【編集長の視点】ユニプレスは続落も総還元性向75%の実施で連続減益業績をカバーして押し目買いが交錯

ユニプレス<5949>(東1)は、前日18日に24円安の1719円と続落して引けた。日経平均株価が、後場に下げ幅を広げて反落し6月7日以来7営業日ぶりにフシ目の2万1000万円台を下回ったことにつれて、5月14日につけた年初来安値1530円から底上げ途上にあり、この日前場に1756円まで買われていた同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただ下値は25日移動平均線水準で下げ渋っており、今年5月14日に3月期決算とともに自己株式取得を発表し、今2020年3月期の総還元性向は75%に高まり、この自己株式取得が順調に進んでおり、今2020年3月期業績が、連続減益と予想されていることをカバーしていることを手掛かりに割安修正期待の押し目買いも交錯した。テクニカル的にも、年初来高値2130円から同安値への調整幅の半値戻しをほぼクリアしており、相場格言通り「半値戻しは全値戻し」の期待を高めている。


■自己株式取得は半月間で16%と順調に進み今期の年間配当も55円と高水準

同社の自己株式取得は、取得株式数上限を320万株(発行済み株式総数の6.7%)、取得金額総額を50億円、取得期間を今年5月15日から10月31日までとして取締役会決議された。また今2020年3月期配当は、年間55円(前期実績55円)と高水準継続を予定しており、これを合計した総還元性向は、75%と前期実績の25.0%から大幅アップする。この自己株式取得は、5月15日から実際に実施され、5月31日までの半月間の取得株式数は42万5700株、取得金額は7億3314万円に達し、すでに取得株式数上限の16%の市場買い付けを完了し順調に推移した。

一方、今2020年3月期業績は、売り上げ2950億円(前期比10.0%減)、営業利益155億円(同2.0%減)、経常利益160億円(同23.8%減)、純利益100億円(同22.3%減)と連続減益が予想されている。同社が、車体骨格を主力とするプレス部品メーカーとして一角を占めている自動車業界では、自動車電動化、自動運転、コネクテッドカーなどを開発する技術革新が急ピッチに進んでおり、今期のグローバルの新車立ち上げが23車種(前期実績21車種)に増加する見込みであり、これに対応して今期の設備投資を320億円(同312億円)にさらに積極化し、減価償却費も200億円(同184億円)と負担増となり、操業度及び車種構成変化、生産増強費用、新車準備費用などが重なることが要因となる。

ただこうした積極的な設備投資が、同社の潜在成長力を顕現することになり、今期から推進する中期経営計画では、最終年度の2022年3月期業績は、売り上げ3300億円、営業利益260億円の達成を目指している。

■自己株式取得で282円高しなおPER8倍台、PBR0.5倍の割安修正が加速

株価は、今期連続予想業績の発表と自己株式の取得の発表が同時となり、自己株式取得を歓迎して年初来安値1530円から底上げ、282円高して25日移動平均線をクリアし、年初来高値2130円から年初来安値への調整幅の半値戻しをほぼクリアした。この間に実施した自己株式取得の平均株価は1722円となっており、この水準での三角保ち合いに煮詰まり感を強めている。PERはずか8倍台、PBRは0.54倍、配当利回りは3.19%となお割安であり、売り長で逆日歩のつく信用好需給にもサポートされ、相場格言の「半値戻しは全値戻し」通りに全値戻しの2130円奪回へ再発進しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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