加賀電子は決算発表を先取り富士通エレのフル寄与の連続最高業績を期待して反発

 加賀電子<8154>(東1)は、前日8日に14円高の2124円と3営業日ぶりに反発して引け、寄り付き段階では2140円と買われ今年3月4日につけた年初来高値2208円を射程圏に捉えた。同社は、3月期決算の発表を今年5月14日に予定しており、買収した富士通エレクトロニクスの連結寄与が2019年3月期第4四半期(2019年1月ー3月期、4Q)に始まったことから、フル寄与となる2020年3月期業績への期待を高めて割安修正買いが再燃した。4月3日には50億円ファンドにより相次いで最先端ベンチャー企業への出資を発表、同4日には国立大学北陸先端科学技術大学院大学と産学連携包括契約を締結したことも、成長戦略を加速させるとして追撃材料となっている。


■中期計画では富士通エレが上乗せし売り上げ5000億円、営業利益130億円目標

 富士通エレクトロニクスは、富士通系のエレクトロニクス商社で、同社が、グローバル展開しているEMS(電装基盤の製造受託サービス)ビジネスの拠点網の上に富士通エレの保有する広範な顧客基盤を上乗せ成長戦略を加速させることを目的にしており、トータルな株式取得金額は205億4300万円となる。この買収の第1段階として今年1月に同社株式を70%取得しており、2019年3月期4Qから業績寄与が始まり、このあと2020年12月28日に85%、2021年12月28日に100%の株式取得を予定しており、この成長戦略を推進する中期経営計画では、最終年度の2022年3月期に売り上げ5000億円、営業利益130億円の達成を見込んでいる。

 現在、決算を集計中の2019年3月期業績は、純利益が73億円(前期比12.5%増)と予想され、2006年3月期の過去最高(72億7200万円)を13期ぶりに更新すると予想されているが、続く2020年3月期業績は、富士通エレのフル寄与からどのような業績ガイダンスが公表されるか5月14日の決算発表が注目されている。

 一方、50億円ファンドは、2018年3月期に創立50周年を記念して設定され、ユニークな技術・製品、ビジネスモデルを展開しているベンチャー企業に相次ぎ出資、新規事業の創出を図っており、今年4月3日にIoT(モノのインターネット化)市場で先端ビジネスやサービスをしているドキドキグルーヴワークス(東京都新宿区)とLive Smart(東京都新宿区)にそれぞれ出資した。このベンチャー投資では、同社が2017年7月20日に出資を発表したギークス<7060>(東マ)が、今年3月20日に新規株式公開(IPO)され、公開価格1930円に対して2900円で初値をつけ上場来高値5430円まで買い進まれ、前日4日にはストップ高と急騰した前例もあり、成長戦略に弾みがつくと期待を高めている。

■25日線固めでエネルギーを貯め込み低PER・PBR修正に再発進

 株価は、世界同時株安の波及で突っ込んだ1726円安値から売られ過ぎとして底値買いが増勢となって年初来高値2208円まで28%高、3月期期末の配当権利落ちで2028円と下ぶれたものの、年初来の25日移動平均線を出没する中段固めでエネルギーを貯め込んでいる。PER7倍台、PBR0.8倍、2019年3月期配当(年間75円)ベースの配当利回り3.53%と割安であり、この修正に再発進し年初来高値抜けから1株純資産をクリアし、昨年5月以来の3000円大台奪回が早そうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)

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