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クレスコは調整一巡、20年3月期は10期連続増収・営業増益予想
- 2019/6/4 08:41
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
クレスコ<4674>(東1)はビジネス系ソフトウェア開発を主力として、カーエレクトロニクス関連などの組込型ソフトウェア開発も展開している。19年3月期は増収増益だった。20年3月期も受注が高水準に推移して10期連続増収・営業増益予想、そして増配予想である。なお配当方針は変更し、連結経常利益をもとに特別損益を零とした場合に算出される親会社株主帰属当期純利益の30%相当を目途に、継続的に実現することを目指すとしている。株価は上値の重い展開だが下値を徐々に切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。
■ビジネス系ソフトウェア開発が主力で組込型ソフトウェア開発も展開
ビジネス系ソフトウェア開発(アプリケーション開発、基盤システム構築)事業を主力として、組込型ソフトウェア開発事業、その他事業(商品・製品販売)も展開している。
19年3月期セグメント別売上高構成比はソフトウェア開発事業82%(金融・保険分野30%、公共・サービス分野24%、流通・その他分野28%)、組込型ソフトウェア開発事業18%(通信システム分野1%、カーエレクトロニクス分野7%、情報家電等・その他分野10%)、その他事業(商品・製品販売等)0%だった。営業利益構成比(連結調整前)はソフトウェア開発事業74%、組込型ソフトウェア開発事業26%、その他0%だった。
18年1月システム開発のネクサスを子会社化、18年4月子会社のアイオスとアプリケーションズを統合、18年9月アルスを子会社化、18年10月アイオスがイーテクノを子会社化、19年4月子会社のクレスコ九州を吸収合併した。
収益面では案件別の採算性が影響し、企業のIT投資関連のため年度末にあたる第4四半期の構成比が高くなる季節特性がある。
なお配当方針は変更し、連結経常利益をもとに特別損益を零とした場合に算出される親会社株主帰属当期純利益の30%相当を目途に、継続的に実現することを目指すとしている。20年3月期中間配当から適用する。
■質的・量的成長目指す
中期成長に向けた5ヶ年経営ビジョン(16年4月~)では、経営方針としてCRESCO Ambition 2020に沿った経営、サービス品質強化による質的成長、リソース・技術戦略強化による量的成長、M&Aによる成長スピード拡大を掲げている。
オリジナル製品・サービスでは、IoTの「KEYAKI」、AIの「Minervae」、クラウドの「Creage」を3大ブランドと定義し、ソフトウェア開発・システム開発の需要喚起を推進している。
18年7月には、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)プラットフォーム「UiPath」を提供する米UiPathとの認定リセラー・パートナー契約を締結した。19年3月には、医療画像解析ソフトウェアがニデックの画像ファイリングソフトウェアNAVIS-EXに採用された。
■20年3月期は10期連続増収・営業増益予想
19年3月期連結業績は、売上高が18年3月期比5.7%増の352億30百万円、営業利益が3.7%増の32億07百万円、経常利益が4.8%増の36億58百万円、純利益が3.8%増の22億85百万円だった。配当は変更前の配当方針に基づいて年間66円(第2四半期末32円、期末34円)とした。記念配当10円を落として18年3月期比6円減配だが、普通配当ベースでは4円増配となる。配当性向は31.6%となる。
上期の金融案件剥落や不採算プロジェクトの影響、さらに開発人員の不足などでやや伸び悩んだが、受注が概ね高水準に推移して9期連続増収・営業増益だった。受注高は10.5%増の367億92百万円だった。
ソフトウェア開発はM&Aによる新規連結(ネクサス、イーテクノ、アルス)効果も寄与して4.2%増収(金融分野が12.0%減収、公共サービス分野が9.6%増収、流通・その他分野が23.0%増収)だが、上期の金融案件剥落や不採算プロジェクトの影響などで5.2%減益だった。
組込型ソフトウェア開発は15.2%増収(通信分野が3.2%増収、カーエレクトロニクス分野が17.1%増収、情報家電・その他分野が15.9%増収)となり、受注単価見直し、生産性改善、開発体制強化なども寄与して26.6%増益だった。カーエレクトロニクスでは主力のインフォテイメント系や表示系が好調だった。
20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比7.5%増の378億80百万円、営業利益が6.0%増の34億円、経常利益が4.2%増の38億13百万円、純利益が5.7%増の24億16百万円としている。配当予想は年間68円(第2四半期末34円、期末34円)としている。19年3月期比2円増配で、予想配当性向は30.8%となる。
主要セグメントにおいて受注が高水準に推移し、10期連続増収・営業増益予想である。19年3月期発生の不採算プロジェクト(5件合計で約1億円の損失)の教訓を活かし、品質管理強化と生産性向上を軸に足固めしつつ、成長に弾みをつける時期と位置付けている。好業績を期待したい。
■株価は調整一巡
株価は上値の重い展開だが下値を徐々に切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。6月3日の終値は3350円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS220円84銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間68円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1475円07銭で算出)は約2.3倍、時価総額は約402億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)