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トランザスは調整一巡、20年1月期黒字予想で1Qは赤字縮小
- 2019/6/28 16:03
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
トランザス<6696>(東マ)はIoT端末・機器のファブレス型メーカーである。中期成長に向けてストック型収益構造への転換を推進している。20年1月期増収・黒字予想である。第1四半期は赤字が縮小した。ストック型収益構造への転換推進で収益改善を期待したい。株価は上値の重い展開だが調整一巡して出直りを期待したい。
■IoT端末・機器のファブレス型メーカー
STB(受信端末装置)やウェアラブル端末など、IoT端末(ターミナル)や機器を製造販売するターミナルソリューション事業を展開している。ファブレス型メーカーで、製造を台湾企業に委託している。販売はSIer・商社・ソフトウェア開発事業者などのVAR(付加価値再販パートナー)企業を通じて行う。
VOD(ビデオ・オン・デマンド)などの映像受信端末装置であるSTBを、特定の機能に絞った単機能型の低価格コンピュータとして、ホテルでフロントが一括管理するルームコントロールシステムなどに活用していることが特徴である。ホテル・民泊・飲食業、物流業、製造業などの分野向けを中心に事業展開している。
19年1月期売上高構成比は、IoT端末・機器を製造販売するIoTソリューションが69%(STBの映像配信分野が56%、デジタルサイネージの販売支援分野が7%、ウェアラブル端末やIoTコントローラーの作業支援分野が5%)で、IT業務支援(システム受託開発やアプリケーションソフト開発)が31%だった。
なお20年1月期から売上区分を、IoTソリューション(Hospitality市場=ホテル・飲食等、Enterprise市場=その他企業)、IT技術(システム保守・開発等)、ITサービス(ソリューション導入後の各種ITサービス提供)とする。
■次世代VODなどを育成
中期成長に向けて、次世代VOD、ウェアラブル端末、IoTコントローラー、民泊オンライン・チェックイン・システム、ホスピタリティロボットなどを開発・育成している。
次世代VOD端末「NGH」は19年3月にシステムが完成し、某ホテルへの導入が決定している。
ウェアラブル端末「Cygnus」はカメラ、無線LAN、マイク・スピーカを搭載し、バーコード、QRコード、NFCタグの読み取りも可能なウェアラブル端末である。トランシーバ端末、工場ライン管理端末、レストラン向けオーダー端末、ロジスティクス向け端末、商品仕分端末としての導入を推進する。19年2月には生産工程管理システムを豊臣機工の本社工場に導入した。
IoTルーム・コントローラー「AIrux」は客室の家電制御や監視を可能にして宿泊施設の作業効率向上を図る。次世代VOD端末「NGH」と連動してホテル・民泊等の宿泊施設および飲食店舗への設置を推進する。
民泊オンライン・チェックイン・システム「SHISA」は19年2月導入・運用サービスを開始した。20年春までに1000室への導入を予定している。中期的には3万室への導入を目指す。
ホスピタリティロボットは、ホテルやレストラン等のホスピタリティ業務の無人化を目指している。19年2月には東京都の都営地下鉄施設内における案内・警備ロボット実証実験に警備ロボット「TRA-DeCA」が採用された。
セキュリティ機能搭載IoTルーターは、5GにおけるIoT市場のコネクティビティとセキュリティを確立するソリューションとして19年3月開発完了した。20年夏販売開始する。
19年3月には次世代デジタルサイネージのコンテンツ配信・プラットフォームの開発が完了した。またプラットフォームメディア構築に向けてNSCホールディングスとの合弁会社ピースリーを設立した。
■ストック型収益構造へ転換
収益面の特性として、案件によって四半期業績が変動しやすく、さらに納品が第2四半期や第4四半期に集中する季節要因もある。
このため映像配信分野のSTBを売り切りではなく月額・課金型サービスとして提供するなど、フロー型収益構造からストック型収益構造への転換を推進している。次世代VOD端末「NGH」は、ストック収益として中期的に客室単価1500円(月額)×20万室を目指す。
■20年1月期黒字予想で1Qは赤字縮小
20年1月期連結業績予想は、売上高が19年1月期比27.9%増の8億88百万円、営業利益が20百万円の黒字(19年1月期は1億44百万円の赤字)、経常利益が17百万円の黒字(同1億46百万円の赤字)、純利益が17百万円の黒字(同1億66百万円の赤字)としている。
売上高の計画は、IoTソリューションが5億67百万円(Hospitality市場が4億64百万円、Enterprise市場が1億03百万円)、IT技術が1億61百万円、ITサービスが1億59百万円としている。増収効果で黒字予想である。
第1四半期は売上高が前年同期比78.8%増の1億65百万円、営業利益が44百万円の赤字(前年同期は58百万円の赤字)、経常利益が44百万円の赤字(同56百万円の赤字)、純利益が44百万円の赤字(同56百万円の赤字)だった。
増収効果で赤字が縮小した。売上高はIoTソリューションが99百万円(Hospitality市場が93百万円、Enterprise市場が6百万円)、IT技術が46百万円、ITサービスが19百万円だった。
第1四半期の進捗率は低水準だが、ストック型収益構造への転換のための端境期としている。通期ベースでの収益改善を期待したい。
■株価は調整一巡
株価は上値の重い展開だが調整一巡して出直りを期待したい。6月27日の終値は944円、今期予想連結PER(今期予想連結EPS5円36銭で算出)は約176倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS380円68銭で算出)は約2.5倍、時価総額は約30億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)