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アルコニックスは下値切り上げ、20年3月期増収増益・連続増配予想
- 2019/6/5 08:34
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アルコニックス<3036>(東1)は商社機能と製造業を融合する「非鉄金属の総合企業」を目指している。19年3月期は減益だったが大幅増配とした。20年3月期は増収増益・連続増配予想である。収益拡大を期待したい。株価は下値を徐々に切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。
■商社機能と製造業を融合する「非鉄金属の総合企業」目指す
軽金属・銅製品(伸銅品、銅管など)、電子・機能材(レアメタル・レアアース、チタン・ニッケル製品など)、非鉄原料(アルミ・亜鉛地金など)、建設・産業資材(配管機材など)を取り扱う非鉄金属商社グループである。
商社機能と製造業を融合する「非鉄金属の総合企業」を目指し、M&Aも積極活用して、非鉄金属の周辺分野も含めた川上(製造)~川中(流通)~川下(問屋)を網羅するビジネス展開を推進している。
■製造が利益柱
19年3月期セグメント別売上高構成比は、商社流通84%(電子機能材33%、アルミ銅51%)で製造16%(装置材料8%、金属加工8%)だが、経常利益構成比は商社流通28%(電子機能材12%、アルミ銅16%)で製造72%(装置材料10%、金属加工63%)だった。
レアメタル・レアアースなど非鉄金属の市況、持分法投資損益、M&Aに伴うのれん償却や負ののれん益なども収益変動要因となるが、積極的なM&Aで製造が連結経常利益の過半を占める収益柱となっている。
中期経営計画(20年3月期~22年3月期、1年ごとに見直すローリング方式)では、経営目標値を22年3月期の経常利益100億円超、純利益70億円超、ROE13~15%程度、NET/DER1.0~1.3倍程度としている。
3年間の投融資総額はM&A・事業投資を中心に250億円~300億円で、ROIC10%を目標とする。商社機能と製造業を融合する「非鉄金属の総合企業」を目指して積極投資を推進する方針だ。
18年12月には摩擦調整材のカシューパーティクルを製造販売する東北化工を連結子会社化してブレーキ関連市場に参入、19年2月にはカーボンブラシを製造販売する富士カーボン製造所を連結子会社化した。
19年6月(予定)には香港で大日本印刷および現地パートナー企業との合弁会社を設立してリチウムイオン電池用材料関連事業を展開する。また19年6月(予定)には中国で信和<3447>および現地パートナー企業との合弁会社を設立して建設用仮設資材の輸入・製造・販売に展開する。
19年7月(予定)には、連結子会社の富士プレスが日邦産業<9913>と共同で設立したメキシコFNA社の自動車部品用精密金属プレス部品事業を分割し、メキシコに18年12月設立したFUJI-MX社が譲り受ける。FNA社の事業運営に係る日邦産業との合弁契約は解消する。
■20年3月期増収増益・連続増配予想
19年3月期連結業績は売上高が18年3月期比3.8%増の2574億37百万円、営業利益が14.6%減の62億57百万円、経常利益が21.2%減の62億54百万円、純利益が24.9%減の40億09百万円だった。配当は17年9月1日付株式2分割換算後で7円増配の年間39円(第2四半期末19円、期末20円)とした。配当性向は25.1%となる。
増収によって売上総利益段階では増益だったが、第3四半期のレアメタル等取引で発生した滞留債権に対する貸倒処理、第3四半期および第4四半期における製造子会社2社の株式取得関連費用の計上、持分法適用関連会社株式売却に伴う持分法投資利益の減少、為替差損の計上などで営業・経常・最終減益だった。
セグメント別経常利益は、商社流通が38.9%減の17億46百万円(電子機能材が60.4%減の7億21百万円、アルミ銅が0.9%減の10億24百万円)、製造が10.9%減の45億24百万円(装置材料が27.3%減の6億07百万円、金属加工が7.7%減の39億16百万円)だった。
20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比3.3%増の2660億円、営業利益が8.7%増の68億円、経常利益が11.9%増の70億円、純利益が17.2%増の47億円としている。配当予想は1円増配の年間40円(第2四半期末20円、期末20円)としている。連続増配で予想配当性向は21.7%となる。
製造の金属加工が富士プレスとのメキシコ合弁事業立ち上げ(19年7月営業開始予定)関連費用で減益見込みだが、商社流通の電子材料関連の牽引を見込み、19年3月期のM&A子会社も通期寄与して増収増益予想である。
セグメント別経常利益の計画は、商社流通が28.9%増の22億50百万円(電子機能材が59.4%増の11億50百万円、アルミ銅が7.3%増の11億円)、製造が5.0%増の47億50百万円(装置材料が2.1倍の12億50百万円、金属加工が10.6%減の35億円)としている。M&A効果も寄与して収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は3月末の株主対象、19年3月末から導入
株主優待制度は、毎年3月末時点の株主を対象として、保有株式数および保有期間に応じて贈呈(詳細は会社HP参照)する。19年3月末から導入した。
■株価は下値切り上げ
株価は下値を徐々に切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。6月4日の終値は1307円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS184円72銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間40円で算出)は約3.1%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1489円59銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約338億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)