【編集長の視点】農業総合研究所は2Q赤字業績を織り込み成長可能性を見直して3連騰

農業総合研究所<3541>(東マ)は、10連休前の平成最終売買日の26日に6円高の745円と3日続伸して引け、今年4月26日につけた株式分割の権利落ち後安値717円から底上げをした。同社株は、今年4月12日に発表した今2019年8月期第2四半期(2018年9月~2019年2月期、2Q)累計業績が赤字着地となって分割権利落ち後安値まで急落したが、「農家の直売所」プラットフォームの流通総額、登録生産者、集荷拠点、導入大型小売店などが過去最高を更新したことを手掛かりに、農業ITベンチャーの成長可能性を見直し下げ過ぎ訂正買いが増勢となった。ヒストリカル的にも、2017年8月31日を基準日に実施した前回の株式分割(1株を2株に分割)では、分割権利落ち後安値から3.6倍の大化けをし、ほぼ分割権利落ちを埋めたことも連想され買い手掛かりとなっている。

■流通総額、導入大型小売店、登録生産者、集荷場とも過去最高を更新

 同社の今期2Q業績は、売り上げが16億4200万円(前年同期比55.6%増)と大きく伸びたが、営業利益は2900万円の赤字(前年同期は5600万円の赤字)、経常利益は2800万円の赤字(同5700万円の赤字)、純利益が1500万円の赤字(同2800万円の赤字)となった。全国的な暖冬により主な野菜の小売価格が平年比で20%~49%安となり、物流効率が悪化して収益を圧迫したが、物流効率の高い品目の買取を増やし、新規店舗の供給を調整し比較的効率の低い物流便を抑制するなどの対策を推進し、前年同期に比べ赤字幅を縮小させた。

 この間、物流、IT、人材に対する成長投資は積極継続し、流通総額は48億599万円(前年同期比12.7%増)と2Qとして過去最高を更新し、大型小売店への「農家の直売所」プラットフォームの導入店舗数は、前期末の8月に比べて119店舗増加の1304店舗、登録の農業生産者は、456名増の8301名、全国に展開する集荷場は、6拠点増の92拠点となり導入産地が33都道府県にまで拡大した。

 今2019年8月期通期業績は、期初予想に変更はなく売り上げ32億円(前期比38.5%増)、営業利益5000万円(前期は9600万円の赤字)、経常利益6000万円(同4700万円の赤字)、純利益6000万円(同2900万円の赤字)と黒字転換を見込んでいる。今年1月の日本郵便九州支社と連携した鳥栖センターの開設、今年5月に予定している日本航空<9201>(東1)と業務提携した千歳空港、旭川空港の空港内集荷場の開設なども寄与してくる。

■前回2017年の株式分割の権利落ち埋め再現で25日線からの11%超の下方かい離修正を加速

 株価は、今年2月25日に株式分割(1株を5株に分割)の権利を4775円で落とし、権利落ち理論価格水準の900円台を出没する動きを続けたが、2Q累計業績が、赤字着地となり、小幅黒字転換した今期第1四半期(2018年9月~11月期、1Q)業績との比較感が働き、分割権利落ち後安値717円へ急落した。前回2017年の株式分割では、権利付き最終値5920円に対して落ち後安値1610円まで調整したが、今年1月には5880円まで上値を伸ばしほぼ権利落ち分を埋めたことも連想し、25日移動平均線からはなお11%超のマイナスかい離は売られ過ぎとして10連休明け後のリバウンド幅拡大が想定される。(本紙編集長・浅妻昭治)

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