- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- ジャパンフーズは調整一巡、19年3月期は減損損失で最終赤字予想だが20年3月期収益改善期待
ジャパンフーズは調整一巡、19年3月期は減損損失で最終赤字予想だが20年3月期収益改善期待
- 2019/4/19 06:26
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ジャパンフーズ<2599>(東1)は飲料受託生産の国内最大手である。中期的に「日本一のパッカー」を目指している。19年3月期業績予想(4月5日に修正)は減損損失計上などで最終赤字となったが、売上高、営業利益、経常利益は前回予想を上回る見込みだ。20年3月期の収益改善を期待したい。株価は戻り高値圏から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。
■飲料受託生産の国内最大手、フレキシブルな生産が強み
伊藤忠商事<8001>系で飲料受託生産の国内最大手である。主要得意先はサントリー食品インターナショナル<2587>、伊藤園<2593>、アサヒ飲料などの大手飲料メーカーで、品目別では炭酸飲料と茶系飲料、容器別ではペットボトル飲料を主力としている。
連結子会社JFウォーターサービスは水宅配・ウォーターサーバーメンテナンス事業を展開している。また国内で水宅配フランチャイズ事業を展開するウォーターネット、および中国で清涼飲料受託製造事業を展開する東洋飲料(東洋製罐と合弁)を持分法適用関連会社としている。自社ブランド商品は本社工場がある千葉県産の農林水産物を使用した商品「おいしい房総サイダー」シリーズなどを販売している。
■名実ともに日本一のパッカー目指す
中期経営計画「“JUMP+2018”-躍動-」では、成長戦略の方向性・キーワードを「戦略的パートナーシップ」「自立自発」「100年企業」「イノベーション」としている。そして成長戦略は、コアビジネス(国内飲料受託製造事業)の収益拡大、新規ビジネス(海外飲料受託製造事業、国内水宅配事業、自社ブランド商品)の着実な推進としている。
コアビジネスでは「名実ともに日本一のパッカー」を目指し、品質向上の追求、ローコストオペレーション(生産効率・稼働率・原単位の向上)の徹底、新規商材の取り込みを積極推進している。
本社工場の炭酸・非炭酸兼用無菌充填ライン(EラインおよびTライン)は、市場環境や顧客ニーズの変化に対応したフレキシブルで効率的な生産が強みだ。17年には総合S&B計画の第1フェーズとして、本社工場内に工場建屋、ペットボトルブロー成型機、炭酸常温充填ラインを新設・稼働した。また次期中期経営計画では、本館などの建屋を順次解体し、新建屋・設備への更新をスタートさせる。新SOT缶ラインの建設も実行する方針だ。
新規ビジネス分野(海外飲料受託製造事業、国内水宅配事業、自社ブランド商品)では、戦略的パートナーシップも活用して業容拡大を目指している。
■夏場の上期が繁忙期で冬場の下期は閑散期
個人消費や天候などの影響を受けやすい。また飲料業界全体が、夏場の上期(4~9月)に繁忙期となって生産量が増加するのに対して、冬場の下期(10~3月)は閑散期となって生産量が減少するため、下期は営業損益が赤字となる収益構造だ。
なお16年3月期から一部飲料メーカーとの取引形態が、有償支給(顧客指定の原材料を購入し、加工料+原材料費で売上計上する方法)から、無償支給(顧客指定の原材料を受給し、加工料を売上計上する方法)に変更された。このため見かけ上の売上高は大幅に減少しているが、実質的な売上高である加工料収入に影響はない。
■19年3月期最終赤字予想だが20年3月期収益改善期待
19年3月期連結業績予想(10月18日に売上高・利益とも下方修正、4月5日に売上高、営業利益、経常利益を上方修正、純利益を下方修正)は、売上高が18年3月期比10.4%増の164億円、営業利益が11.5%減の7億90百万円、経常利益が23.9%減の7億30百万円、純利益が2億90百万円の赤字(18年3月期は6億58百万円の黒字)としている。配当予想(10月18日に期末3円下方修正)は18年3月期と同額の年間27円(第2四半期末10円、期末17円)としている。
次期中期経営計画において本館などの建屋を順次解体し、新建屋・設備への更新をスタートさせるため、第4四半期に建屋取り壊し費用に対する引当金、および一部設備の減損損失を計上して最終赤字予想となった。ただしコアセグメントにおける新規商材獲得や生産効率向上などで、売上高、営業利益、経常利益は前回予想を上回る見込みだ。20年3月期は一時的要因が一巡し、受注の増加、生産効率の向上、海外の回復などで収益改善を期待したい。
■競争力強化で中期成長期待
飲料業界全体が天候の影響を受けやすいことに加えて、大手飲料メーカーの再編や内製拡大による受託製造量減少を懸念する見方もあるが、夏場の繁忙期と冬場の閑散期という季節間の需要格差が大きい業界のため、大手飲料メーカーにとって内製拡大は設備投資や固定費負担の面でリスクが大きい。また飲料メーカーは経営効率化の観点からも、経営資源の重点をマーケティング分野にシフトする動きを強めている。
このため飲料受託生産の役割や存在感は一段と高まっている。そして当社は飲料受託生産の最大手として、高品質でフレキシブルな生産対応が可能な強みを発揮することが期待される。さらに一段の競争力強化に向けた投資の成果により、受託製造数量増加、プロダクトミックス改善、コストダウンが進展して中期成長が期待される。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は、毎年3月31日時点の1単元(100株)以上所有株主を対象として、自社製品詰め合わせセットなどを贈呈している。
■株価は調整一巡
株価は3月の戻り高値圏1300円近辺から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。4月18日の終値は1174円、前期推定配当利回り(会社予想年間27円で算出)は約2.3%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS1725円23銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約60億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)