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【アナリスト水田雅展の銘柄診断】チムニーは食中毒による営業停止の影響は軽微との見方、好業績を評価して上値追い
- 2015/4/15 09:11
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
大手居酒屋チェーンのチムニー<3178>(東1)の株価は、13日の上場来高値3305円まで上伸した後に、食中毒発生に伴う営業停止処分を嫌気して2943円まで急反落する場面があったが、14日には前日比55円高と切り返している。業績への影響は軽微との見方が優勢のようだ。外国人旅行客のインバウンド消費も追い風であり、15年12月期増収増益見通しを評価して上値追いの展開だろう。
売上高が業界5位規模の大手居酒屋チェーンで、直営店とFC店の飲食事業の他に、受託食堂のコントラクト事業も展開している。仕入面では子会社の魚鮮水産が愛媛県で漁業権を保有し、13年には新たに2つの買参権を取得している。
中期目標として18年1000店舗、売上高1000億円を掲げている。中期成長戦略としては、地域活性化・地産地消の深耕を含めて、漁業などの1次産業、食材加工などの2次産業、店舗で商品を提供する3次産業まで一括管理する「飲食業の6次産業化」確立を目指している。
飲食事業は居酒屋業態を直営店とFC店で展開し、主力の「はなの舞」「さかなや道場」に加えて、軍鶏(しゃも)の「龍馬軍鶏農場」や、新鮮な肉と魚の両方を浜焼きスタイルで楽しむ「豊丸水産」の新規出店、既存店活性化に向けた業態転換も積極推進している。13年7月には新業態を推進する子会社「めっちゃ魚が好き」を設立した。また今後の新規出店については、競合店が少なく高ROI(投資収益率)が見込める山陰・山陽エリアや四国エリアへの出店を強化する方針だ。
コントラクト事業は、居酒屋事業で培った店舗運営ノウハウを活用して、官公庁の施設内を中心に受託食堂を展開している。14年4月には船橋中央病院(千葉県船橋市)の食堂事業を新規受託し、さらに16年度の新規受託の準備も進めている。
なお4月11日に「軍鶏農場 保土ヶ谷西口店」が、食中毒症状発生(3月26日、2名)に伴って営業停止の行政処分を受けたと発表した。この度の事態を厳粛に受け止め、全社一丸となって衛生管理体制を再度強化・徹底し、再発防止に取り組むとともに、信頼回復とお客様へのサービス向上に努めるとしている。
今期(15年12月期)の連結業績見通し(2月10日公表)は売上高が前期比4.2%増の485億40百万円、営業利益が同4.6%増の35億90百万円、経常利益が同3.9%増の36億20百万円、純利益が同5.8%増の19億円としている。
グループ全体の売上高は同3.5%増の733億30百万円、既存店売上高は前年比99.0%の計画で、飲食事業の新規出店は直営35店舗、FC3店舗、閉店は直営10店舗、FC10店舗、直営からFCへの転換は10店舗の計画としている。
配当予想については、年間23円(第2四半期末11円50銭、期末11円50銭)としている。前期の創業30周年および東証1部指定記念配当5円を含む年間25円との比較では2円減配の形だが、普通配当ベースでは3円増配となる。
不採算店閉店、業態転換による既存店活性化、商品ロス低減、調理技術力向上、買参権活用による仕入効率化、仕入価格見直し、メニューミックスなどによる原価低減効果で売上総利益率は上昇基調だ。新規出店効果も寄与して好業績が期待される。
増加基調の訪日外国人旅行客のインバウンド消費に対応して、日本料理、季節感のメニュー、伝統文化などを複合的に楽しめる店舗空間造りも強化する方針だ。親会社となったやまや<9994>とのコラボレーションも今期から本格化するもようであり、中期的に収益拡大基調が期待される。
月次売上動向(直営店全業態速報値、前年比)を見ると、15年3月は既存店が97.5%、全店が98.3%で、15年1月~3月累計売上は既存店が100.1%、全店が100.3%となった。
なお3月の出店状況は、新規出店6店舗、閉店11店舗(うちコントラクト8店舗)、直営からFCへの転換4店舗、FCから直営への転換2店舗で、3月末時点のコントラクトを含む合計店舗数は693店舗(直営396店舗、FC297店舗)となった。またグループ店の3月末時点の2社合計店舗数は29店舗だった。
株主優待制度は毎年6月末および12月末時点の株主を対象として実施している。100株~499株所有株主に対しては「お食事ご優待券500円券×10枚」または当社オリジナル商品、500株以上所有株主に対しては「お食事ご優待券500円券×30枚」または当社オリジナル商品を贈呈(詳細は会社ホームページを参照)する。
株価の動きを見ると、14年4月高値2675円を突破して上値追いの展開となった。4月13日は上場来高値となる3305円まで上伸した後に、食中毒症状発生に伴う営業停止処分を嫌気して2943円まで急反落する場面があったが、14日には早くも前日比55円高と切り返している。業績への影響は軽微との見方が優勢のようだ。
4月14日の終値3090円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS100円09銭で算出)は30~31倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間23円で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS675円17銭で算出)は4.6倍近辺である。
週足チャートで見ると2000円~2500円近辺のボックスレンジから上放れて強基調の形だ。日足チャートで見ると25日移動平均線に対するプラス乖離率が10%を超えて目先的にはやや過熱感もあるが、外国人旅行客のインバウンド消費も追い風であり、15年12月期増収増益見通しを評価して上値追いの展開だろう。