【編集長の視点】アイリックは分割権利落ち後高値に肉薄、3Q決算発表を先取りして業績再上ぶれ期待

 アイリックコーポレーション<7325>(東マ)は、平成最終売買日の4月26日に1円安の1961円と小反落して引けたが、取引時間中には2000円大台にタッチし、今年2月24日につけた株式分割の権利落ち後高値2015円に肉薄した。同社は、10連休明け後の5月14日に今2019年6月期第3四半期(2018年7月~2019年3月期、3Q)決算の発表を予定しており、今期第2四半期(2018年7月~12月期、2Q)累計業績が、昨年12月の上方修正値を上ぶれて着地したことを連想して、業績再上ぶれ期待を高めて買い増勢となった。26日の大引けでは10連休を控えたポジション調整売りで小反落したが、昨年大納会の大引け値から今年4月26日終値までの全市場の上昇率ランキングで第32位にランクインする高人気を誇るなど値動きの軽さも発揮しており、買い手掛かりとなっている。


――――「ASシステム」の大手導入が続き上方修正値を上ぶれた2Q業績の再現も――――

 同社の今期2Q累計業績は、昨年12月に上方修正されたが、着地は増額値を売り上げが2400万円、営業利益が4900万円、経常利益が4800万円、純利益が2500万円それぞれ上回り、売り上げ17億5900万円、営業利益2億2400万円、経常利益2億200万円、純利益1億2100万円となった。昨年9月に新規株式公開(IPO)され2Q累計業績は初作成となるため前年同期比較はないが、保険販売事業の販売が好調で、来店型の保険ショップ「保険クリニック」の直営店が、前期末比3店舗増加の34店舗、集客数が、前年同期より227人増の5148人、直営店の成約率も、同51.5%から54.2%へ、1件当たりの成約単価も、同11万円が18万3000円に拡大したことなどが寄与した。

 今2019年6月期通期業績は、IPO時予想に変更はなく売り上げ35億8400万円(前期比15.9%増)、営業利益4億4400万円(同66.6%増)、経常利益4億4100万円(同75.7%増)、純利益3億600万円(同75.4%増)と大幅続伸し、純利益は、2017年3月期の過去最高(1億8600万円)を大幅に更新すると見込んでいる。ただ2Q決算後も、来店型保険ショップ「保険クリニック」を積極的に全国展開しているほか、日本初開発のAI(人工知能)を活用した生命保険の現状把握・検索提案システム「ASシステム」などの大手生保導入が続いており、業績再上ぶれ期待を高めている。

 東洋経済会社四季報最新号では、今6月期業績を売り上げ38億円、営業利益5億4000万円、経常利益5億4000万円、純利益3億6000万円と観測しており、この観測通りに再上ぶれるか、3Q業績がIPO時の今6月期通期予想業績に対してどの程度の進捗率を示すか5月14日の決算発表がクローズアップされよう。 

――――昨年大納会から実質2倍の大化けと値動きの軽さを発揮し上値トライが加速――――

 株価は、今期2Q累計業績の上方修正で2500円まで上値を伸ばし、2Q累計業績の上ぶれ着地で3100円台まで買い進まれ、株式分割(1株を2株に分割、基準日3月31日)を歓迎して上場来高値3570円まで人気を高めて、3250円で株式分割の権利を落とした。分割権利落ち後は、理論価格を下回る1465円まで調整したが、琉球銀行への「ASシステム」正式導入などをテコに落ち後高値2015円まで37%高し、実質的には上場来高値を更新した。昨年12月の大納会大引け値からのこの4カ月間の上昇率は、株式分割を勘案して実質2倍の大化けと値動きも軽く、値幅効果を発揮して一段の上値トライが加速しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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