【アナリスト水田雅展の銘柄診断】チムニーは食中毒による営業停止の影響は軽微との見方、好業績を評価して上値追い

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 大手居酒屋チェーンのチムニー<3178>(東1)の株価は、13日の上場来高値3305円まで上伸した後に、食中毒発生に伴う営業停止処分を嫌気して2943円まで急反落する場面があったが、14日には前日比55円高と切り返している。業績への影響は軽微との見方が優勢のようだ。外国人旅行客のインバウンド消費も追い風であり、15年12月期増収増益見通しを評価して上値追いの展開だろう。

 売上高が業界5位規模の大手居酒屋チェーンで、直営店とFC店の飲食事業の他に、受託食堂のコントラクト事業も展開している。仕入面では子会社の魚鮮水産が愛媛県で漁業権を保有し、13年には新たに2つの買参権を取得している。

 中期目標として18年1000店舗、売上高1000億円を掲げている。中期成長戦略としては、地域活性化・地産地消の深耕を含めて、漁業などの1次産業、食材加工などの2次産業、店舗で商品を提供する3次産業まで一括管理する「飲食業の6次産業化」確立を目指している。

 飲食事業は居酒屋業態を直営店とFC店で展開し、主力の「はなの舞」「さかなや道場」に加えて、軍鶏(しゃも)の「龍馬軍鶏農場」や、新鮮な肉と魚の両方を浜焼きスタイルで楽しむ「豊丸水産」の新規出店、既存店活性化に向けた業態転換も積極推進している。13年7月には新業態を推進する子会社「めっちゃ魚が好き」を設立した。また今後の新規出店については、競合店が少なく高ROI(投資収益率)が見込める山陰・山陽エリアや四国エリアへの出店を強化する方針だ。

 コントラクト事業は、居酒屋事業で培った店舗運営ノウハウを活用して、官公庁の施設内を中心に受託食堂を展開している。14年4月には船橋中央病院(千葉県船橋市)の食堂事業を新規受託し、さらに16年度の新規受託の準備も進めている。

 なお4月11日に「軍鶏農場 保土ヶ谷西口店」が、食中毒症状発生(3月26日、2名)に伴って営業停止の行政処分を受けたと発表した。この度の事態を厳粛に受け止め、全社一丸となって衛生管理体制を再度強化・徹底し、再発防止に取り組むとともに、信頼回復とお客様へのサービス向上に努めるとしている。

 今期(15年12月期)の連結業績見通し(2月10日公表)は売上高が前期比4.2%増の485億40百万円、営業利益が同4.6%増の35億90百万円、経常利益が同3.9%増の36億20百万円、純利益が同5.8%増の19億円としている。

 グループ全体の売上高は同3.5%増の733億30百万円、既存店売上高は前年比99.0%の計画で、飲食事業の新規出店は直営35店舗、FC3店舗、閉店は直営10店舗、FC10店舗、直営からFCへの転換は10店舗の計画としている。

 配当予想については、年間23円(第2四半期末11円50銭、期末11円50銭)としている。前期の創業30周年および東証1部指定記念配当5円を含む年間25円との比較では2円減配の形だが、普通配当ベースでは3円増配となる。

 不採算店閉店、業態転換による既存店活性化、商品ロス低減、調理技術力向上、買参権活用による仕入効率化、仕入価格見直し、メニューミックスなどによる原価低減効果で売上総利益率は上昇基調だ。新規出店効果も寄与して好業績が期待される。

 増加基調の訪日外国人旅行客のインバウンド消費に対応して、日本料理、季節感のメニュー、伝統文化などを複合的に楽しめる店舗空間造りも強化する方針だ。親会社となったやまや<9994>とのコラボレーションも今期から本格化するもようであり、中期的に収益拡大基調が期待される。

 月次売上動向(直営店全業態速報値、前年比)を見ると、15年3月は既存店が97.5%、全店が98.3%で、15年1月~3月累計売上は既存店が100.1%、全店が100.3%となった。

 なお3月の出店状況は、新規出店6店舗、閉店11店舗(うちコントラクト8店舗)、直営からFCへの転換4店舗、FCから直営への転換2店舗で、3月末時点のコントラクトを含む合計店舗数は693店舗(直営396店舗、FC297店舗)となった。またグループ店の3月末時点の2社合計店舗数は29店舗だった。

 株主優待制度は毎年6月末および12月末時点の株主を対象として実施している。100株~499株所有株主に対しては「お食事ご優待券500円券×10枚」または当社オリジナル商品、500株以上所有株主に対しては「お食事ご優待券500円券×30枚」または当社オリジナル商品を贈呈(詳細は会社ホームページを参照)する。

 株価の動きを見ると、14年4月高値2675円を突破して上値追いの展開となった。4月13日は上場来高値となる3305円まで上伸した後に、食中毒症状発生に伴う営業停止処分を嫌気して2943円まで急反落する場面があったが、14日には早くも前日比55円高と切り返している。業績への影響は軽微との見方が優勢のようだ。

 4月14日の終値3090円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS100円09銭で算出)は30~31倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間23円で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS675円17銭で算出)は4.6倍近辺である。

 週足チャートで見ると2000円~2500円近辺のボックスレンジから上放れて強基調の形だ。日足チャートで見ると25日移動平均線に対するプラス乖離率が10%を超えて目先的にはやや過熱感もあるが、外国人旅行客のインバウンド消費も追い風であり、15年12月期増収増益見通しを評価して上値追いの展開だろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■内蔵インヒールで自然な足長効果、フォーマルからビジネスまで対応  青山商事<8219>(東証プラ…
  2. ■デュアル周波数対応で通信の安定性を確保  世界的なDX進展を背景に京セラ<6971>(東証プライ…
  3. ■リアルタイム文字起こしと自動要約で議事録作成を効率化  シャープ<6753>(東証プライム)は2…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■低PER・高配当利回り、不動産・銀行株が市場を牽引  3月の東京都区部消費者物価指数が前年比2.…
  2. ■新年度相場のサブテーマは「物価」?!  米国のトランプ大統領は、「壊し屋」と奉る以外にない。その…
  3. ■新年度相場の初動として注目される値上げ関連銘柄  4月予定の値上げは、原材料価格上昇や物流費増加…
  4. どう見るこの相場
    ■トランプ関税懸念も『総論弱気、各論強気』の市場展開  「トランプ・ディール(取引)」と「トランプ…
  5. ■名変更会社の局地戦相場の待ち伏せ買いも一考余地  今年4月1日以降、来年4月1日まで社名変更を予…
  6. ■あの銘柄が生まれ変わる!市場を揺るがす社名変更、次なる主役は?  「トランプ・トレード」が、「ト…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る