Eストアーは20年3月期減益予想だが株価のネガティブ反応限定的

 Eストアー<4304>(JQ)はEC総合支援ソリューションサービスを展開している。19年3月期(第2四半期から連結決算に移行)は新製品受注が計画未達で実質営業減益だった。20年3月期も減益予想としている。ただし株価のネガティブ反応は限定的だ。調整一巡して出直りを期待したい。

■EC総合支援ソリューションサービスを展開

 EC総合支援ソリューションサービスを展開している。ヤフーショッピングや楽天市場といったECモール店ではなく、企業のEC本店向けを中心にシステム構築や販促サービスなどワンストップサービスを提供していることが特徴だ。

 システム構築は、販売系でショップサーブ(受注・決済・顧客管理などを一体化した通販システム)、販促系でEストアー・コンペア(デザイン効果を比較して売上増加や広告費削減に繋げるテストツール)、およびEストアー・クエリー(リピート受注を高めるためのメールCRM)を提供している。

 販促サービスは調査分析・コンサルティング、ページ制作、宣伝広告アウトソーシング受託などのソリューションを提供している。また18年8月には、クロストラスト(株)からサイト証明事業を譲り受けて(株)クロストラストを設立し、電子認証サービスを開始した。

 成長戦略として、従来の主力だった販売系システム構築(ショップサーブ)依存から脱却し、EC総合支援ソリューションへの転換を推進している。

 販売系システム(ショップサーブ)は、ECでのポテンシャルが見込める優良顧客に絞り込んで店舗数よりも顧客単価を重視した戦略とする。顧客EC店舗の販促を支援する販促サービスは、大口案件増加を推進する。新たな収益ブロックの販促系システム(Eストアー・コンペア、Eストアー・クエリー)は19年3月期から販売開始した。電子認証は顧客店舗売上・利益低下の保全を推進する。

 19年3月期のサービス区分別売上構成比は、販促サービス(調査分析・コンサルティング、ページ制作、宣伝広告アウトソーシング受託などのソリューション提供)が24%、販促システム(19年3月期から販売開始したEストアー・コンペア、Eストアー・クエリー)が0%、販売システム(ショップサーブ)のストック売上(月間固定料金)が35%、販売システムのフロウ売上(商規模連動料金)が40%だった。

 子会社クロストラストの販売システム/電子認証事業は18年8月顧客店舗への無償提供を開始した。なおメディア事業(名称:パーク)は18年9月サービス終了した。

■20年3月期減益予想

 19年3月期連結業績(18年8月クロストラスト設立に伴い第2四半期から連結決算に移行)は、売上高が49億32百万円、営業利益が5億15百万円、経常利益が5億82百万円、純利益が4億09百万円だった。配当は1円増配の年間29円(期末一括)とした。配当性向は36.4%となる。

 18年3月期非連結業績との比較で売上高は2.2%減収、営業利益は6.9%減益、経常利益と純利益は横ばいだった。新製品の受注が計画を大幅に下回ったため、売上高が計画未達で減収となり、営業利益も減益だった。経常利益と純利益は、関連会社ECホールディングスの持分法投資利益37百万円も寄与して横ばいだった、なお各利益は計画を若干上回る水準で着地した。

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比2.3%増の50億47百万円、営業利益が32.7%減の3億47百万円、経常利益が34.1%減の3億84百万円、純利益が27.2%減の2億98百万円としている。配当予想19年3月期と同額の年間29円(期末一括)で、予想配当性向は46.4%となる。

 販売システム依存から脱却する収益構造改革を推進するため、販売システムの利益が減少し、販促サービス・販促システム拡大に向けた人材など先行投資も影響して減益予想としている。なお、このトレンドは2~3年続く見込みとしている。

■株主優待制度を拡充

 株主優待制度を拡充する。従来は1単元(100株)以上保有株主を対象として、年1回(毎年3月末)クオカード500円分贈呈だったが、年2回(毎年9月末と3月末)クオカード1000円分贈呈に拡充する。19年9月末対象から実施する。

■株価は調整一巡

 株価は安値圏だが、20年3月期減益予想に対するネガティブ反応は限定的だ。調整一巡して出直りを期待したい。5月30日の終値は784円、今期予想配当利回り(会社予想の年間29円で算出)は約3.7%、時価総額は約40億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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