ジャパンフーズは調整一巡して反発期待、20年3月期経常増益・最終黒字化予想

 ジャパンフーズ<2599>(東1)は飲料受託生産の国内最大手である。20年3月期は19年3月期に発生した一時的要因が剥落して経常増益・最終黒字化予想である。受託製造数量増加や生産効率向上などで収益改善を期待したい。株価は安値を更新する場面があったが、調整一巡して反発を期待したい。

■飲料受託生産の国内最大手、フレキシブルな生産が強み

 伊藤忠商事<8001>系で飲料受託生産の国内最大手である。主要得意先はサントリー食品インターナショナル<2587>、伊藤園<2593>、アサヒ飲料などの大手飲料メーカーで、品目別では炭酸飲料と茶系飲料、容器別ではペットボトル飲料を主力としている。本社工場の炭酸・非炭酸兼用無菌充填ラインは、市場環境や顧客ニーズの変化に対応したフレキシブルで効率的な生産が強みだ。

 新規ビジネス分野として、連結子会社JFウォーターサービスは水宅配・ウォーターサーバーメンテナンス事業を展開している。また国内で水宅配フランチャイズ事業を展開するウォーターネット、および中国で清涼飲料受託製造事業を展開する東洋飲料(東洋製罐と合弁)を持分法適用関連会社としている。自社ブランド商品は本社工場がある千葉県産の農林水産物を使用した商品「おいしい房総サイダー」シリーズなどを販売している。

■「100年企業」目指す

 19年5月発表の新中期経営計画「JUMP+プラス2021 -次のステージへ-」では、持続的成長を続ける「100年企業」実現に向けて、経営課題である「ふ(防ぐ)」「け(削る)」「か(稼ぐ)」に対する取り組みを確実に進化させる方針としている。

 経営目標値には22年3月期売上高189億円、営業利益10億円、経常利益11億円、純利益7億50百万円、ROE7.6%を掲げている。配当については、定額の安定配当(1株当たり27円)に加えて、期間業績に応じて配当性向20%を限度とする期末配当の増配を行う方針としている。

 なお17年には総合S&B計画の第1フェーズとして、本社工場内に工場建屋、ペットボトルブロー成型機、炭酸常温充填ラインを新設・稼働した。また19年4月には第2フェーズの設備投資を発表した。効率的な生産体制の構築に向けて新建屋・設備への更新をスタートさせる。新SOT缶ラインは21年1月稼働予定である。

■夏場の上期が繁忙期で冬場の下期は閑散期

 個人消費や天候などの影響を受けやすい。また飲料業界全体が、夏場の上期(4~9月)に繁忙期となって生産量が増加するのに対して、冬場の下期(10~3月)は閑散期となって生産量が減少するため、下期は営業損益が赤字となる収益構造だ。

 なお16年3月期から一部飲料メーカーとの取引形態が、有償支給(顧客指定の原材料を購入し、加工料+原材料費で売上計上する方法)から、無償支給(顧客指定の原材料を受給し、加工料を売上計上する方法)に変更された。このため見かけ上の売上高は大幅に減少しているが、実質的な売上高である加工料収入に影響はない。

■20年3月期経常増益・最終黒字化予想

 19年3月期連結業績は、売上高が18年3月期比11.6%増の165億77百万円、営業利益が14.3%減の7億66百万円、経常利益が29.1%減の6億80百万円、そして純利益が3億35百万円の赤字(18年3月期は6億58百万円の黒字)だった。配当は18年3月期と同額の年間27円(第2四半期末10円、期末17円)とした。

 国内飲料受託製造事業において受託製造数(7.0%増の4437.6万ケース)が順調に増加し、全体としても2桁増収だったが、上半期の出遅れ(新製品対応設備工事に伴うライン停止や一時的な生産効率低下)の影響、減価償却費の増加、物流費やユーティリティ関連費用の増加、海外飲料受託製造事業における受託製造数量の減少や外貨建債務の期末評価換算差額の影響で経常減益となり、さらに特別損失(国内飲料受託製造事業において将来発生する建屋取り壊し費用に対する引当金繰入額、および一部設備の減損損失)を計上して最終赤字だった。

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比10.4%増の183億円、営業利益が4.8%減の7億30百万円、経常利益が17.6%増の8億円、純利益が5億50百万円の黒字(19年3月期は3億35百万円の赤字)としている。配当予想は19年3月期と同額の年間27円(第2四半期末10円、期末17円)としている。予想配当性向は23.7%である。

 20年3月期は19年3月期に発生した一時的要因が剥落して経常増益・最終黒字化予想である。受託製造数量の増加、生産効率の向上、海外の回復などで収益改善を期待したい。

■競争力強化で中期成長期待

 飲料業界全体が天候の影響を受けやすいことに加えて、大手飲料メーカーの再編や内製拡大による受託製造量減少を懸念する見方もあるが、夏場の繁忙期と冬場の閑散期という季節間の需要格差が大きい業界のため、大手飲料メーカーにとって内製拡大は設備投資や固定費負担の面でリスクが大きい。また飲料メーカーは経営効率化の観点からも、経営資源の重点をマーケティング分野にシフトする動きを強めている。

 このため飲料受託生産の役割や存在感は一段と高まっている。そして当社は飲料受託生産の最大手として、高品質でフレキシブルな生産対応が可能な強みを発揮することが期待される。さらに一段の競争力強化に向けた投資の成果により、受託製造数量増加、プロダクトミックス改善、コストダウンが進展して中期成長が期待される。

■株主優待制度は毎年3月末の株主対象

 株主優待制度は、毎年3月31日時点の1単元(100株)以上所有株主を対象として、自社製品詰め合わせセットなどを贈呈している。

■株価は調整一巡して反発期待

 株価は決算発表を機に安値を更新する場面があったが、調整一巡して反発を期待したい。5月21日の終値は1103円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS114円04銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間27円で算出)は約2.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1629円39銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約56億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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