ラクーンホールディングスは調整一巡、20年4月期大幅増収増益予想

 ラクーンホールディングス<3031>(東1)は、企業間ECサイトのスーパーデリバリー運営を主力として、EC事業およびフィナンシャル事業を展開している。19年4月期は全サービスが伸長して大幅増収増益だった。そして20年4月期も大幅増収増益予想である。収益拡大基調だろう。株価は上値を気鋭下げる展開だが、調整一巡して出直りを期待したい。

■企業間ECサイト「スーパーデリバリー」運営が主力

 ラクーンが18年11月持株会社に移行した。アパレル・雑貨分野の企業間(BtoB)電子商取引(EC)スーパーデリバリー運営を主力として、クラウド受発注システムのCOREC(コレック)事業、BtoB掛売り・決済業務代行サービスのPaid(ペイド)事業、売掛債権保証事業など周辺領域へ事業を拡大している。

 19年4月期のセグメント別売上高構成比はEC事業(スーパーデリバリーとCOREC)59%、フィナンシャル事業(Paid事業、保証事業)41%、営業利益構成比(連結調整前)はEC事業83%、フィナンシャル事業17%である。

 スーパーデリバリーは出展企業と会員小売店の増加に伴って月額課金システム利用料売上が積み上がるストック型収益構造である。また越境ECサービス「SD export」も展開している。

 グループ経営戦略として既存事業の成長スピード加速、M&Aの実施、新規事業の創出を推進する。経営目標値としては、早期にEBITDA10億円(18年4月期実績5.2億円)の達成を目指すとしている。

 18年8月にはPaid事業でGMOペイメントゲートウェイ<3769>と業務提携した。18年12月には家賃保証サービスのALEMOを子会社化した。19年6月には中国向け越境ECの強化に向けてアドウェイズ<2489>と包括業務提携した。

■会員企業数、流通額、取扱高、保証残高は増加基調

 19年4月期末のスーパーデリバリー会員小売店数は18年4月期末比2万9962店舗増の12万7162店舗、出展企業数は147社増の1419社、商材掲載数は16万3310点増の87万4943点、流通額は6.2%増の112億44百万円(国内が1.1%増、海外44.4%増)となった。

 Paid事業の加盟企業数は3300社、グループ内含む取扱高は21.0%増の230億45百万円、保証事業の保証残高は3.8倍の629億45百万円(ラクーンフィナンシャル分214億92百万円、ALEMO分414億52百万円)となった。

■19年4月期大幅増収増益・増配、20年4月期も大幅増収増益予想

 19年4月期の連結業績は、売上高が18年4月期比17.1%増の29億80百万円、EBITDAが25.1%増の6億51百万円、営業利益が25.4%増の5億48百万円、経常利益が26.5%増の5億45百万円、純利益が34.2%増の3億79百万円だった。配当は80銭増配の年間6円(期末一括)とした。配当性向は28.5%となる。

 EC事業は4.0%増収・10.8%増益だった。会員企業数および流通額が順調に増加した。フィナンシャル事業は35.1%増収・87.3%増益だった。Paid事業の取扱高、保証事業の保証残高が大幅増加した。保証事業では第3四半期から新規連結したALEMOも寄与した。

 20年4月期連結業績予想は、売上高が19年4月期比15.8%増の34億50百万円、EBITDAが24.3%増の8億10百万円、営業利益が22.1%増の6億70百万円、経常利益が22.8%増の6億70百万円、純利益が12.0%増の4億25百万円としている。配当予想は未定としている。引き続き全サービスが伸長して大幅増収増益予想である。収益拡大基調だろう。

■株価は調整一巡

 株価は上値を気鋭下げる展開だが、調整一巡して出直りを期待したい。6月27日の終値は628円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS22円89銭で算出)は約27倍、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS144円86銭で算出)は約4.3倍、時価総額は約119億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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