【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ヤマシンフィルタは調整一巡して切り返し、16年3月期の増収増益期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

ヤマシンフィルタ <6240> (東2)は建機用油圧フィルタの世界最大手である。株価は株式3分割を好感した3月9日の戻り高値1180円から一旦反落したが、直近安値圏1000円近辺で調整が一巡して切り返しの動きを強めている。16年3月期の増収増益期待で戻り歩調の展開だろう。

1956年設立(山信工業、05年に現社名に変更)で、14年10月東証2部市場に新規上場した。油圧ショベルの作動油回路用フィルタ製品など建機用油圧フィルタを主力として、工作機械や鉄道車両などに使用される産業用フィルタ、電子部品や食品などの製造工程に使用されるプロセス用フィルタも展開している。プロセス用フィルタではナノレベルのろ過も実現している。

14年3月期の品目別売上構成比は、建機用フィルタ88%、産業用フィルタ4%、プロセス用フィルタ8%で、建機用フィルタの内訳はライン用(新車用)49%、純正補給部品用51%だった。建機の一定の稼働時間ごとに交換需要が発生する純正補給部品用は安定収益源だ。

建機用油圧フィルタの世界最大手で、国内ライン用の市場シェアは約70%に達している。世界最大の米国建機メーカーをはじめ、国内建機メーカーに供給し、中国でも現地の大手建機メーカーとの取引を開始している。

「ろ材」の自社開発からフィルタ製品化までを手がける高度な技術力が強みだ。創業期から「ろ材」を自社開発し、3つの要素(捕獲できるダストの量、捕獲できる粒子のサイズ、圧力損失)のバランスを活かして、サイズ・材質・デザインの面でも顧客満足を超える「最適ろ材」開発とフィルタ製品化を推進している。2000年には世界初のガラス繊維ろ材を使用したフィルタを製品化し、高性能フィルタのコンパクト化やロングライフ化を実現した。

開発から設計・生産・販売までの一貫体制で、販売拠点は日本、米国、欧州、中国(上海)、タイ、研究開発拠点は日本、中国(蘇州)、生産拠点は日本、フィリピン(セブ島)に展開している。米国建機メーカーとの取引拡大に向けて米シカゴにも研究開発拠点を置く方針だ。

また純正補給部品の採用率向上に向けた啓蒙セミナーを、中国やアジアなどの新興国市場を中心に大手建機メーカーと共同で開催し、純正採用率が大幅に上昇しているようだ。

中期成長に向けた重点戦略として、油圧フィルタ分野のさらなる深耕、油圧フィルタ周辺分野への拡大、建機以外の新分野の育成・開拓(産業分野への本格進出)を掲げている。

油圧フィルタ分野の深耕では、製品採用率の拡大、圧倒的な競争力の強化、米国建機メーカーへのさらなる拡販、中国の現地大手建機メーカーとの取引開始・拡販、中国やアジアなど新興国市場における純正補給部品採用率向上促進などを推進する。

周辺分野への拡大では、燃料用フィルタ・エンジン用フィルタ・トランスミッション用フィルタなどフィルタ製品のラインナップ充実、中国やアジアなど新興国市場における排出ガス規制強化に適合した燃料フィルタ製品の導入促進を推進する。

10年には米国建機メーカーの中型ホイールローダ向けにトランスミッション用フィルタ、11年には米国建機メーカーの大型ディーゼル発電機にエンジン用フィルタが初搭載された。また13年には国内建機メーカー向けに新興国の燃料事情に適合した燃料フィルタの供給を開始している。こうした製品の拡販を推進する方針だ。

前期(15年3月期)の連結業績見通し(2月3日に売上高と純利益を減額、営業利益と経常利益を増額)は、売上高が前々期比1.0%増の106億37百万円、営業利益が同16.3%増の8億25百万円、経常利益が同13.5%増の8億05百万円、純利益が同37.5%増の4億63百万円としている。配当予想(2月27日の株式3分割発表に伴って修正)は年間19円(期末一括)で、株式3分割前に換算すると年間57円で実質的に1円増額となる。

第3四半期累計(4月~12月)は前年同期(未監査)との比較で1.1%減収、16.6%営業減益、19.2%経常減益、31.5%最終減益だった。ライン用が中国市場における建機販売低迷の影響を受け、純利益については特別損失計上も影響した。

第3四半期累計は減収減益だったが、通期見通しに対する進捗率は売上高が75.2%、営業利益が84.3%、経常利益が84.2%、そして純利益が83.4%と高水準だった。堅調な純正補給部品用が牽引して通期ベースでは好業績となりそうだ。

今期(16年3月期)については、中国市場における建機販売や資源国における鉱山機械販売が低調な見通しだが、一方では大手建機メーカーが純正補給部品の採用率向上促進策を強化するようだ。ライン用がやや低調でも、好採算の純正補給部品の売上構成比上昇が牽引し、上場関連費用の一巡も寄与して増益基調だろう。

なお策定中の中期経営計画については15年5月~6月頃に発表予定としている。長期ビジョンとしては売上高1000億円、時価総額300億円をイメージしているようだ。

株価の動き(3月20日付株式3分割の遡及修正後)を見ると、株式3分割を好感した3月9日の戻り高値1180円から一旦反落したが、1000円近辺で調整が一巡して切り返しの動きを強めている。

4月8日の終値1030円を指標面(1株当たり数値は3月20日付株式3分割を考慮)で見ると、前期推定連結PER(会社予想に株式3分割を考慮した連結EPS82円53銭で算出)は12~13倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間19円で算出)は1.9%近辺、実績PBR(前期第3四半期実績に株式3分割を考慮した連結BPS1013円09銭で算出)は1.0倍近辺である。

日足チャートで見ると25日移動平均線を割り込んで調整局面の形だが、週足チャートで見ると13週移動平均線近辺から切り返してサポートラインを確認した形だ。また1月の上場来安値圏900円近辺まで下押すことなく、下値を切り上げる形だ。16年3月期の増収増益期待で戻り歩調の展開だろう。

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