うかいは戻り歩調、20年3月期大幅増益予想

 うかい<7621>(JQ)は高級和食・洋食料理店を主力として、文化事業(箱根ガラスの森美術館)も展開している。19年3月期は人件費増加などで減益だったが、20年3月期は企画・イベント・プロモーションを積極推進して大幅増益予想としている。収益改善を期待したい。株価は2月の安値から切り返して戻り歩調だ。9月末の株主優待権利取りに向けて上値を試す展開を期待したい。

■高級和食・洋食料理店が主力

 高級和食・洋食料理店の事業本部(和食事業、洋食事業、物販事業)を主力に、文化事業(箱根ガラスの森美術館)も展開している。19年3月期の売上高構成比は事業本部91%(和食42%、洋食42%、物販7%)、文化事業9%だった。収益面では第3四半期の構成比が高い特性がある。

 18年3月東京・六本木ヒルズに、鉄板料理「六本木うかい亭」と割烹料理「六本木 kappou ukai」の2店舗を同時オープンした。19年4月、西日本で初の常設店舗となる「アトリエうかい 阪急うめだ本店」を新規出店した。

 海外は17年11月、第1号店「うかい亭 高雄」を台湾・高雄市のホテル「シルクスクラブ」内にグランドオープンした。18年4月には台湾の御盟建設と業務提携し、台湾台北市の商業施設「微風南山」内に海外2号店「ザ・ウカイ・タイペイ」を19年1月オープンした。

 成長戦略では人材の確保・育成、ブランドの研鑽、物販事業の成長促進、国際的なブランド発信の4つ課題を掲げ、さらなる成長に向けた強固な経営体質の確立に取り組んでいる。数値目標には、21年3月期売上高145億16百万円、営業利益5億50百万円を掲げている。

■20年3月期大幅増益予想

 19年3月期の非連結業績は、売上高が18年3月期比5.1%増の139億12百万円、営業利益が35.6%減の2億28百万円、経常利益が42.7%減の1億96百万円、純利益が55.8%減の96百万円だった。配当は18年3月期と同額の年間18円(期末一括)とした。配当性向は97.6%となる。

 新規出店の通年寄与などで増収だが、戦略的な人材の確保・育成と労働環境整備による人件費の増加などで減益だった。なお事業本部は5.6%増収(和食が2.3%増収、洋食が4.4%増収、物販が38.4%増収、その他が2.0倍増収)で、文化事業は0.2%減収だった。事業本部の既存店売上は99.8%だった。

 20年3月期非連結業績予想は売上高が19年3月期比2.1%増の142億03百万円、営業利益が22.7%増の2億80百万円、経常利益が30.1%増の2億56百万円、純利益が35.7%増の1億31百万円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間18円(期末一括)で、予想配当性向は71.9%となる。

 引き続き店舗設備改修・補修、人材確保・成長に向けた費用が発生するが、それぞれの店舗が持つ独自の魅力を活かした企画・イベント・プロモーションを積極推進して増収増益予想としている。収益改善を期待したい。

 なお事業本部の19年3月売上は全店113.9%、既存店107.2%だった。全店来客数は2ヶ月連続前年比プラスとなった。既存店売上は2ヶ月連続前年比プラス、既存店客単価は15年5月から46ヶ月連続前年比プラスである。

■株主優待制度は毎年9月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じて優待券などを贈呈している。

■株価は戻り歩調

 株価は2月の安値2950円から切り返して戻り歩調だ。5月27日には3530円まで上伸した。9月末の株主優待権利取りに向けて上値を試す展開を期待したい。5月27日の終値は3530円、今期予想PER(会社予想EPS25円02銭で算出)は約141倍、今期予想配当利回り(会社予想年間18円で算出)は約0.5%、前期実績PBR(前期実績BPS974円76銭で算出)は約3.6倍、時価総額は約185億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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