- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- ハウスドゥは調整一巡、19年6月期大幅増収増益・増配予想で3Q累計順調
ハウスドゥは調整一巡、19年6月期大幅増収増益・増配予想で3Q累計順調
- 2019/6/5 08:32
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ハウスドゥ<3457>(東1)は、FinTechを活用した不動産流通ソリューションで業界変革を目指す「不動産テック企業」である。19年6月期はストック型収益事業が伸長し、ハウス・リースバック資産流動化も寄与して大幅増収増益・増配予想である。そして第3四半期累計は順調だった。通期も好業績が期待され、中期的にも収益拡大基調だろう。株価は上値の重い展開だが、調整一巡して出直りを期待したい。
■住まいのワンストップサービスを展開する不動産テック企業
市場ニーズに対応した「住まいのワンストップサービス」を展開し、FinTechを活用した不動産流通ソリューションで業界変革を目指す「不動産テック企業(不動産×IT)」である。
不動産流通事業で創業し、リフォーム事業、不動産売買事業、不動産売買仲介「HOUSEDO」FC加盟店に各種サービスを提供するフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産担保ローン事業、金融機関と提携したリバースモーゲージ保証事業へと展開し、業容を拡大している。
■ストック収益型事業へシフト
市場ニーズに対応した「住まいのワンストップサービス」を提供しながら、収益構造も、人員の増員が必要な労働集約型事業(不動産流通事業、リフォーム事業、不動産売買事業)から、ロイヤリティー収入、賃貸収入、金利収入などが積み上がるストック収益型事業(フランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、および不動産担保ローン事業やリバースモーゲージ保証事業などの不動産金融事業)に重点シフトしている。
18年6月期の収益構造は、売上高構成比では労働集約型62%、ストック収益型38%だが、営業利益構成比は労働集約型40%、ストック収益型60%だった。ストック収益型事業が収益柱に成長している。
18年6月末時点の「ハウスドゥ」FC加盟契約数は543店舗で、中期的目標は国内1000店舗、アジア5万店舗としている。ハウス・リースバック保有物件数は559件、保有総額は80億04百万円だった。首都圏・中部・近畿の3大都市圏で約9割を占めている。18年7月にはハウス・リースバック累計契約件数が1000件を突破した。不動産金融事業の担保融資残高は55億87百万円、リバースモーゲージ保証残高は14億70百万円だった。リバースモーゲージ保証事業は提携金融機関を順次拡大している。
■アライアンスも活用して積極事業展開
18年2月タイムシェアリング事業「タイムルームクラウド」を開始、京葉ビルドを子会社化した。18年3月ハウス・リースバックで取得した個人住宅など収益不動産物件を対象に不動産特定共同事業法スキームによる匿名組合方式の不動産ファンド「HLBファンド1号」を組成、賃貸不動産仲介事業の新ブランド「RENT Do!(レントドゥ!)」1号店の渋谷恵比寿店をオープンした。18年12月には「RENT Do!」加盟店の管理物件獲得を支援するため、家主向け賃貸保証サービスを開始した。
19年2月には、タイで中古住宅リノベーションおよびサービサー事業、フランチャイズ事業を展開するため、同国企業と合弁会社H-DO(タイ)を設立した。
■19年6月期大幅増収増益・増配予想で3Q累計順調
19年6月期の連結業績予想は、売上高が18年6月期比22.1%増の274億99百万円、営業利益が53.4%増の32億46百万円、経常利益が57.2%増の30億円、純利益が55.0%増の19億83百万円としている。配当予想は8円50銭増配(18年7月1日付株式2分割換算後)の年間31円(期末一括)で、予想配当性向は30.3%となる。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比44.6%増の215億67百万円、営業利益が44.1%増の19億15百万円、経常利益が50.5%増の17億94百万円、純利益が68.5%増の12億51百万円だった。
ストック型収益事業が伸長(フランチャイズ事業がFC加盟店数の増加で12.1%増収、ハウス・リースバック事業が資産流動化による売却で2.9倍増収、不動産金融事業が融資残高・保証残高の積み上げで70.5増収)して大幅増収増益だった。なお第3四半期にHLB2号ファンドへのハウス・リースバック資産流動化による売却(譲渡価格26.8億円)を実施した。
19年3月末時点のFC加盟契約数は578店舗、ハウス・リースバックは保有物件数が543件(新規取得383件、売却404件)で保有物件総額は77億72百万円、不動産金融事業の不動産担保融資残高は73億93百万円、リバースモーゲージの累計保証件数は212件・保証残高は23億79百万円となった。
通期のセグメント別の計画は、フランチャイズ事業が17.9%増収・18.8%増益、ハウス・リースバック事業が71.1%増収・84.0%増益、不動産金融事業が89.0%増収・2.7倍増益、不動産売買事業、不動産流通事業、リフォーム事業は横ばいとしている。
第3四半期累計の進捗率は売上高78.4%、営業利益59.0%で、利益進捗率が低水準の形だが、第4四半期にも当初計画どおりハウス・リースバック資産流動化による売却を実施する見込みである。通期も好業績が期待され、中期的にも収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は毎年6月末の株主対象
株主優待制度は毎年6月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は株主優待ポイント表に基づいて進呈されるポイントを、株主限定特設インターネット・サイト「ハウスドゥプレミアム優待倶楽部」において、食品や電化製品などと交換できる。
■株価は調整一巡
株価(18年7月1日付で株式2分割)は上値の重い展開だが、調整一巡して出直りを期待したい。6月4日の終値は1247円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS102円32銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間31円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS498円52銭で算出)は約2.5倍、時価総額は約242億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)