- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- 【アナリスト水田雅展の銘柄分析】うかいは高値圏で堅調、16年3月期の収益改善期待
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】うかいは高値圏で堅調、16年3月期の収益改善期待
- 2015/4/13 07:00
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
高級料理店うかい<7621>(JQS)の株価は2月の戻り高値後に上げ一服の形だが、戻り高値圏の2300円台で堅調に推移して日柄調整一巡感も強めている。16年3月期の収益改善を期待する流れに変化はなく、14年1月高値2580円を目指す展開だろう。
飲食事業(高級和食・洋食店)を主力として、文化事業(箱根ガラスの森美術館)も展開している。新たな成長ステージに向けた戦略として、商圏1万キロに向けたブランド構築、新業態の定着と新規出店、サービス向上のための人材育成、製菓工房「アトリエうかい」の本格稼働、和食店のお土産品強化、物販における販路開拓、海外へのブランド発信と海外企業との業務提携などを推進している。
14年4月には、国内で4年ぶりの新店となる新業態の割烹料理店「銀座kappou ukai(呼称:割烹うかい)」をオープンした。海外は13年5月に、台湾・高雄市FIHリージェントグループホテル内レストランのコンサルティング契約を締結して海外初出店を決定した。16年オープンに向けて準備を進めている。
前期(15年3月期)の業績(非連結)見通し(11月7日に減額修正)は売上高が前々期比1.3%増の121億81百万円、営業利益が同49.5%減の1億94百万円、経常利益が同66.1%減の1億11百万円、純利益が同86.2%減の36百万円で、配当予想(5月19日公表)は前々期(第2四半期末2円、期末13円)と同額だが期末一括で年間15円としている。
第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比1.4%増収、同37.5%営業減益、同45.0%経常減益、同47.8%最終減益だった。消費増税や天候不順の影響で売上高がやや伸び悩み、人件費の増加、新店「銀座kappou ukai」の開業費計上、創業50周年記念事業費の計上、株主優待制度の充実に伴う費用の引当などで大幅減益だった。通期ベースでも費用増加で大幅減益見通しとしている。
ただし四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)30億66百万円、第2四半期(7月~9月)29億30百万円、第3四半期(10月~12月)34億99百万円、営業利益は第1四半期84百万円、第2四半期1億23百万円の赤字、第3四半期3億80百万円である。第3四半期の収益は大幅に改善した。
また通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が78.0%、営業利益が175.8%、経常利益が247.8%、純利益が394.5%で利益は大幅に超過達成した。
月次売上高(前年比、アトリエうかいの店頭販売含む)を見ると、15年3月は全店97.2%、既存店95.3%、14年4月~15年3月累計は全店102.2%、既存店99.3%だった。
今期(16年3月期)は消費増税や天候不順の影響が一巡し、コスト面での新店「銀座kappou ukai」開業費や記念事業費の一巡も寄与して収益改善基調だろう。株価上昇による高額消費の活発化、企業業績の改善、賃金上昇に伴う消費マインドの改善、外国人旅行客のインバウンド消費増加なども追い風となる。
中長期経営計画では17年3月期売上高127億53百万円、営業利益6億40百万円を目標値として掲げている。ブランド認知度の向上、圏央道相模原愛川IC~高尾山IC間の開通に伴う商圏拡大などに加えて、和食がユネスコの世界無形文化遺産に登録されたことも追い風だ。中期的に収益拡大基調だろう。
株主優待制度については14年5月に実施時期変更を発表し、毎年3月期末から毎年9月中間期末に変更して14年9月末から実施した。そして14年8月に優待内容変更を発表した。箱根ガラスの森入場招待券1500円×10枚(1万5000円相当)を廃止し、代わりに100株以上所有株主に対して箱根ガラスの森株主限定食事付入場招待券5枚(1万5000円相当)を贈呈する。その他の優待内容に関しては所有株式数に応じた食事優待券または特選うかい牛肉で変更はない。
株価の動きを見ると、2月19日の戻り高値2395円後は上げ一服の形だが、戻り高値圏2300円台で堅調に推移して日柄調整一巡感も強めている。16年3月期の収益改善を期待する流れに変化はないだろう。
4月10日の終値2329円を指標面で見ると、前期推定PER(会社予想のEPS7円00銭で算出)は333倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は0.7%近辺、前々期実績PBR(前々期実績のBPS925円47銭で算出)は2.5倍近辺である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が接近して切り返しの動きを強めている。サポートラインを確認した形だろう。16年3月期の収益改善を期待する流れに変化はなく、14年1月高値2580円を目指す展開だろう。