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パシフィックネットは上値試す、19年5月期大幅増益予想
- 2019/4/24 05:45
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
パシフィックネット<3021>(東2)は、法人向けIT機器LCM(ライフサイクルマネジメント)サービスを強化し、フロー型からストック型への収益構造転換を推進している。19年5月期大幅増益予想である。株価は年初来高値圏だ。上値を試す展開を期待したい。
■IT機器LCMサービスを強化
法人向けにPC・タブレット・モバイル等のIT機器の調達・導入、キッティング(事前設定)、ネットワーク構築、運用・保守、使用済みIT機器の引取・回収、データ消去・消去証明書発行、リユース・リサイクルを行うLCM(ライフサイクルマネジメント)サービスを強化している。
店舗部門を縮小し、法人向けLCMサービスの強化によって、使用済みIT機器の引取・回収、データ消去、再生、リユース販売中心の「フロー型」から、新品IT機器の長期レンタル型の調達・導入、キッティング、運用・保守を中心とした「ストック型」への収益構造転換を推進している。
17年6月M&Aアドバイザリ・仲介サービス事業の子会社エムエーピーを設立、17年12月音声ガイド用無線レシーバー「イヤホンガイド」のケンネットを子会社化、18年7月エムエーピーが有料職業紹介事業(人材紹介事業)を開始、18年9月子会社2Bを吸収合併、18年12月クラウド統合ソリューションのテクノアライアンスを子会社化した。
セグメント区分は、LCM事業(IT機器のLCMサービス提供)、リマーケティング事業(LCMサービスで回収した使用済み機器をテクニカルセンターで製品化してリユース品として販売)、コミュニケーション・デバイス事業(子会社ケンネットの無線レシーバー製造販売・保守サービス)、その他事業(子会社エムエーピーのM&A仲介・アドバイザリ事業)としている。コミュニケーション・デバイス事業は観光需要の季節変動影響を受けるため、第2四半期と第4四半期の構成比が高い特性がある。
■19年5月期大幅増益予想
19年5月期の連結業績予想(18年12月26日に売上高を下方修正、利益を据え置き)は、売上高が18年5月期比7.5%減の41億円、営業利益が30.3%増の3億10百万円、経常利益が26.0%増の3億円、純利益が26.5%増の2億円としている。配当予想は1円増配の年間21円(期末一括)で、予想配当性向は54.3%となる。
前下期に実施した全店舗廃止、使用済みパソコン排出市場の回復遅延に伴う仕入減少でリマーケティング事業が大幅減収となるため全体でも減収だが、ストック収益のLCM事業の拡大、収益管理の強化、構造改革による販管費の抑制、戦略的投資の効果などで大幅増益予想である。
第3四半期累計は売上高が前年同期比10.0%減の29億66百万円、営業利益が39.3%増の1億82百万円、経常利益が34.7%増の1億79百万円、純利益が12.0%増の1億02百万円だった。LCM事業が牽引し、リマーケティング事業の利益率改善も寄与して大幅増益だった。
LCM事業は売上高が13.0%増の17億76百万円で営業利益が66.1%増の2億43百万円だった。ITAD・その他(使用済みIT機器引取回収・データ消去)は2.6%増収だが、サブスクリプション(月額使用料モデル)のレンタル・ITサービスが20.2%増収と伸長した。リマーケティング事業は売上高が35.1%減の12億89百万円で営業利益が18.1%減の1億98百万円だった。減益だが利益率が改善した。コミュニケーション・デバイス事業は売上高が2億29百万円で営業利益が23百万円、その他事業は売上高が8百万円で営業利益が17百万円の赤字だった。
第3四半期累計の進捗率は低水準の形だが、顧客企業の年度末にあたる第4四半期に処分機器の排出が増加する傾向が強く、子会社ケンネット(コミュニケーション・デバイス事業)の収益も第4四半期の構成比が高いため、通期ベースでも好業績が期待される。
■中期経営計画で21年5月期経常利益5億円目標
中期経営計画「SHIFT2021」では、基本方針をストック中心へのさらなる収益構造改革、LCMサービス事業の飛躍的拡大、M&Aによる成長のスピードアップ、東証1部へのステップアップとして、目標値に21年5月期売上高55億円、経常利益5億円、純利益3億30百万円、ROE12%以上を掲げている。
■株価は上値試す
株価は4月11日に年初来高値となる1180円まで上伸する場面があった。その後は上げ一服の形だが、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。4月23日の終値は1010円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS38円65銭で算出)は約26倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間21円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS364円94銭で算出)は約2.8倍、時価総額は約52億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)