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ゼリア新薬工業は急反発して戻り歩調、20年3月期大幅増益予想
- 2019/5/28 08:59
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。19年3月期は減収減益だったが、20年3月期は増収・大幅増益予想としている。株価は急反発して戻り歩調だ。上値を試す展開を期待したい。
■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開
消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。
19年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業51%、コンシューマーヘルスケア事業48%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業22%、コンシューマーヘルスケア事業75%、その他3%だった。地域別売上比率は日本71%、欧州21%、その他8%だった。
医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は15年7月アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、16年11月国内でゼンタコートカプセルを発売した。
コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。
■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進
消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(19年5月10日現在)は以下の通りである。
鉄欠乏性貧血を適応症とするZ-213(ビフォーファーマ社からの導入品)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内での製造販売承認を取得した。本剤は世界75ヶ国で承認を取得している。
子宮頸癌を適応症とするZ-100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。
高カリウム血症を適応症とするZG-801(ビフォーファーマ社からの導入品)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。
海外では、潰瘍性大腸炎を適応症とするZ-206(自社グループ品)を中国で承認申請中である。機能性ディスペプシアを適応症とするZ-338(自社品)は欧州で第3相段階である。なお潰瘍性大腸炎を適応症とするTP05(自社グループ品)は18年12月欧州で発売開始した。
■20年3月期増収・大幅増益予想
19年3月期の連結業績は、売上高が18年3月期比4.2%減の618億31百万円、営業利益が22.6%減の37億37百万円、経常利益が35.2%減の32億95百万円、純利益が16.9%減の34億54百万円だった。配当は18年3月期と同額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で配当性向は48.9%となる。
18年4月の想定以上の薬価引き下げ、競合品・後発品の影響などで減収となり、研究開発費や広告宣伝費の増加なども影響して大幅減益だった。営業外費用では為替差損益が悪化した。特別利益には受取和解金15億79百万円を計上した。
医療用医薬品は売上高が8.0%減の318億30百万円で営業利益が26.4%減の18億95百万円だった。主力のアサコールが国内で薬価改定や競合品・後発品の影響で苦戦した。Entocort(国内販売名ゼンタコート)は国内、カナダ、北欧、ドイツを中心に拡大した。コンシューマーヘルスケアは売上高が0.0%増の298億41百万円で営業利益が8.9%減の65億11百万円だった。ヘパリーゼ群は製品ラインアップ強化も寄与して拡大したが、コンドロイチン群が競争激化で苦戦した。
20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比5.1%増の650億円で、営業利益が33.8%増の50億円、経常利益が51.7%増の50億円、純利益が10.0%増の38億円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で、予想配当性向は42.9%となる。
コスト面では研究開発費が増加するが、医療用医薬品では海外市場におけるアサコールやEntocortの伸長、コンシューマーヘルスケアではヘパリーゼ群の拡大を見込んでいる。好業績を期待したい。
■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象
株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。
■株価は急反発して戻り歩調
自己株式取得は19年5月10日に取得期間を延長して、上限380万株・82億円、取得期間18年6月18日~19年6月14日とした。19年5月9日時点の累計取得株式数は274万3000株である。
株価は急反発して戻り歩調だ。上値を試す展開を期待したい。5月27日の終値は2076円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS79円30銭で算出)は約26倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1235円09銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約1103億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)