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インフォコムは上場来高値目指す、20年3月期も増収増益・増配予想
- 2019/5/13 06:32
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インフォコム<4348>(東1)は、ITサービスや電子コミック配信サービスを主力として、IoT領域などへの事業拡大も推進している。19年3月期は増収増益・増配だった。20年3月期も増収増益・増配予想である。株価は急反発して戻り高値圏だ。18年12月の上場来高値を目指す展開を期待したい。
■ITサービス事業とネットビジネス事業を展開
帝人<3401>グループで、ITサービス(医療機関・製薬企業・介護事業者向けヘルスケア事業、一般企業向けSIのエンタープライズ事業、RPAとAIを活用したERPソフト「GRANDIT」や緊急連絡・安全確認サービスなどのサービスビジネス事業)、および一般消費者向けネットビジネス(子会社アムタスの電子コミック配信サービス「めちゃコミック」、女性向け・音楽系デジタルコンテンツ提供)を展開している。
19年3月期のセグメント別(連結調整前)売上構成比はITサービス47%、ネットビジネス53%、営業利益構成比はITサービス36%、ネットビジネス64%である。電子コミック配信サービスの拡大でネットビジネスが利益柱に成長した。なお収益面ではITサービス事業は年度末にあたる第4四半期の構成比が高い特性がある。
■電子コミックとヘルスケアで成長加速
中期経営計画(18年3月期~20年3月期)では、基本方針を成長の追求、および成長を支える経営基盤の継続強化としている。
成長の追求では電子コミックとヘルスケアを重点事業としてM&Aを積極推進し、AIやIoTを活用したビジネス展開も推進する。成長を支える経営基盤の継続強化では品質管理の継続強化とサービス品質向上、業務プロセス改革による効率化と社会との協業強化、人財育成強化を推進する。
経営目標数値には、20年3月期売上高600億円~800億円(SI・サービス160億円、ヘルスケア140億円、電子コミック300億円、およびM&A200億円)、EBITDA(営業利益+償却費)70億円~100億円、重点事業(電子コミックとヘルスケア)比率70%、ROE10%以上、配当性向30%を掲げ、M&A戦略投資枠200億円を掲げている。
18年3月には電子書籍事業大手パピレス<3641>の株式を取得(議決権割合9.83%)した。18年6月にはAI与信エンジン搭載の通信販売事業者向け後払い決済与信サービス「at score」を発表した。18年7月にはヘルスケア分野において、SOMPOホールディングス<8630>と「シニアポータル構想」の共同推進で合意した。サービス第一弾としてSOMPOケアの介護施設利用者向け「買い物代行サービス」の実証実験を開始する。
19年4月にはアムタスが、韓国で電子コミック配信サービスを展開するピーナトゥーンを子会社化(効力発生日5月14日予定)すると発表した。海外市場開拓を本格化する。
■19年3月期増収増益・増配、20年3月期も増収増益・増配予想
19年3月期の連結業績は、売上高が18年3月期比13.0%増の517億28百万円、営業利益が18.2%増の68億89百万円、経常利益が14.9%増の68億75百万円、純利益が3.1%増の47億83百万円だった。電子コミック配信サービスが牽引し、計画値(18年10月29日に上方修正、19年1月31日に売上高を上方修正)を上回る水準で着地した。なお特別利益で18年3月期に計上した固定資産売却益が剥落した。配当は19年3月1日付株式2分割遡及修正後で3円増配の年間22円(第2四半期末5円、期末17円=普通配当15円+東証1部上場記念配当2円)とした。連続増配で配当性向は25.2%となる。
ITサービスは1.0%減収だが1.1%営業増益だった。製薬企業向けが減収となり、不採算案件もマイナス要因だったが、病院向けの好調でカバーした。ネットビジネスは29.2%増収で30.7%営業増益だった。電子コミック配信サービスの好調(売上高は31.8%増の266.7億円)が牽引した。データ分析の高度化や独占先行配信の効果が発現した。
20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比10.2%増の570億円、営業利益が13.2%増の78億円、経常利益が13.5%増の78億円、純利益が8.7%増の52億円としている。配当予想は19年3月1日付株式2分割遡及修正後で7円増配の年間29円(第2四半期末10円、期末19円)としている。連続増配で予想配当性向は30.5%となる。
ネットビジネスの電子コミック配信サービスの好調が牽引し、ITサービスにおいてもヘルスケア事業が順調に推移する見込みだ。セグメント別計画は、ITサービスの売上高が3.2%増の250億円で営業利益が8.6%増の27億円、ネットビジネスの売上高が16.4%増の320億円(電子コミック配信サービスが19.5%増の318.7億円)で営業利益が16.1%増の51億円としている。
電子コミック配信サービスはTV-CMを含めてプロモーションを強化し、韓国のピーナトゥーンを子会社化して海外市場開拓を本格化する。ヘルスケア事業は病院向けサービスや介護分野サービスを強化する。収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は毎年9月末の株主対象
株主優待制度は毎年9月30日現在で1単元(100株)以上保有株主を対象として実施している。
■株価は上場来高値目指す
株価(18年11月28日付でJASDAQから東証1部に市場変更、19年3月1日付で株式2分割)は、急反発して戻り高値圏だ。5月9日には2233円まで上伸した。18年12月の上場来高値2535円を目指す展開を期待したい。5月10日の終値は2177円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS95円07銭で算出)は約23倍、今期予想配当利回り(会社予想年間29円で算出)は約1.3%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS595円05銭で算出)は約3.7倍、時価総額は約1254億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)