ジェイテックは20年3月期減益予想で急落したが売り一巡感

 ジェイテック<2479>(JQ)は技術者派遣の「技術商社」を標榜し、技術職知財リース事業を展開している。19年3月期は大幅増益だったが、20年3月期は減益予想としている。これを嫌気して株価は5月13日に急落したが、14日には前日比プラスに転じて早くも売り一巡感を強めている。

■技術者派遣の「技術職知財リース事業」が主力

 製造業の開発・設計部門に技術者を派遣する「技術職知財リース事業」を主力としている。専門教育による知識を基盤として、新たな付加価値を顧客に提供する社員を「テクノロジスト」と呼称し、一般的なエンジニアと区別している。そして「技術商社」を標榜し、テクノロジストが保有する知恵を提供(リース)することで、顧客とともに新たな価値を創造する「技術職知財リース事業」としている。18年4月1日時点のテクノロジスト数は428名である。

 機械設計開発、電気・電子設計開発、ソフトウェア開発、建築設計の4分野を柱として、LIXIL、本田技術研究所、デンソーテクノ、ヤマハ発動機、三菱日立パワーシステムズ、パナソニックホームアプライアンス、富士通テンなど、幅広い業種の優良企業との取引がある。特定の業界・企業への依存度を低くして、業種別・顧客別売上構成比のバランスを維持していることも特徴だ。

 18年3月期の業種別売上構成比は、自動車関連21%、産業用機器関連17%、精密機器関連3%、情報通信機器関連3%、電子・電気機器関連8%、半導体・集積回路関連3%、情報処理関連12%、建築関連24%などとなっている。また顧客上位10社の占める割合は約49%である。

 18年3月には、インターネットを通じて派遣社員の勤怠状況を管理するクラウドサービス「staff-one」の販売を開始した。また18年10月には、多言語対応注文支援システム「グルくる」が経済産業省のIT導入補助金の対象サービスに認定された。

 なお19年4月、連結子会社のジェイテックアドバンストテクノロジ(JAT)とジェイテックアーキテクト(JAC)を合併(存続会社JAT)した。

■19年3月期大幅増益、20年3月期減益予想

 19年3月期の連結業績は、売上高が18年3月期比2.3%増の31億25百万円、営業利益が2.0倍の1億56百万円、経常利益が2.1倍の1億56百万円、純利益が2.7倍の91百万円だった。計画値(1月28日に売上高を下方修正、利益を上方修正)を下回ったが大幅増益だった。配当は18年3月期と同額の年間1円(期末一括)とした。配当性向は9.4%となる。

 計画どおりのテクノロジスト確保が難しく、人材不足で受注案件に対応できない状況だったが、技術職知財リース事業におけるテクノロジストの高付加価値業務への配属、新入社員の早期派遣稼働、稼働率の高水準推移、契約単価の上昇、一般派遣およびエンジニア派遣事業におけるのれん償却の一巡、全社を挙げた業務効率化などで大幅増益だった。セグメント別には技術職知財リース事業が2.2%増収で21.6%増益、一般派遣およびエンジニア派遣事業が4.6%増収で2.6倍増益だった。

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比11.5%増の34億85百万円、営業利益が22.3%減の1億22百万円、経常利益が22.6%減の1億21百万円、純利益が28.7%減の65百万円としている。需要が高水準に推移して2桁増収だが、採用コストの増加などで減益予想である。配当予想は19年3月期と同額の年間1円(期末一括)としている。予想配当性向は13.2%となる。

 中期経営計画では目標値に、21年3月期売上高35億74百万円、営業利益1億15百万円、経常利益1億14百万円、純利益87百万円を掲げている。人材確保が課題だが収益拡大を期待したい。

■株価は売り一巡感

 株価は20年3月期減益予想を嫌気して5月13日に急落したが、14日には前日比プラスに転じて早くも売り一巡感を強めている。5月14日の終値は229円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS7円58銭で算出)は約30倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間1円で算出)は約0.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS105円40銭で算出)は約2.2倍、時価総額は約20億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  2. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
  3. ■新たなモビリティ社会実現に向けた取り組み加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は10月…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る