【新規上場(IPO)銘柄】Welbyは「かかりつけ医療機関」が11,000施設を超える、下押す場面は買い妙味膨らむ

株式市場 IPO 鐘

Welby(ウェルビー)<4438>(東マ)は、本年3月29日に東京証券取引所マザーズに上場した。同社は、「Empower the Patients」を事業ミッションとしてかかげ、昨今の医療を取り巻く環境や、市民の意識の変化を受け止めて、「患者・家族が自己管理をする」ツールを医療者が後押しすることで、患者の治療や重症化予防の一助に少しでもなればとの思いでスタート。同社は、患者、医師をはじめとする医療関係者、医療業界を取り巻く製薬企業や、機器メーカー、自治体等のプレーヤーと共同でサービスの開発・運営を行っている。
 今2019年12月期第1四半期は、製薬企業からの依頼によるPHRプラットフォームの開発である「疾患ソリューションサービス」では、マルホ株式会社と皮膚領域においてニキビ患者向けの「ニキビログ」の提供を開始するなどPHRプラットフォーム適用疾患領域を拡大したほか、既存サービスからのランニング収益、改修改善のための追加受注などを着実に獲得。営業パイプライン上にある製薬メーカー等からの主に今期中に納品見込の新規案件の受注が堅調に推移したほか、自社開発ソフトウェアとしてのオンコロジー(がん全般)のサービス開発が進捗するなど、事業基盤の強化に注力。

 「Welbyマイカルテサービス」では、各医療機器メーカー、検査会社等との営業連携、サービス連携も引続き強化し、Welbyマイカルテユーザーが登録したかかりつけ医療機関は2019年3月末時点で11,000施設(無料利用施設を含む)を超えたほか、大阪市立大学における非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)患者を対象にしたモチベーション管理による脂肪肝の改善を目的とする研究で「Welbyマイカルテ」が採用されるなど、PHRデータの臨床研究における活用も進んでいる。

 今19年12月期第1四半期業績実績は、売上高1億0100万円、営業損益5000万円の赤字、経常損益6300万円の赤字、最終損益4400万円の赤字に着地。

 今19年12月期業績予想は、売上高10億2900万円(前期比34.2%増)、営業利益2億円(同28.7%増)、経常利益1億8400万円(同19.9%増)、純利益1億5600万円(同11.4% 減)を見込む。年間配当は無配を予定している。

 株価は、5月14日の上場来安値1万3900円から6月12日に上場来高値2万円と上昇。同25日安値1万4260円と売り直されて往って来い。7月1日高値1万7190円と買われた後、目先25日移動平均線を上値にモミ合っている。6月24日(月)のデジタルガレージ主催のセミナー「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2019 TOKYO」にWelbyの代表取締役比木氏が「医療でのReal World Data活用の現状と未来」について講演しており、再度、同社に対する関心が高まると予想する。今19年12月期第1四半期は、株式公開に伴う管理体制の強化や業容拡大のための人員採用の増加等、一時的な上場関連費用を計上で経常赤字となったが、同社の通常の取引形態として、製薬企業の決算期のある第1四半期と第4四半期に納品、検収となる案件が多く、特に外資系製薬企業の決算が集中する第4四半期に売上が顕著に大きくなる傾向があるため、通期業績予想は達成できる見通し。日柄調整局面となっているが、1万5000円前後まで下押す場面は買い妙味が膨らみそうだ。(株式評論家・信濃川)

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