アイビーシーは調整一巡、19年9月期大幅増収増益予想

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 アイビーシー<3920>(東1)は、ネットワークシステム性能監視ツールを主力として、IoTセキュリティ基盤サービス「kusabi」などブロックチェーン技術を活用したIoT分野等への展開も加速している。19年9月期(連結決算に移行)大幅増収増益予想である。株価は3月の戻り高値圏から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。

■ネットワークシステム性能監視ツールのリーディングカンパニー

 ネットワークシステム性能監視ツール(ソフトウェア)のリーディングカンパニーである。マルチベンダーの機器で構成される複雑なネットワークシステム全体の稼働・性能状況を、精度の高いデータを取得して分析するネットワークシステム性能監視ツールの開発・販売、および導入支援サービスなどを提供している。

 ネットワークシステム性能監視に必要なマルチベンダー対応ソフトウェアを自社開発し、様々なデータおよび統計分析・解析ノウハウを蓄積してサービスをワンストップで提供していることが強みだ。ほぼ全ての主要メーカーに対応するとともに、近年増加が著しいクラウドとオンプレミス環境を組み合わせた「ハイブリッドクラウド」の統合監視に対応している。100社を超えるマルチベンダー機器対応で、使い勝手の良い性能監視ソフトウェアは世界でも類がない。

 主力製品はネットワーク性能監視ソフトウェアのSystem Answerシリーズである。累計販売実績は08年12月リリースのSystem Answerおよび11年7月リリースのSystem Answer G2の合計で、18年9月現在1400システム以上に達している。そして17年7月には「情報監視」機能を備えた新製品System Answer G3を発売した。

■ライセンス販売で高収益のストック型ビジネスモデル

 18年9月期の事業別売上高構成比は、ネットワークシステム性能監視ソフトウェアに係る自社開発製品のライセンス(ソフトウェア使用権)販売が70%、自社製品導入支援やネットワークシステム構築に係るコンサルティングなどのサービス提供が14%、その他物販(他社製情報通信機器等の販売)が16%だった。

 ライセンス販売という高収益のストック型ビジネスモデルが特徴である。また顧客の検収時期の影響で、第2四半期と第4四半期の構成比が高い季節要因がある。大手優良企業を中心とした顧客構成で売上債権の貸倒実績が無く、安定的な財務体質を維持していることも特徴だ。

■中期成長戦略でIoT分野等への展開を加速

 中期成長戦略として、IBCソリューション(System Answerシリーズを中心とするサービス)やマーケット変化に対応したサービスの拡大を推進し、セキュリティ分野、インシュアテック(保険×IT)分野、ブロックチェーン技術を活用したIoT分野等への展開も加速する。

 サービス拡大では17年8月、次世代MSPサービスのSAMSを開始した。システムの安定稼働、障害対応、原因究明・分析をサポートし、トラブル未然防止やトータルコスト削減に寄与するサービスだ。18年8月にはクラウド型サービスであるSystem Answer G3 on SAMSの提供を開始した。

 子会社iChain(18年4月iBeedからiChainに商号変更)は16年8月コンセンサス・ベイスと業務提携、17年6月パクテラ・コンサルティング・ジャパンと業務提携、18年5月ナレッジソリューションズグループと連携して保険業務プラットフォーム実現に向けたブロックチェーン技術商用化検証を開始、また保険ポートフォリオ管理スマホアプリ「iChain保険ウォレット」の配信を開始した。18年12月には「iChain保険ウォレット」が三井住友海上火災保険「お客さまWebサービス」とサービス連携した。

 IoTセキュリティ基盤サービス「kusabi(楔)」は17年12月実証実験を開始した。18年5月特許取得した2大中核技術(ブロックチェーン技術による電子証明システムと独自のデバイスプロビジョニングシステム)により、ソフトウェアだけでIoTセキュリティを実現する画期的なサービスである。3つの不要(専用チップが不要、認証局登録が不要、マルウェア対策が不要)を実現し、新たなIoT時代のセキュリティエコシステムを構築する。

 18年2月IoTセキュリティ標準化に向けたコンソーシアム「kusabiコンソーシアム」を設立、18年3月「kusabi」のパートナーライセンス販売を開始、19年4月「kusabi」を詳細に解説したホワイトペーパーを発表した。またブロックチェーン開発会社のサンデーアーツを19年4月子会社化した。

■19年9月期大幅増収増益予想

 19年9月期連結業績予想(子会社iChainを新規連結して連結決算に移行)は、売上高が18億37百万円、営業利益が2億77百万円、経常利益が2億76百万円、純利益が1億86百万円としている。18年9月期の非連結業績との比較で売上高は42.4%増収、営業利益は37.2%増益、経常利益は34.6%増益、純利益は31.1%増益となる。大幅増収増益予想である。

 第1四半期は売上高が3億42百万円、営業利益が22百万円、経常利益が22百万円、純利益が14百万円だった。事業別売上高は、ライセンス販売が前年同期の大型案件の反動で8.3%減の2億10百万円、サービス提供が53.6%増の58百万円、その他物販が56.0%増の59百万円だった。

 第1四半期の進捗率は低水準だが、第2四半期と第4四半期の構成比が高い季節特性があるため、ネガティブ要因とはならない。通期ベースでは18年9月期に実施した組織改革などの営業強化策も寄与して、新製品G3やクラウド対応の次世代MSPサービスSAMSの販売が本格化し、本社増床やシステム関連の先行投資負担も一巡する。新規連結のiChainも黒字化を見込んでいる。好業績を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は3月の戻り高値圏から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。4月22日の終値は1251円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS32円70銭で算出)は約38倍、前期実績PBR(前期実績の非連結BPS297円20銭で算出)は約4.2倍、時価総額は約71億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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