラウド型会計アプリ「フリビズbyマネトラ」の提供を開始した。また韓国の電子金融専門企業Webcash(ウェブキャッシュ)社と資本業務提携した。韓国Webcash社と日本法人(11月MWIに社名変更)の株式を取得し、新たなクラウドサービスを共同開発して日本国内で事業展開する。12月にはクラウド型POSシステムのオフィス24グループと業務提携した。
15年1月には次世代サービス共同開発を目的として、次世代Web標準言語HTML5を活用したWebソリューション開発に強みを持つニューフォリアに出資して資本提携した。
4月8日には、クラウドコンピューティングに関する製品・サービスの専門展「第6回クラウドコンピューティングEXPO春」(5月13日~15日東京ビックサイト)に出展すると発表した。中堅企業向けERPシステムおよび中小企業向けERPシステムを中心に紹介する予定だ。
前期(15年3月期)の連結業績見通し(2月3日、投資有価証券売却益計上に伴い純利益を増額修正)は、売上高が前々期比2.3%増の225億90百万円、営業利益が同5.4%増の25億20百万円、経常利益が同4.8%増の25億40百万円、純利益が同25.3%増の17億40百万円、配当予想(5月9日公表)が前々期と同額の年間15円(期末一括)としている。
第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比4.8%増収、同15.1%営業増益、同16.5%経常増益、同37.5%最終増益だった。システム導入契約売上高が同2.1%増収、サービス収入が同8.4%増収と好調に推移し、サービス収入の好調で差引売上総利益率が上昇したことも寄与した。
なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)56億22百万円、第2四半期(7月~9月)56億41百万円、第3四半期(10月~12月)54億77百万円、営業利益は第1四半期5億96百万円、第2四半期7億06百万円、第3四半期4億56百万円だった。
通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.1%、営業利益が69.8%、経常利益が71.7%、純利益が71.4%と概ね順調な水準であり、通期ベースでも好業績が期待される。
今期(16年3月期)についても、会計事務所向けシステムや中堅・中小企業向けERPシステムの拡販、新規顧客の開拓、ソフト保守サービス契約率の上昇などで増収増益基調が予想される。16年1月のマイナンバー制度開始も追い風となりそうだ。ストック型の収益構造であり中期的にも収益拡大基調だろう。
なお3月26日には、15年4月から全社員の約24%を占める若手社員の基本給を月額平均4.8%引き上げると発表した。定期昇給を含めると月額平均7.1%(1万4880円)引き上げとなる。また15年4月入社の新卒を過去最高となる74名採用し、新卒初任給は月額平均7.3%(1万4000円)引き上げた。
株価の動きを見ると、1月高値710円後は上げ一服の展開だが、高値圏の680円~700円近辺で堅調に推移してモミ合い煮詰まり感も強めている。好業績見通しを評価する流れに変化はないだろう。
4月8日の終値692円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS55円57銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は2.2%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS402円29銭で算出)は1.7倍近辺である。
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。16年3月期も増収増益基調が予想され、好業績見通しを評価する流れに変化はないだろう。1月高値710円は射程圏であり、これを突破すればフシ突破の形となって一段高の可能性があるだろう。