【編集長の視点】トーセは2Q業績の上ぶれ着地を見直し3Q決算発表に期待して反発

 トーセ<4728>(東1)は、前日24日に6円高の835円と反発して引けた。同社株は、今年7月4日に今2019年8月期第3四半期(2018年9月~5月期、3Q)決算の発表を予定しており、今年4月4日に開示した今期第2四半期(2018年9月~2019年2月期、2Q)累計業績が、期初の赤字予想から上ぶれて黒字転換して着地したことを手掛かりに3Q決算を先取りして割り負けゲーム関連株買いが再燃した。今年5月27日に公表した中間株主通信で、第5世代移動通信システム(5G)に対応して積極的な成長戦略に取り組むことを明らかしてストップ高した急騰特性の再現期待も高めている。


――――2Qでは大型開発案件で追加作業が発生し通期では大型プロジェクト案件が増加――――

 同社の今期2Q累計業績は、期初予想より売り上げが5000万円、利益が1億3300万円~1億500万円上ぶれ、売り上げ17億9000万円(前年同期比5.2%減)、営業利益400万円の赤字(前年同期は9100万円の黒字)、経常利益2500万円(前年同期比77.1%減)、純利益100万円(同97.9%減)と黒字転換した。一部の大型スマホゲームの開発案件で追加作業が発生し、開発売り上げが増加したことが上ぶれ着地要因となっており、開発完了タイトル数は、家庭用ゲーム機向け2タイトル、パソコン向け3タイトル、スマホ向け6タイトルの合計11タイトルとなった。ゲームソフト関連の売り上げは、「Nintendo Switch」向けの開発売り上げが、前年同期比29.2%増と伸びたが、利益は、販売管理費及び一般管理費が増加し小幅黒字にとどまった。

 今2019年8月期通期業績は、期初予想に変更はなく売り上げ53億2700万円(前期比17.9%増)、営業利益2億7100万円(同18.6%増)、経常利益3億3200万円(同24.2%増)、純利益1億9200万円(同2.4%増)と増収増益転換を見込んでいる。開発タイトル数は、スマホ向けの12タイトルを中心に16タイトルを予定し、大型プロジェクト案件は、前期と横並びの14件としているが、5億円以上の案件が前期の1案件から3案件、3億円以上の案件が同じく7案件から8案件にそれぞれ増加する。また配当についても、年間25円(前期実績25円)を安定継続の予定である。

 なお5G対応では、ゲーム業界ではリッチコンテンツ化、4K・8K映像配信、VR・AR(仮想現実・拡張現実)などのテクノロジーを活用したリアリティとエンタテイメント性の追求による市場拡大が予想されており、2022年から拡大期に入る5Gを事業成長の好機と捉え、これまで2300タイトルを開発した高実績を誇る同社の国内最大級の開発体制、企画・提案力を最大限に発揮する。

――――三角保ち合いに煮詰まり感を強めストップ高高値奪回から年初来高値を目指す――――

 株価は、今年1月の年初来安値739円からNintendo Switch版「ドラゴンクエスト ライバルズ」の配信開始で年初来高値1034円まで約4割高し、その後は、世界同時株安の影響で800円台で下値を固め、5G関連人気で964円とストップ高し、足元ではストップ高で開けた窓を埋める25日移動平均線を出没する三角保ち合いを続けている。この三角保ち合いも日柄で1カ月を経過して煮詰まり感を強めており、3Q決算先取りと配当利回り2.99%の割り負け訂正で上放れ、まずストップ高でつけた964円を奪回し、年初来高値を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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