【アナリスト水田雅展の銘柄分析】フランスベッドHDは16年3月期の収益改善期待で反発のタイミング

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 介護・インテリア関連を展開するフランスベッドホールディングス<7840>(東1)の株価は、3月27日に175円まで調整する場面があったが、14年10月安値171円まで下押すことなく足元では180円近辺に戻している。15年3月期業績下振れ懸念の織り込みが完了し、16年3月期の収益改善期待で反発のタイミングだろう。

 メディカルサービス事業(介護・福祉関連用具のレンタル・販売、介護予防の通所介護施設「悠々いきいき倶楽部」運営など)、インテリア健康事業(家庭用高級ベッド、医療・介護用ベッド、リハビリ商品など)、その他事業(日用品雑貨販売など)を展開している。

 成長分野のシニア・シルバービジネスに経営資源をシフトして、医療・介護用電動リクライニングベッド・マットレス、アクティブシニア向け「リハテック」ブランドの電動アシスト三輪自転車やハンドル型電動三輪車いす、リフトアップチェア、リフトアップ車いす、超低床フロアーベッド、在宅・病院・福祉施設向けの徘徊防止通報システムなど、独自の新商品・新サービスの開発を強化して、介護・福祉用具レンタル市場でのシェア拡大戦略を推進している。新規販売チャネル開拓で病院・施設向け取引も拡大する方針だ。

 4月2日には、加齢などで腰が曲がった方が快適に座れる「円背サポートチェアENN」をアクティブシニア向けブランド「リハテック」シリーズから発売すると発表した。またアームサポート(腕置き)を備える歩行車「アームプラス」の発売も発表した。

 前期(15年3月期)の連結業績見通し(10月24日に減額修正)は売上高が前々期比2.3%減の536億円、営業利益が同21.4%減の22億円、経常利益が同20.9%減の22億円、純利益が同28.4%減の10億円、配当予想(5月15日公表)が記念配当50銭を落として前期比50銭減配の年間4円50銭(第2四半期末2円25銭、期末2円25銭)としている。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比3.7%減収、同32.4%営業減益、同32.1%経常減益、同37.3%最終減益だった。メディカルサービス事業の病院・施設向け販売とインテリア健康事業が消費増税の影響長期化などで低調となり、退職給付費用や広告宣伝費の増加も影響した。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)123億85百万円、第2四半期(7月~9月)125億64百万円、第3四半期(10月~12月)127億84百万円、営業利益は第1四半期5億16百万円、第2四半期2億86百万円、第3四半期4億94百万円である。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が70.4%、営業利益が58.9%、経常利益が59.0%、純利益が65.8%である。やや低水準のため通期下振れに注意が必要だが、メディカルサービス事業の介護・福祉関連用具レンタルが堅調であり、営業損益は第2四半期がボトムとなった可能性があるだろう。

 介護レンタル市場でのシェア拡大、病院施設部門での販促強化、インテリア健康事業でのアクティブシニア向け「リハテック」ブランドの販路拡大、原材料価格上昇に伴う価格改定などを推進している。ドル高・円安進行に伴って国産品の価格競争力が回復傾向を強めているため、消費増税の反動影響も一巡して今期(16年3月期)の収益改善が期待される。

 1月30日に15年3月期の株主優待制度の詳細を発表している。15年3月31日時点の1000株以上保有株主に対して贈呈する。優待内容は(A)1万円分のご利用券、(B)オリジナル優待品(9品の中から1品を選択)とのお引き換え、(C)慈善団体への寄付で、(A)~(C)の中から一つを選択する。

 株価の動きを見ると、2月の戻り高値188円から反落して3月27日には175円まで調整する場面があった。ただし14年10月安値171円まで下押すことなく足元では180円近辺に戻している。15年3月期業績下振れ懸念を織り込んで調整がほぼ一巡したようだ。

 4月14日の終値180円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS4円66銭で算出)は38~39倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間4円50銭で算出)は2.5%近辺、そして前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS165円85銭で算出)は1.1倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると26週移動平均線突破の動きを強めている。15年3月期業績下振れ懸念の織り込みが完了し、16年3月期の収益改善期待で反発のタイミングだろう。

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