クリーク・アンド・リバー社は上値試す、20年2月期大幅増益・連続増配予想

 クリーク・アンド・リバー社<4763>(東1)は、クリエイティブ分野を中心にエージェンシー事業、プロデュース事業、ライツマネジメント事業を展開し、事業領域拡大戦略を加速している。19年2月期は本社移転関連などの一時的費用で減益だったが、20年2月期は大幅増益・連続増配予想である。株価は年初来高値圏だ。上値を試す展開を期待したい。

■クリエイティブ分野中心にエージェンシー事業やプロデュース事業を展開

 クリエイティブ分野(映画・TV番組・ゲーム・Web・広告・出版等の制作)で活躍するクリエイターを対象としたエージェンシー(派遣・紹介)事業、プロデュース(制作請負・アウトソーシング)事業、ライツマネジメント(著作権管理)事業を主力としている。

 19年2月期のセグメント別売上構成比は、日本クリエイティブ分野75%、韓国クリエイティブ分野0%、医療分野13%、会計・法曹分野7%、その他(IT分野のエージェンシー事業、新規事業など)6%である。なお韓国クリエイティブ分野はTVマーケット関連事業を新設会社に承継して18年2月期第2四半期から持分法適用関連会社としているため、売上高が減少している。そして20年2月期から韓国クリエイティブ分野をその他に含める。

 収益面では、医療分野の売上と利益が季節要因で第1四半期と第2四半期に偏重するため、全体としても上期の構成比が高い特性がある。主力の日本クリエイティブ分野は売上・営業利益とも拡大基調である。新規事業分野は人件費などの費用が先行するが順次収益化を見込んでいる。

■事業領域拡大戦略を加速

 M&Aも積極活用して事業領域拡大戦略を加速し、新規エージェンシー事業では建築、ファッション、シェフ、プロフェッサー、ドローン、舞台芸術、新規サービスではJURISTERRA、プロフェッショナルメディア、VR Japan、Idrasys、エコノミックインデックス、クレイテックワークス(18年7月シリコンスタジオから承継したゲームコンテンツ開発・運営事業のスタジオリボルバーを商号変更)を展開している。

 AI・ロボット関連では、17年10月台湾インツミットが開発したAIプラットフォーム「SmartRobot」の日本での独占販売を開始、18年1月台湾インツミットに出資、台湾インツミットと共同でAIを用いたシステム開発を行う新会社Idrasysを設立した。

 ファッション分野では17年12月、プライベートワークス社代表取締役社長白井崇文氏と共同で、ファッションやライフスタイル関連のインフルエンサー・マネジメント事業およびメディア事業を行う新会社forGIFTを設立した。

 19年2月にはバイオ・化学・食品などの研究分野で研究開発者を補佐する研究開発支援者(リサーチャー)のエージェンシー事業を開始した。既に18年3月、東大発バイオベンチャーのCO2資源化研究所(UCDI)に出資し、革新的なバイオ技術で水素と二酸化炭素から菌体を培養してBiofeeds(バイオフィーズ:飼料蛋白素材)やバイオ燃料の資源化を目指す研究開発に協力している。

■19年2月期減益だが20年2月期大幅増益・連続増配予想

 19年2月期連結業績は、売上高が18年2月期比10.7%増の295億69百万円、営業利益が12.6%減の15億78百万円、経常利益が13.1%減の15億85百万円、純利益が12.1%減の9億69百万円だった。配当は1円増配の年間12円(期末一括)とした。配当性向は26.3%となる。

 売上面では日本クリエイティブ分野が牽引し、韓国事業を持分法適用関連会社化した影響を除くと実質15%増収と計画水準だったが、利益面では、一時的費用(本社移転関連費用3.5億円、退職給付債務の計算方法変更0.6億円、賞与引当金計上方法変更0.4億円)などが影響して計画を下回り、減益で着地した。売上総利益率は0.4ポイント上昇した。なお一時的費用の影響を除くと営業利益は12%増益だったとしている。

 日本クリエイティブ分野は売上高が16.3%増の221億99百万円で営業利益が7.2%減の10億72百万円だった。ゲームやWebの派遣・請負を中心に順調だったが、一時的要因(本社移転関連費用、退職給付債務計算方法変更)の影響で減益だった。韓国クリエイティブ分野は売上高が31百万円で営業利益が32百万円の赤字(18年2月期は2百万円の黒字)だった。下期から開始したゲーム事業の収益化が遅れた。

 医療分野は売上高が4.2%増の37億08百万円で営業利益が7.3%減の5億33百万円だった。医師紹介事業が堅調だったが、人員増強、IT投資前倒し、一時的費用(賞与引当金計上方法変更)が影響して減益だった。会計・法曹分野は売上高が8.1%増の19億49百万円で営業利益が1.1%減の1億46百万円だった。紹介が堅調だったが、人員増強や広告宣言費の戦略的投下で利益は前年並みにとどまった。その他は売上高が32.3%増の16億79百万円で営業利益が1億49百万円の赤字(18年2月期は82百万円の赤字)だった。

 なお新規エージェンシー事業(建築、ファッション、シェフ、プロフェッサー、ドローン、舞台芸術)は、売上高が56%増の6.6億円、営業利益が1.0億円の赤字(18年2月期は1.7億円の赤字)だった。新規グループ会社(JURISTERRA、プロフェッショナルメディア、VR Japan、Idrasys、エコノミックインデックス、クレイテックワークス)は、売上高が2.4倍の8.4億円、営業利益が2.3億円の赤字(同0.45億円の赤字)だった。

 20年2月期の連結業績予想は、売上高が19年2月期比11.6%増の330億円、営業利益が48.8%増の23億50百万円、経常利益が48.2%増の23億50百万円、純利益が49.5%増の14億50百万円としている。配当予想は3円増配の年間15円(期末一括)としている。予想配当性向は22.0%となる。

 日本クリエイティブ分野の増収効果や売上総利益率改善効果が牽引する。本社移転に伴って家賃・償却費が増加するが、前期計上した一時的費用の一巡、新規事業の黒字化も寄与して大幅増益予想である。

 セグメント別営業利益計画は、日本クリエイティブ分野が46%増の15億80百万円、医療分野が31%増の7億円、法曹・会計分野が23%増の1億80百万円、その他が5百万円の黒字としている。なお新規分野ではファッション、シェフ、プロフェッサーの黒字化を見込んでいる。また新規サービスのVR Japan、Idrasys、エコノミックインデックス、クレイテックワークスは投資段階だが、赤字幅が縮小する見込みだ。

■株価は上値試す

 株価は年初来高値圏だ。4月17日には1395円まで上伸した。17年7月高値1538円を試す展開を期待したい。4月23日の終値は1294円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS68円04銭で算出)は約19倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は約1.2%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS334円90銭で算出)は約3.9倍、時価総額は約293億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る