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神鋼商事は売られ過ぎ感、20年3月期減益予想だが保守的
- 2019/5/13 06:31
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
神鋼商事<8075>(東1)は鉄鋼や非鉄金属関連の専門商社で、KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核となるグローバル商社を目指している。19年3月期は減益だった。20年3月期も不透明感が強いとして減益予想だが、やや保守的だろう。株価は決算発表に対してネガティブ反応となったが売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して反発を期待したい。
■KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核商社
神戸製鋼所<5406>系で鉄鋼製品、鉄鋼原料、非鉄金属、機械・情報、溶接材料・機器などを扱う専門商社である。M&Aも積極活用し、KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核となるグローバル商社を目指している。
18年3月期のセグメント別経常利益(連結調整前)構成比は、鉄鋼51%、鉄鋼原料14%、非鉄金属20%、機械・情報15%、溶材4%、その他マイナス4%である。
中期経営計画の目標値には21年3月期売上高8900億円、経常利益80億円、純利益52億円、海外取引比率50%、自己資本比率20%以上、ROE8%以上、D/Eレシオ1.0倍、投資計画4年間合計300億円などを掲げている。
なお連結子会社のコベルコ筒中トレーディングを完全子会社化(19年5月予定)し、さらに中山金属と合併予定(19年7月予定、商号未定)である。非鉄金属セグメントにおける営業体制の最適化を図る。
■19年3月期減益、20年3月期も減益予想だが保守的
19年3月期の連結業績は、売上高が18年3月期比2.5%増の9525億07百万円、営業利益が2.4%減の79億22百万円、経常利益が7.1%減の80億16百万円、純利益が7.9%減の50億19百万円だった。配当は18年3月期と同額の年間110円(第2四半期末55円、期末55円)で、配当性向は19.4%となる。
経常利益は概ね計画水準の減益で着地した。鉄鋼が堅調に推移し、機械・情報と溶材の損益が改善したが、鉄鋼原料が粗鋼生産量減少の影響、非鉄金属が液晶・半導体需要調整局面の影響を受けた。セグメント別経常利益は、鉄鋼が6.8%増の43億25百万円、鉄鋼原料が11.2%減の12億37百万円、非鉄金属が22.1%減の16億94百万円、機械・情報が31.4%増の12億71百万円、溶材が2.6倍の3億42百万円だった。
20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比2.9%増の9800億円、営業利益が12.9%減の69億円、経常利益が12.7%減の70億円、純利益が8.3%減の46億円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間110円(第2四半期末55円、期末55円)で、予想配当性向は21.2%となる。
セグメント別経常利益予想は、鉄鋼が36億円、鉄鋼原料が11億円、非鉄金属が16億円、機械・情報が10億円、溶材が4億円としている。不透明感が強いとして減益予想だが、やや保守的だろう。
■株価は売られ過ぎ感
株価は決算発表に対してネガティブ反応となったが売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して反発を期待したい。5月10日の終値は2403円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS519円48銭で算出)は約5倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間110円で算出)は約4.6%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS5946円33銭で算出)は約0.4倍、時価総額は約213億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)