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アルコニックスは戻り歩調、19年3月減益予想だが20年3月期収益拡大期待
- 2019/4/17 05:25
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アルコニックス<3036>(東1)は商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指している。19年3月期減益予想だが、M&A効果も寄与して20年3月期の収益拡大を期待したい。株価は19年3月期予想下方修正に対する影響が限定的で戻り歩調だ。出直りを期待したい。なお5月17日に19年3月期決算発表を予定している。
■商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」目指す
軽金属・銅製品(伸銅品、銅管など)、電子・機能材(レアメタル・レアアース、チタン・ニッケル製品など)、非鉄原料(アルミ・亜鉛地金など)、建設・産業資材(配管機材など)を取り扱う非鉄金属商社グループである。
商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指し、M&Aも積極活用して、非鉄金属の周辺分野も含めた川上(製造)~川中(流通)~川下(問屋)を網羅するビジネス展開を推進している。
■製造が利益柱
18年3月期セグメント別売上高構成比は、商社流通84%(電子機能材30%、アルミ銅54%)で製造16%(装置材料8%、金属加工8%)だが、経常利益構成比は商社流通36%(電子機能材23%、アルミ銅13%)で製造64%(装置材料11%、金属加工54%)だった。
レアメタル・レアアースなど非鉄金属の市況、持分法投資損益、M&Aに伴うのれん償却や負ののれん益なども収益変動要因となるが、積極的なM&Aで製造が連結経常利益の過半を占める収益柱となっている。
中期経営計画(19年3月期~21年3月期、1年ごとに見直すローリング方式)では、経営目標値を21年3月期の経常利益95億円超、純利益72億円超、ROE13~15%程度、NET/DER1.0~1.3倍程度としている。
3年間の投融資総額はM&A・事業投資を中心に250億円の計画としている。商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指して積極投資を推進する方針だ。
18年12月摩擦調整材のカシューパーティクルを製造販売する東北化工を連結子会社化してブレーキ関連市場に参入、19年2月カーボンブラシを製造販売する富士カーボン製造所を連結子会社化した。
19年6月(予定)には香港で大日本印刷および現地パートナー企業との合弁会社を設立してリチウムイオン電池用材料関連事業を展開する。また19年6月(予定)には中国で信和<3447>および現地パートナー企業との合弁会社を設立して建設用仮設資材の輸入・製造・販売に展開する。
19年7月(予定)には、連結子会社の富士プレスが日邦産業<9913>と共同で設立したメキシコFNA社の自動車部品用精密金属プレス部品事業を分割し、メキシコに18年12月設立したFUJI-MX社が譲り受ける。FNA社の事業運営に係る日邦産業との合弁契約は解消する。
■19年3月期減益予想だが20年3月期収益拡大期待
19年3月期の連結業績予想(3月26日に売上高、利益とも下方修正)は、売上高が18年3月期比1.6%減の2440億円、営業利益が18.1%減の60億円、経常利益が21.9%減の62億円、純利益が19.4%減の43億円としている。配当予想(2月19日に期末1円増額修正)は年間39円(第2四半期末19円、期末20円)としている。18年3月期比では7円増配で、予想配当性向は18.4%となる。
銅やアルミなど非鉄金属商品相場の下落、米中貿易摩擦の影響などによる中国市場関連の取引減少で売上高が計画を下回り、第3四半期のレアメタル等取引で発生した滞留債権に対する貸倒引当金計上、第3四半期および第4四半期における製造子会社2社の株式取得関連費用の計上も影響して減益予想としている。
19年3月期減益予想だが、M&A効果も寄与して20年3月期の収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は3月末の株主対象、19年3月末から導入
株主優待制度は、毎年3月末時点の株主を対象として、保有株式数および保有期間に応じて贈呈(詳細は会社HP参照)する。19年3月末から導入した。
■株価は戻り歩調
2月19日発表の自己株式取得(上限74万株・8億円、取得期間19年2月20日~19年5月31日)について、3月31日時点の取得株式数は43万6600株となっている。
株価は19年3月期予想下方修正に対する影響が限定的で戻り歩調だ。出直りを期待したい。4月16日の終値は1360円、前期推定連結PER(会社予想連結EPS168円99銭で算出)は約8倍、前期推定配当利回り(会社予想の年間39円で算出)は約2.9%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS1423円87銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約352億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)