寿スピリッツは18年高値目指す、20年3月期も2桁増益予想
- 2019/5/28 09:05
- 株式投資ニュース
寿スピリッツ<2222>(東1)は「お菓子の総合プロデューサー」を企業ビジョンに掲げ、首都圏エリア強化や商品プレミアム化などの重点施策を加速している。19年3月期は2桁増益だった。そして20年3月期も2桁増益予想である。中期的にも収益拡大基調だろう。株価は急反発して年初来高値を更新する展開だ。18年2月の上場来高値を目指す展開を期待したい。
■「お菓子の総合プロデューサー」として地域限定ブランド菓子を展開
地域限定ブランド菓子の製造・販売を主力とする持株会社である。全国各地のお菓子のオリジナルブランドとショップブランドを創造する「お菓子の総合プロデューサー」を企業ビジョンに掲げている。さらにWSR(ワールド サプライジング リゾート)宣言を経営スローガンに掲げ、中期経営目標を売上高経常利益率20%としている。
主要子会社(セグメント)はケイシイシイ、寿製菓・但馬寿、シュクレイ、九十九島グループ、販売子会社(東海3社、中国・九州4社、関西2社)である。シュクレイはフランセを17年4月吸収合併して生産直販型会社に移行した。
19年3月期の販売チャンネル別売上構成比は、通信販売6.2%(うちルタオ通販4.8%)、店舗販売(直営店舗、催事)44.5%、卸売(駅・空港・高速道路SAなどの小売店、代理店卸、OEM)45.9%、海外3.2%、その他0.1%である。
駅・空港・高速道路SAなど、交通機関チャネルでの土産品としての販売比率が高いことも特徴である。またクリスマス・年末年始・バレンタイン・ホワイトデー商戦などで、下期の構成比が高くなる季節特性もある。
■首都圏WSR化展開など重点施策が大幅伸長
重点施策として、プレミアム・スイーツブランドの創出と育成(地域・チャンネル特性にマッチした商品開発推進、主力商品リニューアルによるバージョンアップと価格改定、販路開拓やリアル店舗と通販の融合、新業態店の拡大)、インバウンド対策の強化(国内主要国際空港における免税売店等への販売強化、直営店舗での免税対応強化)、首都圏でのWSR化展開(シュクレイの多ブランド展開推進や販路拡大、グループ各社による期間限定店舗展開の推進など)、海外展開、生産性向上による製造採算改善などを推進している。
重点施策の19年3月期売上高は、国内主要国際空港でのインバウンドが18年3月期比32.6%増の46億05百万円、海外(台湾現地法人売上高+韓国・香港向けロイヤルティ含む国内出荷売上高)が14.0%増の13億18百万円、シュクレイ(首都圏WSR化)が20.0%増の138億60百万円だった。いずれも大幅伸長している。
シュクレイは首都圏中心に新規出店、および既存ブランドのリロケーションを加速している。またグループ各社が地方主要地域において、各ブランドでの新規出店を推進している。ケイシイシイは、大阪・東京で新ブランドのハイブリッド型店舗展開を開始した。
■19年3月期2桁増益、20年3月期も2桁増益予想
19年3月期連結業績は、売上高が18年3月期比9.1%増の407億68百万円、営業利益が19.2%増の59億75百万円、経常利益が19.1%増の60億12百万円、純利益が12.4%増の39億72百万円だった。配当は5円増配の年間40円(期末一括)とした。配当性向は31.3%となる。
重点施策を着実に遂行し、シュクレイの収益拡大が牽引して2桁増益だった。純利益は7期連続で最高を更新した。利益面では九十九島グループが収益構造改善に向けた取り組みで黒字化したことも寄与した。売上総利益率は58.6%で1.7ポイント上昇、販管費比率は43.9%で0.4ポイント上昇した。
セグメント別売上高(連結調整前)は、ケイシイシイが1.4%増の120億12百万円、シュクレイが新規出店などで20.0%増138億60百万円、寿製菓・但馬寿が生産移管に伴うグループ向け売上減少で3.3%減の100億80百万円、販売子会社が5.6%増の58億29百万円、九十九島グループが13.3%増の37億59百万円、その他が5.5%減の3億21百万円だった。
20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比10.9%増の452億円、営業利益が16.6%増の69億70百万円、経常利益が16.4%増の70億円、純利益が14.5%増の45億50百万円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間40円(期末一括)で、予想配当性向は27.4%となる。
引き続き首都圏およびインバウンド対策の強化、生産性向上などに取り組み、2桁増益予想である。シュクレイは新規出店や認知度向上で好調を持続する。ケイシイシイは前期の北海道胆振東部地震によるマイナス影響が一巡する。寿製菓・但馬寿および九十九島グループは生産移管の影響が第1四半期で一巡する。その他には連結子会社となったHoney Sucrey Limited(香港)を加える。
重点施策の売上計画はインバウンドが23.8%増の57億円、海外が36.6%増の18億円、シュクレイが15.4%増の160億円、またセグメント別の売上計画はシュクレイが15.4%増収、ケイシイシイが8.2%増収、寿製菓・但馬寿が6.0%増収、販売子会社が5.8%増収、九十九島グループが14.4%増収、その他が2.3倍増収としている。
20年3月期も好業績が期待され、中期的にも収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は、毎年3月末現在の100株以上~500株未満所有株主に対して2000円相当の自社グループ製品、500株以上~1000株未満所有株主に対して4000円相当の自社グループ製品、1000株以上所有株主に対して4000円相当のグループ製品+3000円相当の直営店舗利用優待券(代替商品送付可)を贈呈する。
■株価は18年高値目指す
株価は急反発して年初来高値を更新する展開だ。5月24日には5830円まで上伸した。18年2月の上場来高値6900円を目指す展開を期待したい。5月27日の終値は5750円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS146円21銭で算出)は約39倍、今期予想配当利回り(会社予想年間40円で算出)は約0.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS587円87銭で算出)は約9.8倍、時価総額は約1789億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)