【株式評論家の視点】PCIHDは第2四半期業績が順調、配当利回り3%の2000円割れが下値
- 2019/6/10 06:51
- 株式評論家の視点
PCIホールディングス<3918>(東1)は、2015年8月4日に東京証券取引所マザーズ市場に上場。16年9月12日に同市場第一部へ市場変更。同社は、IT業界で同じ価値観と方向性を共有する事業会社を傘下にもつ純粋持ち株会社として、グループの戦略策定、経営資源の最適配分、事業子会社の経営監督を通じてグループ業績の向上に注力している。
同社グループは、主に「エンベデッドソリューション事業」、「ビジネスソリューション事業」、「IoT/IoEソリューション事業」、「半導体トータルソリューション事業」を展開している。
エンベデッドソリューション事業では、自動車、重機、建機等に必要不可欠な制御ソフトウェアの開発、移動体通信等の通信インフラとなる電気通信分野向け装置の開発及びその他情報家電機器、各種産業機器や半導体製造装置等の制御ソフトウェアの開発を行っている。
ビジネスソリューション事業では、金融・製造・流通・その他企業向けの一般情報系ソフトウェア開発及び交通・放送等の社会インフラ系ソフトウェア開発、オープンソースソフトウェアをコアとした顧客の要求に基づくITシステムの構築、同社グループにて独自に企画・開発したパッケージソフトウェア製品を活用したソリューションの提供、システムの運用・保守、その他ハードウェアの仕入販売等により顧客企業の事業拡大、業務効率化、生産性向上等の課題解決を行っている。
IoT/IoEソリューション事業では、エンベデッドソリューション事業における数多くの開発実績を背景に、IoT/IoE技術のベースとなる通信技術・組込制御技術・アプリケーション技術といった同社グループの強みを活かし、ソリューションの提案あるいは顧客企業と共同開発しているほか、従来のエンベデッドシステム分野での技術をベースとして、高速で移動する自動車と自動車との通信を可能とするプラットフォームの開発を行っている。加えて、IoT/IoE技術をより有効活用するために、車載情報端末やスマートフォンで複数のアプリケーションを同時に動作・連携させることを可能とするアプリケーション制御ソフトウェアの開発を行っている。
半導体トータルソリューション事業では、LSI設計、テスト設計、評価等、半導体開発全般のサービスを展開。「デザインサービス」、「テストソリューション」、「テストハウス」の各サービスにより、半導体開発のトータルソリューションを提供している。
今20年9月期第2四半期業績実績は、売上高81億1200万円(前年同期比11.0%増)、営業利益3億8700万円(同21.8%減)、経常利益3億9000万円(同24.5%減)、純利益1億9100万円(同33.7%減)に着地。堅調に推移する企業のIT投資需要に対し、多様化するニーズに対して高品質なサービス提供とグループ間シナジーによる多角化、ITエンジニア不足に対し、ビジネスパートナーとのアライアンス強化の継続によって2ケタ増収を達成。「AppGuardR」に係る戦略的先行投資等が膨らみ減益となったが、第2四半期計画を上回り順調に推移している。
今20年3月期業績予想は、売上高160億円(前期比10.4%増)、営業利益8億円(同9.8%増)、経常利益8億1600万円(同5.8%増)、純利益5億4000万円(同15.0%増)を見込む。年間配当予想は、60円(第2四半期末30円、期末30円)の5円増配を予定している。
株価は、昨年2月高値4090円から同12月25日安値1760円まで調整を挟んで2月6日に年初来高値2621円と上昇。6月4日安値1870円と下げて、出直っている。今9月期第2四半期業績は計画を上回り順調に推移しており、通期業績予想の上振れも視野に入る。配当利回り3%の2000円割れが下値として意識され、52週移動平均線を目安にリバウンド局面入りも期待されそうだ。(株式評論家・信濃川)