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星光PMCは調整一巡して反発期待、19年12月期2桁営業増益予想
- 2019/6/14 07:21
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
星光PMC<4963>(東1)は製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業、化成品事業を展開している。19年12月期はM&Aも寄与して2桁営業増益予想である。好業績を期待したい。そして次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)の拡販本格化も期待したい。株価は安値圏に回帰した形だが、調整一巡して反発を期待したい。
■製紙用薬品、印刷インキ用・記録材料用樹脂、化成品を展開
DIC<4631>の連結子会社で、製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業、化成品事業(子会社KJケミカルズ)を展開している。18年12月期売上高構成比は製紙用薬品事業67%、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業20%、化成品事業14%だった。なお19年1月には新綜工業(台湾)の株式を追加取得して連結子会社化した。
■21年12月期営業利益30億円目標
新中期経営計画「New Stage 2021」では主要戦略として、環境経営の実践、収益性向上のための製品ポートフォリオ変革、海外事業の拡大、次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)や銀ナノワイヤー(AgNW)の事業化推進に向けた技術革新・用途開発の加速、新綜工業の業容拡大とグループ内でのシナジー創出などを掲げている。
目標数値には21年12月期の売上高320億円、営業利益30億円、営業利益率9.4%、海外売上高比率30%以上、Green Index(独自に定義した環境戦略製品売上高の18年12月実績を100とした指数)126を掲げている。セグメント別には、製紙用薬品事業の売上高185億円で営業利益(連結調整前)19億87百万円、樹脂事業(CNF、AgNW、新綜工業を含む)の売上高92億円で営業利益9億41百万円、化成品事業の売上高43億円で営業利益4億64百万円としている。
■CNF複合材料の拡販本格化期待
次世代素材CNFは、すべての植物の植物細胞壁の骨格成分であるセルロースをナノサイズまで細かくほぐすことによって得られる繊維である。鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上強く、熱による変形が少ないなどの特徴がある。樹脂の補強材として機能させることで、自動車用樹脂の強度向上や金属部材からの置き換え、家電・モバイル機器の軽量化などでの需要が期待されている。
18年1月には、竜ヶ崎工場にあるCNF実証生産設備(パイロットプラント)の生産能力増強工事が完了し、CNF複合材料「STARCEL」ブランドでの商業生産・製品出荷を開始した。18年6月には世界初のCNF強化樹脂応用製品の商品化として、アシックス<7936>の高機能ランニングシューズ製品のミッドソール部材の原材料の一部に採用された。18年8月には2例目となるランニングシューズへの採用を発表した。拡販本格化を期待したい。
銀ナノワイヤーは、直径がナノサイズ、長さがミクロンサイズの繊維状の銀を溶液中に分散させて透明導電性電極を形成し、ウェアラブル端末や大型ディスプレイへの利用が期待されている。
■19年12月期2桁営業増益予想
19年12月期連結業績予想は、売上高が18年12月期比9.7%増の284億円、営業利益が17.8%増の23億20百万円、経常利益が15.4%増の24億円、純利益が8.8%増の17億円としている。配当予想は18年12月期と同額の年間16円(第2四半期末8円、期末8円)としている。予想配当性向は28.6%となる。
製紙用薬品事業における高機能製品の拡販、海外における稼働率の向上、樹脂事業における製品ポートフォリオの抜本的見直し、新綜工業の新規連結、化成品事業における機能性創造モノマー・オリゴマーの拡販などにより、2桁営業増益予想である。
第1四半期は、売上高が前年同期比9.0%増の67億22百万円で、営業利益が7.1%増の6億22百万円、経常利益が12.7%増の6億64百万円、純利益が7.0%増の5億円だった。
製紙用薬品事業は売上高が1.2%増の40億77百万円で営業利益が4.8%増の4億33百万円だった。国内市場・中国市場で差別化商品を拡販した。樹脂事業は売上高が31.5%増の16億87百万円で営業利益が36.9%増の1億35百万円だった。新綜工業の新規連結が寄与した。化成品事業は売上高が12.0%増の9億57百万円で営業利益が1.4%増の1億45百万円だった。主力製品の輸出が増加した。
第1四半期の進捗率は売上高23.7%、営業利益26.8%と概ね順調である。通期も好業績を期待したい。
■株価は調整一巡して反発期待
株価は安値圏に回帰した形だが、調整一巡して反発を期待したい。6月13日の終値は757円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS56円07銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS795円23銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約233億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)