カーリットホールディングスは20年3月期営業減益予想だが売り一巡

カーリットホールディングス<4275>(東1)は、化学品事業、ボトリング事業、産業用部材事業を展開している。19年3月期は2桁営業増益だったが、20年3月期は積極的な研究開発費の増加により営業減益予想としている。これを嫌気する形で株価は安値圏だが、売り一巡して反発を期待したい。

■化学品、ボトリング、産業用部材を展開

 M&Aを積極活用して規模拡大と事業多様化を推進し、化学品事業(産業用爆薬、自動車用緊急保安炎筒、危険性評価試験、電池受託評価試験、塩素酸ナトリウム、ロケット固体推進薬原料、電気二重層キャパシタ用電解液、イオン導電材料等)、ボトリング事業(飲料のボトリング加工)、産業用部材事業(半導体用シリコンウェーハ、耐火・耐熱金物、ばね・座金等)を展開している。

 19年3月期のセグメント別(その他・消去前)の売上高構成比は化学品45%、ボトリング38%、産業用部材17%、営業利益構成比は化学品63%、ボトリング22%、産業用部材15%だった。

■中期経営計画「礎100」で事業基盤確立を推進

 中期経営計画では目標数値を18年度売上高540億円、営業利益24億円、営業利益率4%、連結配当性向20~30%としている。さらに中長期目標として企業規模を2倍にすることを掲げている。

 基本戦略には、成長基盤強化(新商品・新規事業の創出と育成、M&Aや資本・技術提携)、収益基盤強化(経営資源の有効配分、新商品開発のスピードアップ)、グループ経営基盤強化(グループシナジーの最大化、子会社・事業の再編・統廃合、R&Dの新体制構築、海外展開の強化、CSR経営の推進)を掲げている。

 既存分野では、発炎筒の利益性向上、受託評価の受注増、電子材料の車載電子部品向け拡販、ボトリングの利益性回復、シリコンウェーハの安定利益体質構築を推進する。新分野では、次世代電池・キャパシタ用材料などの環境エネルギー分野、新規電子材料などの新規機能材料分野、半導体製造用研磨剤分散液などの半導体材料分野の開発を推進する。

■20年3月期営業減益予想

 19年3月期連結業績は、売上高が18年3月期比4.4%増の540億49百万円、営業利益が14.8%増の23億28百万円、経常利益が17.2%増の25億51百万円、純利益が4.8%増の15億79百万円だった。配当は18年3月期と同額の年間12円(期末一括)とした。18年3月期には創業100周年記念配当2円が含まれているため普通配当ベースでは2円増配となる。配当性向は18.0%である。

 概ね計画水準の2桁増益で着地した。化学品事業は4.7%増収で15.2%増益だった。自動車用緊急保安炎筒の車検交換向け、受託評価分野の電池試験、化成品分野の電極などが増収だった。ボトリング事業は1.7%増収だが28.2%減益だった。燃料費や輸送費などコスト増加が利益を圧迫した。産業用部材事業は7.6%増収で28.4%増益だった。半導体用シリコンウェーハ、耐火・耐熱金物の都市ごみ焼却場新設・補修案件などが増収だった。

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比0.1%減の540億円、営業利益が5.5%減の22億円、経常利益が7.9%減の23億50百万円、純利益が1.3%増の16億円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間12円(期末一括)としている。予想配当性向は17.8%となる。

 化学品事業、ボトリング事業は増益を見込むが、産業用部材事業は半導体市場減速の影響で減収を見込んでいる。さらに研究開発投資の増加が影響して営業減益予想としている。

■株主優待制度は毎年3月末の株主対象

 株主優待制度は毎期末(3月31日)時点の株主を対象として実施している。なお19年3月期末から優待内容を変更し、保有株式数および保有期間に応じてギフトカードを贈呈する。

■株価は売り一巡

 株価は6月3日に614円まで下押した。20年3月期営業減益予想を嫌気する形で安値圏だが、売り一巡して反発を期待したい。6月17日の終値は647円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS67円58銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1130円06銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約156億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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