【アナリスト水田雅展の銘柄分析】PALTEKは15年12月期業績を増額修正

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 半導体輸入商社のPALTEK<7587>(JQS)は9日、15年12月期第2四半期累計と通期業績見通しの増額修正を発表した。株価は2月高値666円から反落して600円割れ水準まで調整したが、自律調整一巡感を強めている。増額修正が刺激材料となって上値を試す展開となりそうだ。14年2月以来の700円台、そして14年1月高値898円も視野に入る。

 ザイリンクス社のFPGA(PLDの一種で設計者が手元で変更を行いながら論理回路をプログラミングできるLSI)を主力として、特定用途IC、汎用IC、アナログ、メモリなどを扱う半導体および関連製品の販売・技術支援事業、試作ボードや量産ボードなどを受託設計・開発および製造(ODM、EMS、OEM)するデザインサービス事業、さらに新規事業としてスマートエネルギー事業(病院・介護施設向け停電対策システムなど)を展開している。海外は香港に拠点展開している。

 主要仕入先はFPGAがザイリンクス社、汎用ICがNXPセミコンダクターズ社、マイクロチップテクノロジー社、アナログがリニアテクノロジー社、メモリがマイクロンテクノロジー社である。

 用途別には産業機器向けを主力として通信機器向け、民生機器向け、コンピュータ向けなどに展開し、成長市場であるセンサー分野のソリューションも強化している。主要販売先はNEC<6701>京セラ<6971>オリンパス<7733>などである。

 12年7月にはODM/EMS事業推進、および映像・画像処理関連の自社製品事業の本格展開に向けてエクスプローラを子会社化した。エクスプローラはレート制御機能搭載「H.264コーデック装置」を開発し、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のイノベーション実用化ベンチャー支援事業として「レート制御機能搭載4K対応H.265コーデック装置実用化開発」および「超低遅延8K対応HEVC-ECFによるハイブリッド配信装置」が採択されている。

 14年6月には子会社テクノロジー・イノベーションを設立し、サイミックス社から半導体事業およびMEMS(微小電気機械システム)事業を譲り受けて、特定顧客向け人感センサーの信号処理ICの開発に取り組んでいる。

 14年11月にはエクスプローラがフジテレビジョンと共同でH.264小型ライブ中継伝送装置「VideoCast Advance」を開発した。大規模な機材を使わず簡単にライブ中継することが可能になる。15年2月にはNHKと「H.264HD対応IP蓄積伝送装置」を共同開発した。火山噴火口、土砂流、津波などの監視を行う情報カメラで収録した映像を瞬時に活用することが可能になる。

 15年2月には超高精度衛星測位システムを開発するマゼランシステムズジャパンとの総販売代理店契約を締結した。センサー分野のソリューション強化の一環として、センチメートル級の精度が要求される産業機器や農業機械の自動運転向けなどにRTK(リアルタイム・キネマティック)GNSSシステムを提供する。

 4月9日に今期(15年12月期)第2四半期累計(1月~6月)および通期連結業績見通しの増額修正を発表した。通信インフラ向けFPGA、ブロードバンド通信機器向け特定用途ICなどが好調に推移し、為替のドル高・円安によって仕入先に対するドル建て仕入値引き債権の評価額増加も原価押し下げ要因となる。通期ベースではFPGAの顧客増加が一部確定したことも寄与するようだ。

 第2四半期累計(1月~6月)の連結業績見通しは前回予想(2月12日公表)に対して、売上高を8億円増額して前年同期比7.1%増の125億円、営業利益を2億円増額して同31.6%増の5億50百万円、経常利益を1億70百万円増額して同36.3増の5億30百万円、純利益を95百万円増額して同42.6%増の3億25百万円とした。

 通期連結業績見通しは前回予想(2月12日公表)に対して、売上高を15億円増額して前期比12.3%増の260億円、営業利益を2億50百万円増額して同4.2%増の10億50百万円、経常利益を2億20百万円増額して同4.0%減の10億10百万円、そして純利益を1億25百万円増額して同11.0%増の6億25百万円とした。なお配当予想は前回予想(2月12日公表)を据え置いて前期と同額の年間8円(期末一括)としている。

 前回予想では前期の営業利益を押し上げたドル建て仕入値引き債権の為替評価益を織り込まず営業減益見通しとしていたが、主力製品の好調に加えて、為替評価益の発生で営業増益見通しとなった。

 産業機器向け、通信機器向け、医療機器向けを中心に半導体事業、デザインサービス事業とも好調に推移する見通しであり、デザインサービス事業の売上構成比上昇も寄与して売上総利益率が改善する。そしてドル高・円安進行も予想されるだけに15年12月期の会社見通しは再増額の可能性が高いだろう。

 中期的な収益向上に向けた取り組みとして、半導体事業は高付加価値製品の拡販、中核製品であるFPGAのさらなる拡販、センサーおよびソフトウェア市場の開拓、医療・産業・通信・放送など成長分野への注力、デザインサービス事業は医療・放送・通信分野の受託設計・開発・ODM強化、自社製品の開発・販売強化、スマートエネルギー事業は病院・介護施設向け停電対策システムの構築・販売を強化する方針だ。中期的に収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、2月の戻り高値666円から利益確定売りなどで反落して4月1日の571円まで調整したが、その後は600円近辺でモミ合う展開となって自律調整一巡感を強めている。

 4月9日の終値602円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS55円75銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は1.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS766円18銭で算出)は0.8倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を割り込んだが、週足チャートで見るとサポートラインの13週移動平均線が接近して切り返しのタイミングのようだ。指標面に割安感があり、15年12月期業績の増額修正が刺激材料となって上値を試す展開だろう。14年2月以来の700円台、そして14年1月高値898円も視野に入る。

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