インフォコムは上値試す、20年3月期2桁営業増益・連続増配予想

インフォコム<4348>(東1)は、ITサービスや電子コミック配信サービスを主力として、IoT領域などへの事業拡大も推進している。20年3月期2桁営業増益・増配予想である。株価は水準を切り上げて18年12月の上場来高値に接近している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。なお7月30日に第1四半期決算発表を予定している。

■ITサービス事業とネットビジネス事業を展開

 帝人<3401>グループで、ITサービス(医療機関・製薬企業・介護事業者向けヘルスケア事業、一般企業向けSIのエンタープライズ事業、RPAとAIを活用したERPソフト「GRANDIT」や緊急連絡・安否確認サービスなどのサービスビジネス事業)と、一般消費者向けネットビジネス(子会社アムタスの電子コミック配信サービス「めちゃコミック」、女性向け・音楽系デジタルコンテンツ提供)を展開している。

 19年3月期のセグメント別(連結調整前)売上構成比はITサービス47%、ネットビジネス53%、営業利益構成比はITサービス36%、ネットビジネス64%である。電子コミック配信サービスの拡大でネットビジネスが利益柱に成長した。なお収益面ではITサービス事業は年度末にあたる第4四半期の構成比が高い特性がある。

■電子コミックとヘルスケアで成長加速

 中期経営計画(18年3月期~20年3月期)では、基本方針を成長の追求、および成長を支える経営基盤の継続強化としている。

 成長の追求では電子コミックとヘルスケアを重点事業としてM&Aを積極推進し、AIやIoTを活用したビジネス展開も推進する。成長を支える経営基盤の継続強化では品質管理の継続強化とサービス品質向上、業務プロセス改革による効率化と社会との協業強化、人財育成強化を推進する。

 経営目標数値には、20年3月期売上高600億円~800億円(SI・サービス160億円、ヘルスケア140億円、電子コミック300億円、およびM&A200億円)、EBITDA(営業利益+償却費)70億円~100億円、重点事業(電子コミックとヘルスケア)比率70%、ROE10%以上、配当性向30%を掲げ、M&A戦略投資枠200億円を掲げている。

 18年3月には電子書籍事業大手パピレス<3641>の株式9.83%を取得、18年6月にはAI与信エンジン搭載の通信販売事業者向け後払い決済与信サービス「at score」を発表した。

 19年5月にはアムタスが、韓国で電子コミック配信サービスを展開するピーナトゥーンを子会社化した。海外市場開拓を本格化する。

■20年3月期2桁営業増益・連続増配予想

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比10.2%増の570億円、営業利益が13.2%増の78億円、経常利益が13.5%増の78億円、純利益が8.7%増の52億円としている。配当予想は19年3月1日付株式2分割遡及修正後で7円増配の年間29円(第2四半期末10円、期末19円)としている。連続増配で予想配当性向は30.5%となる。

 ネットビジネスの電子コミック配信サービスの好調が牽引し、ITサービスにおいてもヘルスケア事業が順調に推移する見込みだ。セグメント別計画は、ITサービスの売上高が3.2%増の250億円で営業利益が8.6%増の27億円、ネットビジネスの売上高が16.4%増の320億円(電子コミック配信サービスが19.5%増の318.7億円)で営業利益が16.1%増の51億円としている。

 電子コミック配信サービスはTV-CMを含めてプロモーションを強化し、韓国のピーナトゥーンを子会社化して海外市場開拓を本格化する。ヘルスケア事業は病院向けサービスや介護分野サービスを強化する。収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年9月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月30日現在で1単元(100株)以上保有株主を対象として実施している。

■株価は上値試す

 株価(18年11月28日付でJASDAQから東証1部に市場変更、19年3月1日付で株式2分割)は、水準を切り上げて18年12月の上場来高値2535円に接近している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。7月1日の終値は2485円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS95円07銭で算出)は約26倍、今期予想配当利回り(会社予想年間29円で算出)は約1.2%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS595円05銭で算出)は約4.2倍、時価総額は約1431億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る