【編集長の視点】Jトラストは一時的コスト一巡後の業績V字回復への期待を高めて反発

Jトラスト<8508>(東2)は、前日3日に5円高の384円と反発して引け、今年2月14日につけた年初来安値366円に並ぶ安値水準から底上げをした。同社株は、今年2月13日に2019年3月期第3四半期(2018年4月~12月期、3Q)決算の開示とともに3月期通期業績の下方修正を発表し、3Qに東南アジア金融事業の不良債権などを一括処理したことで、期初の黒字転換予想が赤字転落したが、この一括処理の一時的なコストが一巡する今2020年3月期業績は大幅黒字へV字回復の可能性があると見直して底値買いが再燃した。前期配当は、業績下方修正とともに減配されたが、今期は増配含みと一部で観測されていることも、サポート材料となっている。

■不良債権一括処理などを除外すると3Qの東南アジア事業・投資事業は黒字をキープ

 2019年3月期決算で一括処理した損失は、東南アジア金融事業で連結子会社PT Bank JTrust Indonesia Tbk.(BJI)の買収前からの負の遺産108.4億円や、投資事業で連結子会社のJTRUST ASIA PTE.LTD.の保有するGroup Lease PCLに対する債権全額に対する貸倒引当金199.2億などである。このため2019年3月期業績は、営業収益754億4100万円(前期比1.50%)、営業利益327億4500万円(前期は47億5900万円の黒字)、純利益363億5000万円の赤字(同7億3100万円の赤字)と赤字転落した。

 ただこの一時的なコストを除くと、3Qのセグメント利益は、東南アジア事業や投資事業では実質的に黒字で、日本金融事業や韓国及びモンゴル金融事業が調に推移していることも加わり、今2020年3月期からの業績V字回復を目指すための準備が完了したと評価される。今年2月14日開催の3Q決算説明会で同社の藤澤信義社長は、「来期はカンボジアの商業銀行も連結対象となることもあり、インドネシアが収支トントンでも50億円から100億円の利益が上げられる」と自信を示した。

 なお2019年3月期の年間配当は、業績下方修正に伴い期末配当を6円から1円に引き下げ7円(前期実績12円)へ減配したが東洋経済会社四季報最新号では、2020円3月期業績を黒字転換と観測し年間配当も7円~12円と増配含みとしている。

■PBR0.2倍の底値買いで今年2月の3割高の急騰劇再現が有力

 株価は、今年2月の業績下方修正・減配で昨年来安値366円へ急落したが、同安値からは即、悪材料出尽くしとして逆行高、483円高値まで3割高した。同高値後は、400円台固めを続け、配当権利落ちとともに370円まで下値を探った。PBRは0.27倍と割り負け低位値ごろ妙味も手掛かりに底値買いの盛り上がりが見込まれ、今年2月の急騰劇の再現期待を高め年初来高値483円を上抜き、昨年12月上旬以来の500円台活躍に進もう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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