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LIFULLは売られ過ぎ感、19年9月期増収増益予想
- 2019/6/26 09:06
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
LIFULL<2120>(東1)は、不動産・住宅情報総合サイト「LIFULL HOME‘S」運営の不動産情報サービス事業を主力として、生活関連領域や海外への展開を加速している。19年9月期はMitulaを新規連結して増収増益予想である。株価は年初来安値を更新する展開だが売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。
■不動産情報サービスを主力に生活関連領域や海外への展開を加速
日本最大級の掲載件数を誇る不動産・住宅情報総合サイト「LIFULL HOME‘S」運営のHOME‘S関連事業、14年買収したスペインTrovitが展開する世界最大級アグリケーションサイト「Trovit」運営の海外事業、その他事業(LIFULL seniorやLIFULL FinTechなど)を展開している。不動産情報サービスを主力に、生活関連領域や海外への事業展開を加速している。保険代理店事業は譲渡した。
海外事業では、Mitula(Mitula Group Limited)の買収が完了し、19年1月連結子会社化した。そしてTrovitとMitulaを経営統合して新会社LIFULL CONNECTを設立する。不動産アグリゲーションサイト世界圧倒的NO.1企業となる。
なお収益面では、不動産情報サービス事業を主力としているため、1~3月が繁忙期となる季節要因がある。
■世界一のライフデータベース&ソリューション・カンパニーを目指す
スローガンに「世界一のライフデータベース&ソリューション・カンパニー」を掲げ、LIFULL HOME‘SやTrovitを通じて世界の不動産や暮らしに関するデータを蓄積し、先端技術を活用することで中期的な成長を目指している。中期経営計画の定量目標には20年9月期売上収益500億円台、EBITDA率20%前後を掲げている。
18年6月には、不動産情報共有におけるブロックチェーン技術を活用したプラットフォーム商用化に向けて、全保連、ゼンリン、ネットプロテクションズ、NTTデータ経営研究所、NTTデータ・グローバル・テクノロジー・サービス・ジャパンと共同検討開始している。
■国内では中古住宅市場活性化への取り組みも加速
国内では中古住宅市場活性化への取り組みも加速している。17年1月JGマーケティング(現LIFULL Social Funding)を子会社化し、不動産投融資型クラウドファンディング事業を展開している。民泊関連は楽天<4755>と共同で17年6月設立した楽天LIFULL STAYが展開している。
空き家の活用では、国土交通省の全国版空き地・空き家バンク構築運営に関するモデル事業「LIFULL HOME‘S 空き家バンク」によって、全国の空き家バンクのプラットフォーム化を目指している。また官公庁・地方自治体向け施策立案マッチングソリューション提供のWeldrowに出資した。
■19年9月期Mitulaを新規連結して増収増益予想
19年9月期連結業績予想(IFRS)(2月13日修正、Mitula9ヶ月分を新規連結)は売上収益が18年9月期比22.4%増の423億06百万円、EBITDA(償却前営業利益)が11.0%増の59億75百万円、営業利益が4.3%増の45億01百万円、親会社所有者帰属純利益が3.6%増の29億62百万円としている。配当予想は未定としている。
M&A関連の一時的費用が発生するが、Mitulaの新規連結がプラス要因となって増収増益予想である。TrovitとMitulaの統合によるシナジー効果は含めていない。既存事業では、HOME‘S関連事業のARPA(1顧客あたり売上高)向上施策として、メディア力の強化やプロダクトの強化を推進する。
第2四半期累計は売上収益が前年同期比10.9%増の195億99百万円、EBITDAが24.7%減の22億84百万円、営業利益が32.1%減の16億93百万円、親会社所有者帰属純利益が39.9%減の9億45百万円だった。
第2四半期からMitulaを新規連結したことも寄与して2桁増収だが、外注費や人件費の増加、HOME‘S関連事業のブランド力向上に向けたTVCMなど広告宣伝費の増加、Mitula子会社化に伴う一時的費用の増加、地方創生事業への先行投資、子会社LSFの金融事業参入遅れ(金融免許取得遅れ)に伴うのれん減損損失などが影響して減益だった。
第2四半期累計は成長投資の一時的費用も影響して減益だったが、HOME‘S関連事業のARPAはブランディングプロモーションの効果で2.2%上昇し、Trovitの売上収益は20.2%増収(現地通貨ベース)と成長を継続するなど、重点施策は順調に進展している。通期ベースで好業績を期待したい。
■株価は売られ過ぎ感
株価は年初来安値を更新する展開だが売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。6月25日の終値は472円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS22円07銭で算出)は約21倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS184円32銭で算出)は約2.6倍、時価総額は約634億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)