ラ・アトレは19年12月期経常最高益更新・増配予想、株主優待制度を変更

 ラ・アトレ<8885>(JQ)は、新築分譲マンションなどの新築不動産販売、リノベーションマンションなどの再生不動産販売を主力として、周辺ビジネスや海外展開も強化している。19年12月期は3期連続経常最高益更新・増配予想である。好業績を期待したい。なおホテル開発事業との関連性を高めることを目的として、株主優待制度の対象および内容を変更(詳細は会社HP参照、19年6月末から適用)する。株価は水準を切り下げたが、調整一巡して出直りを期待したい。

■新築不動産販売、再生不動産販売が主力

 新築分譲マンションなどの新築不動産販売、リノベーションマンションなどの再生不動産販売を主力として、不動産事業を展開している。

 18年12月期セグメント別売上構成比は不動産販売事業91%(新築不動産販売42%、再生不動産販売49%)、不動産管理事業7%、その他2%、営業利益構成比は不動産販売事業76%(新築不動産販売43%、再生不動産販売33%)、不動産管理事業24%だった。物件引き渡し数・時期によって変動しやすい収益特性がある。

■周辺ビジネスや海外展開への取り組みを強化

 首都圏における戸別リノベーションマンション仕入・販売強化、綿密なマーケティングに基づく新築マンション販売、高齢者住宅施設・宿泊施設・商業施設など収益不動産開発・取得による保有資産ポートフォリオ充実、福岡や京都など地方中核都市への展開、新規事業・M&Aによる不動産周辺ビジネス・海外展開への取り組みを強化している。

 不動産管理事業ではストック型ビジネスとなる管理・賃料収入の拡大を推進している。またインバウンド需要も含めた多言語対応・長期滞在型のLAホテル京都を17年2月、LAホテル福岡を18年6月オープンした。LAホテル京都2、LAホテル札幌にも着手している。

 不動産周辺ビジネスへの取り組みも強化している。17年1月合弁会社ラ・アトレペイメントを設立して家賃保証事業に参入、17年6月独立系投資銀行ストームハーバー証券と業務協力覚書を締結、18年3月アクロディア<3823>およびファイバーゲート<9450>とIoTを活用した不動産開発に関する業務協力覚書を締結した。なお18年12月、インカムゲイン型不動産事業におけるポートフォリオ見直しに伴う資産入れ替えで、100%出資子会社の合同会社周南開発の持分全部を売却した。

 海外はカンボジアの子会社がプノンペンで、日系上場企業として初となる高級コンドミニアム開発プロジェクトを推進している。20年12月期に竣工・引き渡し予定である。

■東証本則市場へのステージアップ目指す

 中期経経営計画(19年12月期~21年12月期)では、目標数値に21年12月期の売上高201億76百万円、営業利益18億54百万円、経常利益15億30百万円、純利益10億66百万円を掲げている。

 基本テーマとしては、東証本則市場へのステージアップ、事業ポートフォリオ拡大=マルチチャネル化推進、経営指標の再構築と実践的財務戦略の実現、中期的企業価値向上を意識した報酬ガバナンスの整備、創業30周年(20年)に向けた準備と次なる挑戦の設定を掲げている。

■19年12月期は3期連続経常最高益更新・増配予想

 19年12月期連結業績予想は、売上高が18年12月期比97.3%増の152億30百万円、営業利益が14.0%増の13億64百万円、経常利益が17.0%増の11億円、純利益が22.2%増の7億63百万円としている。3期連続経常最高益更新予想である。配当予想は3円増配の年間17円(期末一括)としている。予想配当性向は11.8%となる。

 新築分譲マンションでラ・アトレレジデンス新百合ヶ丘、収益不動産(都心型店舗開発)でA*G中目黒、A*G高円寺の引き渡しを計画し、販売価格が1戸2億円を超える「200Million-Renovation」の取り扱いも拡大する。不動産管理は保有資産入れ替えで収益を底上げする。

 第1四半期は売上高が前年同期比2.4倍の33億46百万円で、営業利益が6億58百万円(前年同期は81百万円)、経常利益が6億03百万円(同4百万円)、純利益が4億12百万円(同4百万円)だった。

 新築不動産販売部門で収益不動産のLA福岡ホテルを売却し、土地企画販売の大森北プロジェクトおよび東十条プロジェクトの引き渡しが完了した。再生不動産販売部門では1棟リノベーションの都心ヴィンテージマンション「ラ・アトレ御苑内藤町グランガーデン」など引き渡しが集中した。

 第1四半期の経常利益進捗率は54.8%である。さらに収益不動産開発、新築分譲マンション販売、中古リニューアル物件販売、土地企画販売において複数のプロジェクトが進行中である。通期も好業績を期待したい。

■株主優待制度は年2回(6月末と12月末)実施、優待対象・内容を変更

 株主優待制度は年2回、毎年6月末と12月末を基準日として実施している。なおホテル開発事業との関連性を高めることを目的として、株主優待制度の対象および内容を変更(保有株数100株以上を1000株以上に変更、優待内容の変更など詳細は会社HP参照)する。19年6月末から適用する。

■株価は調整一巡

 株価は水準を切り下げたが、調整一巡して出直りを期待したい。6月18日の終値は634円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS144円65銭で算出)は約4倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間17円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS605円54銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約33億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1.  暖房機器、除雪商品などを展開し割安放置が目立つセクターにホームセンター株がある。PBRが1倍を割…
  2. ■背広の売れ行きが映す街角の景気シグナル  街角の景気実感を分析し、景気実態を明らかにする経済指標…
  3. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  4. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る