【編集長の視点】イトーキは続落も今12月期業績予想据え置きに働き方改革関連人気が加わり押し目買いが交錯

 イトーキ<7972>(東1)は、前日13日に11円安の500円と変わらずを挟んで9営業日続落して引け、今年3月25日につけた年初来安値506円を更新した。米中貿易摩擦激化懸念で日経平均株価が、153円安と6営業日続落したことから同社株にも売り物が続いた。ただ前場取引時間中には、この日大引け後に発表予定の今2019年12月期第1四半期(2019年1月~3月期、1Q)決算を先取りして516円まで買い進まれる場面があった。その1Q業績は連続減益で着地したが、12月期通期業績は、期初予想を据え置いて増益転換を見込み、働き方改革関連の需要拡大期待が加わって下値には押し目買いも交錯した。

■「XORK」のショールーム機能が寄与しオフィスの新築・移転需要を取り込む

 同社の今期1Q業績は、売り上げが338億9700万円(前年同期比4.3%増)と続伸したが、営業利益は20億9100万円(同10.6%減)、経常利益は20億9500万円(同11.9%減)、純利益は12億2600万円(同22.1%増減)と連続減益となった。売り上げは、オフィス関連事業で首都圏や都市部の新築・移転需要やリニューアル需要に対して、昨年10月にオープンした働き方改革のワーキングショールーム機能を持たせた新本社オフィス「ITOKI TOKYO XORK(イトーキ・トウキョウ・ゾーク)」を通じてトータルな提案営業を推進し、設備機器関連事業でも物流設備の受注が好調に推移したことなどから続伸した。利益は、原材料や部材の購入原価の上昇や新本社オフィスの家賃負担、新規事業に係る先行投資費用などが重なって連続減益となった。

 今12月期通期業績は、期初予想に変更はなく売り上げ1230億円(前期比3.6%増)、営業利益31億円(同60.8%増)、経常利益30億円(同26.7%増)、純利益17億円(同1.5%減)と利益はV字回復を見込んでいる。なお純利益は、前期に計上した固定資産売却益が一巡し小幅減益継続となる。今年4月1日に働き方改革関連法が施行されて関連需要が本格化し、「XORK」のフル寄与や昨年10月に業務提携したオランダのワークスタイルコンサルティング企業Veldhoen社から導入した統合的ワークスタイル戦略「ABW」により働き方改革のコンサルティング事業を強化することなどが要因となる。なお同社は創業130周年を迎える2020年12月期を最終年度に3カ年の中期経営計画を推進しており、最終年度の数値目標として売り上げ1280億円、営業利益65億円、経常利益67億円を目指しており、成長加速となる。

■投資採算的にも低PER・PBRでテクニカル的にも売られ過ぎを示唆し底上げに再発進

 株価は、今期業績の増益転換予想に反応してつけた年初来高値638円から世界景気減速懸念を背景とした全般相場の急落に巻き込まれて年初来安値506円まで調整し、4月1日の働き方改革関連法案の施行とともに底上げ、578円までリバウンドした。足元では6営業日続落となった令和相場の波及で年初来安値500円まで再調整した。投資採算的にはPERは13倍台、PBRは0.48倍、配当利回りも2.6%と割り負け、テクニカル的にも25日移動平均線から8%超のマイナスかい離と売られ過ぎを示唆しており、底上げに再発進、今期業績の増益転換予想で買い進まれた年初来高値638円を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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