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- 【アナリスト水田雅展の銘柄分析】寿スピリッツは2月高値に接近、16年3月期の収益回復期待で上値試す
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】寿スピリッツは2月高値に接近、16年3月期の収益回復期待で上値試す
- 2015/4/9 06:48
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
菓子製造・販売の寿スピリッツ<2222>(東1)の株価は、3月期末の配当権利落ちで2600円近辺のモミ合いから一旦下放れたが、素早く切り返して2月高値2752円に接近している。利益確定売りが一巡し、16年3月期の収益回復期待で上値を試す展開だろう。
山陰地区中心に「因幡の白うさぎ」ブランドなどを展開する寿製菓、北海道中心に「ルタオ」ブランドを展開するケイシイシイ、首都圏中心に洋菓子を展開するシュクレイ、九州中心に「赤い風船」ブランドを展開する九十九島グループ、関西中心に「遊月亭」ブランドを展開する但馬寿、そして販売子会社(東海地区3社、中国・九州地区4社、関西地区2社)などの地域事業会社を傘下に置き、地域限定ブランド菓子の製造・販売を主力としている。駅・空港・高速道路SAなど交通機関チャネルでの販売比率が高いことも特徴だ。
全国各地のお菓子のオリジナルブランドとショップブランドを創造する「お菓子の総合プロデューサー」を企業ビジョンに掲げ、製造卸から製造小売に事業モデルを転換して高収益化を推進している。さらに「ニューコンセプトメーカー」として、ローカル・プレミアムブランドの創出と育成を目指し、地域やチャンネル特性にマッチした商品開発、販路拡大やリアル店舗と通販の融合、独自の販売スタイル構築、新ビジネス開発、海外展開を推進する方針だ。中期経営目標の指標は売上高経常利益率20%としている。
健康食品事業の再構築に向けて、藍染めで知られる「タデ藍」を使用した機能性食品の企画販売を行う新会社の純藍を14年9月設立した。そして第一弾製品として「藍の青汁」を開発し、50代~70代女性をメインターゲットに野菜不足を補うアンチエイジング飲料として15年1月販売開始した。一方で通販基幹業務システムサービス事業のジュテックスについては、事業中止に伴って14年12月解散した。
なお3月9日には、寿製菓と島根大学生物資源科学部横田一成教授との共同研究成果として、タデ藍の新規フラボノイドを発見し、薬学分野学術誌に掲載予定と発表している。
前期(15年3月期)の連結業績見通し(2月2日に減額修正)は売上高が前々期比0.6%減の228億円、営業利益が同17.2%減の19億40百万円、経常利益が同17.0%減の19億60百万円、純利益が同10.0%減の11億50百万円、配当予想(5月13日公表)が記念配当を普通配当に変えて前々期と同額の年間40円(期末一括)としている。
第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比0.2%増収、同15.2%営業減益、同14.8%経常減益、同8.0%最終減益だった。出雲・伊勢の遷宮特需の一巡、消費マインド低迷の長期化、夏場の天候不順などが影響して売上高が微増にとどまり、人件費増加なども影響して減益だった。
ただし首都圏中心に洋菓子を展開するシュクレイは大幅増収増益だった。首都圏でのブランド展開強化策が着実に成果に結びついているようだ。そして通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.3%、営業利益が81.3%、経常利益が81.5%、純利益が81.9%と高水準だった。
四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)50億01百万円、第2四半期(7月~9月)58億89百万円、第3四半期(10月~12月)62億75百万円で、営業利益は第1四半期2億02百万円、第2四半期5億10百万円、第3四半期8億66百万円である。収益は第1四半期をボトムとして改善基調だ。
そして来期(16年3月期)は、出雲・伊勢遷宮特需の反動影響の一巡、天候不順の影響一巡、首都圏でのブランド展開強化策の成果などで収益回復が期待される。
中期的には首都圏を中心とする新業態店の知名度・ブランド力向上、新商品の開発・投入の推進、販促・接客強化による消費者への訴求力向上、製造採算改善などの効果が期待され、訪日外国人旅行客のインバウンド消費増加や、アベノミクス重点戦略の「地方創生」も追い風となって収益拡大基調だろう。
株主優待制度については、毎年3月末現在で100株以上所有の全ての株主に対して2000円相当の自社グループ製品、200株以上所有の全ての株主に対して4000円相当の自社グループ製品を贈呈し、さらに1000株以上所有株主に対して3000円分のグループ直営店舗優待券(優待券の代わりに指定商品への交換も可)を贈呈している。
株価の動きを見ると、利益確定売りや3月期末の配当権利落ちで2600円近辺のモミ合いから一旦下放れたが、4月1日の2440円から切り返す動きとなった。そして4月8日は2695円まで上伸して2月高値2752円に接近した。
4月8日の終値2663円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS110円86銭で算出)は24倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間40円で算出)は1.5%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS775円95銭で算出)は3.4倍近辺である。
週足チャートで見ると13週移動平均線近辺から切り返してサポートラインを確認した形だ。目先的な利益確定売りが一巡し、16年3月期の収益回復期待で上値を試す展開だろう。