アールシーコアは調整一巡、20年3月期黒字化予想

 アールシーコア<7837>(JQ)はログハウス「BESS」を販売している。19年3月期はカナダで発生した自然災害の影響などで赤字だったが、20年3月期は一過性要因が一巡し、高水準の受注残高や生産革新の効果も寄与して黒字化予想である。収益改善を期待したい。株価は水準を切り下げたが、調整一巡して反発を期待したい。

■ログハウスのオリジナルブランド「BESS」を販売

 自然材をふんだんに使った個性的な木の家であるログハウスのオリジナルブランド「BESS」の販売を、国内直販部門、連結子会社BESSパートナーズ(BP)社、および国内販社で展開している。19年3月期のセグメント別売上構成比は直販部門が32%、販社部門が52%、BP社が17%である。FCを中心とした事業展開で高資本効率を実現している。

 18年3月期末の展示場は45拠点である。18年4月からは単独展示場の呼称を「LOGWAY」に変更し、東京都昭島市に「LOGWAY BESS多摩」をオープンした。東京・代官山「BESS スクエア」および神奈川・藤沢市「BESS 藤沢」に続く3ヶ所目の直営拠点である。19年秋には福岡地区(福岡県)に新規オープンを予定している。

 収益は直販部門とBP社の「BESS」売上、販社からのロイヤリティ収入および販社へのキット部材売上などである。四半期収益は物件引き渡し件数・時期などで変動しやすい特性がある。

 中期経営計画(18年3月期~20年3月期)では目標数値に20年3月期売上高200億円、営業利益率8%、ROE18%、重点戦略にBESSファンが集う「触媒力」の拡大、新時代の暮らし方「梺(ふもと)ぐらし」創出、BESSブランドを旗印とした「販社制度」の強化、そして「生産革新」の実行を掲げている。なお生産革新のBH生産システムは19年3月期下期から施工が本格化する見込みだ。

■20年3月期黒字化予想

 19年3月期連結業績は、売上高が18年3月期比8.0%減の123億97百万円、営業利益が6億35百万円の赤字(18年3月期は4億45百万円の黒字)、経常利益が6億80百万円の赤字(同4億55百万円の黒字)、純利益が5億41百万円の赤字(同3億64百万円の黒字)だった。配当は2円増配の年間50円(第2四半期末25円、期末25円)とした。連続増配である。

 17年にカナダ西海岸で発生した大規模な山火事や水害等の自然災害に端を発した原木供給の減少、米国や中国における旺盛な木材需要の影響で、カントリーログに必要な大口径の良質なカナダ材の確保が困難となり、顧客や販社に対する部材の納品が遅延した。このため売上高が計画を下回り減収だった。直販部門は8.0%減収、販社部門は4.4%減収、BP社が3.7%減収だった。

 利益面では、減収に伴う売上総利益の減少、BESS多摩オープン先行投資の発生に加えて、大規模販社がBESS事業とは無関係の事業の不振で経営難に陥ったことによりBP社が既存契約・工事。拠点運営を承継したことに伴う費用の発生が影響して赤字だった。
 
 ただし、新規拠点オープン効果などで全国「LOGWAY」拠点への新規来場者数は14.0%増加、再来場者数は7.8%増加し、契約(受注)高はBH生産システムによる部材取り扱い拡大なども寄与して過去最高(19.1%増の161億69百万円)となった。期末契約(受注)残高は56.3%増の139億60百万円となった。

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比53.3%増の190億円、営業利益が3億30百万円の黒字(19年3月期は6億35百万円の赤字)、経常利益が2億80百万円の黒字(同6億80百万円の赤字)、純利益が2億円の黒字(同5億41百万円の赤字)としている。配当予想は19年3月期と同額の年間50円(第2四半期末25円、期末25円)としている。予想配当性向は105.2%となる。

 19年3月期の一過性要因(カナダ山火事の影響、一部販社経営難による運営承継に係る費用発生の影響)が一巡し、高水準の期首受注残高(19年3月末時点で18年3月期末比56.3%増の139億60百万円)や、生産革新の効果も寄与して黒字化予想である。中期経営計画の目標値を下回るが、収益改善を期待したい。

■株主還元はDOEを重視、株主優待は3月末と9月末の株主対象

 利益配分については、DOE(純資産配当率)を重視した長期的視点での安定配当を行うことを基本とし、当面はDOEを7%程度まで高めることを目標としている。株主優待制度は毎年3月末および9月末時点の株主を対象として、年2回実施している。

■株価は調整一巡

 株価は水準を切り下げたが18年12月安値まで下押す動きは見られない。調整一巡して反発を期待したい。5月22日の終値は991円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS47円48銭で算出)は約21倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間50円で算出)は約5.0%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS900円81銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約45億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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