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パイプドHDは上値試す、20年2月期大幅増収増益・増配予想
- 2019/4/25 08:40
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
パイプドHD<3919>(東1)は情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として、情報資産プラットフォーム事業や販促CRMソリューション事業などを展開している。19年2月期は先行投資負担で減益・減配だったが、20年2月期は大幅増収増益・増配予想である。なお経済産業省と東京証券取引所が共同で選定するIT経営注目企業2019に選定された。株価は急動意の形となった。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■情報資産プラットフォーム事業などを展開
国内最大規模の情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として事業展開している。
セグメント区分は19年2月期から再編し、機能別事業群の情報資産プラットフォーム事業(スパイラルやBizBaseなどのクラウドサービス提供)、販促CRMソリューション事業(Webシステムの開発、ECサイトの構築・運営支援)、広告事業(インターネット広告代理販売)、および分野別事業群のxTech事業(ArchiTech:BIM事業、BeauTech:美歴、HRTech:オーダーメイド人材育成代行、FinTech:エルコイン)、社会イノベーション事業(政治山、I LOVE 下北沢、シモキタコインの運営)としている。
19年2月期の売上構成比は情報資産プラットフォーム事業67.7%、販促CRMソリューション事業18.9%、広告事業8.9%、xTech事業3.0%、社会イノベーション事業1.5%だった。
なお19年5月1日付で、政治・選挙情報サイト「政治山」を運営するVOTE FORと、自治体向けオープンデータ化・活用サービス「マイ広報紙」を展開するパブリカを合併(存続会社VOTE FOR)する。
情報資産プラットフォーム事業は、契約数増加に伴って月額サービス収入が拡大するストック型の収益構造である。広告事業の売上高は、広告枠の仕入高を売上高から控除する純額表示(ネット表示)としている。
■中期経営計画のテーマは「リ・イノベーション」
中期経営計画2020ではテーマに「リ・イノベーション」を掲げている。重点戦略として、リアルビジネスとの接点の強化、イノベーティブな事業への挑戦、グループ全体の採用・育成の強化、グループ各社の情報資産の有効活用を推進する。
17年12月には電子地域通貨プラットフォームを提供する新会社エルコインを設立した。18年2月にはメディコムおよびトライベック・ストラテジーの2社と共同で、製薬企業向けマーケティングオートメーションパッケージ「BtoD」を開発した。またO2Oアプリ「NEARLY」を提供するipoca社の第三者割当増資を引き受けた。
18年3月にはエルコインの子会社としてシモキタコインを設立した。エルコインが提供する電子地域通貨プラットフォームにおける発行事業者第1号として、下北沢で行われるイベントや商業施設等で利用される電子地域通貨を発行する。18年4月には美歴が資本業務提携パートナーの募集を開始した。
■20年2月期大幅増収増益・増配予想
19年2月期の連結業績は、売上高が18年2月期比5.4%増の54億19百万円、営業利益が47.5%減の3億94百万円、経常利益が47.9%減の3億90百万円、純利益が69.3%減の1億40百万円だった。配当は9円減配の年間12円(第2四半期末4円、期末8円)とした。配当性向は64.9%となる。
情報資産プラットフォーム事業(3.1%増収)と広告事業(2.3倍増収)が牽引して19期連続増収だったが、販促CRMソリューション事業(10.2%減収)における大型スポット案件の反動も影響して売上高が期初計画を下回り、人材への先行投資に伴う費用増加や、子会社の美歴が展開する電子ヘアカルテアプリ「美歴」に係る減損損失計上も影響して減益だった。
20年2月期連結業績予想は、売上高が19年2月期比19.9%増の65億円、営業利益が2.0倍の12億円、経常利益が2.0倍の11億90百万円、そして純利益が5.0倍の7億円としている。配当予想は9円増配の年間21円(第2四半期末9円、期末12円)で、予想配当性向は22.8%となる。
情報資産プラットフォーム事業におけるスパイラルの拡販、販促CRMソリューション事業におけるデジタルCRMの伸長、広告事業における動画広告拡大など全セグメントで増収を見込み、増収効果で人件費の増加などを吸収する。純利益は減損損失一巡も寄与する。収益拡大を期待したい。
■株価は上値試す
株価は急動意の形となり、4月11日には1377円まで上伸した。その後は一旦反落したが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。4月24日の終値は1098円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS92円04銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間21円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS316円66銭で算出)は約3.5倍、時価総額は約89億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)