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綿半ホールディングスは下値切り上げ、20年3月期2桁営業増益・連続増配予想
- 2019/5/30 08:47
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
綿半ホールディングス<3199>(東1)はホームセンター中心の小売事業、および建設事業、貿易事業を展開している。19年3月期は営業利益横ばいだったが、20年3月期は2桁営業増益、そして連続増配予想としている。株価は反発力の鈍い展開だが徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。
■小売事業、建設事業、貿易事業を展開
19年3月期セグメント別売上高構成比は小売事業63%、建設事業32%、貿易事業4%、その他0%、営業利益構成比は小売事業31%、建設事業46%、貿易事業21%、その他3%だった。
■小売事業はEDLP×EDLC戦略を推進
小売事業は、綿半ホームエイドが長野県を中心にスーパーセンター業態とホームセンター業態、綿半フレッシュマーケットが愛知県を中心に食品スーパー業態、綿半Jマートが関東甲信越エリアにホームセンター業態を展開している。
18年12月家電・パソコン等の通販サイト「PCボンバー」を運営するアベルネットを子会社化、19年4月長野県内で「お茶元みはら胡蝶庵」8店舗を展開する丸三三原商店を子会社化した。
M&Aも活用したエリア拡大と売場面積拡大、EDLP(エブリデー・ロー・プライス)×EDLC(エブリデー・ロー・コスト)戦略、綿半パートナーズによるグループ商品仕入原価低減とPB商品共同開発・相互供給、全社を一本化する新基幹システムの導入と物流改革などを推進している。
■建設事業は長尺屋根工事や自走式立体駐車場工事に強み
建設事業は、綿半ソリューションズが建築・土木・住宅リフォーム工事、鉄骨・鋼構造物の加工・製造などを展開し、長尺屋根工事などの外装改修工事および自走式立体駐車場工事を強みとしている。
長尺屋根工事では、工場の操業を止めずに老朽化した屋根の改修工事を行うWKカバー工法で特許を取得し、工場・倉庫・物流センター、商業施設、駅舎関連などに豊富な工事実績を誇っている。自走式立体駐車場工事では、柱の少ない認定品「ステージダブル」など国土交通省の認定を多数有し、大型SCの立体駐車場などの工事実績が豊富である。
■貿易事業はジェネリック医薬品向け天然原料などを輸入販売
貿易事業は、医薬品・化成品向け天然原料輸入専門商社の綿半トレーディングが展開している。
ジェネリック医薬品向けアセトアミノフェン(解熱鎮痛剤)や、メキシコ特産でヘアワックス・口紅などに使用するキャンデリラワックス(取り扱い数量国内1位)など特定分野に強みを持ち、製造部門はHMG(ヒト尿由来の排卵障害治療薬)原薬を製造して医薬品メーカーに販売している。
■小売事業は既存店売上と店舗網拡大、建設事業は工事採算に注目
小売事業は既存店売上高、M&Aも活用した店舗網拡大戦略、新業態開発戦略が注目される。建設事業は基本的には第4四半期の構成比が高い季節要因だが、大型案件の動向や個別案件の工事採算動向で利益率が変動する。
■20年3月期2桁営業増益・連続増配予想
19年3月期連結業績は売上高が18年3月期比4.0%増の1064億62百万円、営業利益が0.8%増の23億66百万円、経常利益が0.2%増の25億06百万円、純利益が8.7%増の16億12百万円だった。配当は1円増配の年間33円(期末一括)とした。配当性向は20.2%となる。
建設事業、貿易事業は堅調だったが、小売事業が在庫処分や新規出店・リニューアル費用などで減益となり、全体として営業利益が計画を下回り横ばいにとどまった。
小売事業は0.5%増収だが19.4%減益だった。売上面では17年12月に老朽化した三鷹店を閉店した影響があったが、アベルネットの連結子会社化も寄与して増収を確保した。利益面ではEDLP×EDLC戦略の商品共通化に伴う在庫処分、可児店の新規出店や富士河口湖店のリニューアル費用などの影響で減益だった。なお小売事業の既存店売上は前年比97.8%だった。
建設事業は12.8%増収で6.1%増益だった。受注、工事とも順調に進捗し、採算性を重視した選別受注も寄与した。なお期末受注残高は18.8%増加した。貿易事業は2.7%減収だが、採算改善して16.1%増益だった。
20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比7.3%増の1142億45百万円、営業利益が13.0%増の26億73百万円、経常利益が12.2%増の28億11百万円、純利益が1.7%増の16億40百万円としている。配当予想は1円増配の年間34円(期末一括)とした。連続増配で予想配当性向は20.4%となる。
小売事業は「店舗ならではの楽しみ」を体感できる店舗作りやコスト削減などで、売上高が11.5%増の750億百万円、営業利益が39.0%増の15億円の計画としている。建設事業は建設資材納期遅れなどのリスクを考慮して売上高が1.9%減の335億05百万円だが、生産性向上効果などで営業利益が8.3%増の17億19百万円の計画である。貿易事業は新原料の市場投入などで売上高が14.6%増の53億69百万円、営業利益が0.5%増の7億20百万円の計画である。
なお小売事業の月次売上(速報値)を見ると、19年4月は全店122.1%、既存店97.8%だった。全店売上は18年12月子会社化したアベルネットも寄与した。既存店売上は2ヶ月ぶりに前年比マイナスとなった。前年に比べて平均気温が低く、ガーデニングや季節用品が低調だった。
■景気に左右されない安定・成長性のある事業構造を目指す
中期ビジョンでは基本方針に「時代の変化に対応し、景気に左右されない安定・成長性のある事業構造を創り上げる」を掲げ、多様性のある経営人財の育成、IT化推進による経営改革、M&A推進のための財務体質強化、長期を見据えた海外展開の準備に取り組んでいる。
19年5月発表の新中期経営計画では、目標値に22年3月期売上高1200億円(小売事業790億円、建設事業350億円、貿易事業58億円、その他2億円)、経常利益32億円を掲げた。小売事業では既存店売上を維持しながら、ネット通販など販売手法の多様化も推進する。コスト面では新決済システムや物流改革による効率化を推進する。新規出店は3年間で売場面積4500坪拡大を目指す。建設事業は新製品開発や工場ロボット化による生産性向上、貿易事業は天然原料の新製品投入や販路拡大で収益力向上を目指す。
■株主優待制度は9月末の株主対象
株主優待制度は、毎年9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主を対象として、信州特産品や綿半ホームエイドPB商品詰め合わせなど(1点選択)を贈呈する。
■株価は下値切り上げ
株価は反発力の鈍い展開だが徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。5月29日の終値は2425円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS166円30銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は約1.4%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1488円41銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約239億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)