フェローテックホールディングスは下値固め完了、20年3月期最終大幅増益予想

日インタビュ新聞ロゴ

 フェローテックホールディングス<6890>(JQ)は半導体等装置関連事業を主力としている。20年3月期は営業利益横ばいだが、特別損失一巡して最終大幅増益予想である。株価は6月の直近安値圏から反発の動きを強めている。下値固め完了して出直りを期待したい。なお8月14日に第1四半期決算発表を予定している。

■半導体等装置関連事業が主力、太陽電池関連事業は撤退方針

 半導体等装置関連事業(真空シールおよび各種製造装置向け金属加工製品、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、シリコーンウェーハ加工、装置部品洗浄など)を主力として、電子デバイス事業(サーモモジュール、パワー半導体用基板、磁性流体など)も展開している。主力の真空シールは世界シェア約6割である。19年3月には東洋刃物<5964>と資本業務提携して持分法適用関連会社化した。

 太陽電池関連事業(シリコン結晶製造装置、シリコン製品など)は撤退方針としている。当面は自社販売から撤退してOEMに特化し、OEM用途以外の設備は半導体Siパーツ構造材用途への転換を進める。またOEM継続も短期的対応であり、基本的には19年中を目途に事業撤退方針である。撤退時期については、既存設備の売却交渉や撤退に伴う様々な影響度合いによって変更の可能性がある。

 なお中国子会社FTHWが進めている半導体大口径ウェーハ工場建設工事に絡み、施行工事事業者2社から工事代金に関連した訴訟を提起された件に関して、当社の正当性を主張していくとしている。

■20年3月期最終大幅増益予想

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比2.8%増の920億円、営業利益が0.2%増の88億円、経常利益が0.5%増の81億円、そして純利益が65.2%増の47億円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間24円(第2四半期末12円、期末12円)で、予想配当性向は18.9%となる。

 売上面では半導体業界が年後半から投資再開と想定し、半導体等装置関連事業(計画8.7%増収)と電子デバイス事業(同15.5%増収)の伸長で、太陽電池関連事業(同39.4%減収)撤退影響を吸収する。営業利益は、半導体製造装置関連の8インチ量産による償却負担と太陽電池関連撤退効果の相殺で横ばい見込みである。純利益は19年3月期計上の特別損失(太陽電池関連事業撤退に伴う減損損失21億01百万円、韓国子会社のCVD―Sic事業撤退に伴うCVD炉減損損失3億05百万円など)が一巡して大幅増益予想である。

■22年3月期営業利益125億円目標

 新中期経営計画では業績目標値に、22年3月期売上高1250億円~1300億円、営業利益120億円~130億円などを掲げている。半導体市場が不透明のためレンジ目標とした。

 戦略製品の4事業への注力を推進する。22年3月期の売上高目標は半導体マテリアルが391億円(19年3月期実績286億円)、ウェーハが282億円(同72億円)、パワー半導体が70億円(同20億円)、洗浄が85億円(同35億円)としている。太陽光電池事業は消耗品販売のみにシフトして事業ポートフォリオ改善を推進する。

 設備投資は中長期ニーズを見据えて、中国におけるウェーハ量産(22年3月期目標は大・中・小口径合計で月産約88万枚体制)を推進する。設備投資額は3期間合計で約710億円を予定し、中国における中・大口径ウェーハ投資が集中する20年3月期(480億円)がピークとなる見込みだ。株主還元は業績向上に伴って増配を検討する。

■株価は下値固め完了

 株価は6月の直近安値圏から反発の動きを強めている。下値固め完了して出直りを期待したい。7月10日の終値は889円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS126円98銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間24円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1337円33銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約330億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■内蔵インヒールで自然な足長効果、フォーマルからビジネスまで対応  青山商事<8219>(東証プラ…
  2. ■デュアル周波数対応で通信の安定性を確保  世界的なDX進展を背景に京セラ<6971>(東証プライ…
  3. ■リアルタイム文字起こしと自動要約で議事録作成を効率化  シャープ<6753>(東証プライム)は2…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■低PER・高配当利回り、不動産・銀行株が市場を牽引  3月の東京都区部消費者物価指数が前年比2.…
  2. ■新年度相場のサブテーマは「物価」?!  米国のトランプ大統領は、「壊し屋」と奉る以外にない。その…
  3. ■新年度相場の初動として注目される値上げ関連銘柄  4月予定の値上げは、原材料価格上昇や物流費増加…
  4. どう見るこの相場
    ■トランプ関税懸念も『総論弱気、各論強気』の市場展開  「トランプ・ディール(取引)」と「トランプ…
  5. ■名変更会社の局地戦相場の待ち伏せ買いも一考余地  今年4月1日以降、来年4月1日まで社名変更を予…
  6. ■あの銘柄が生まれ変わる!市場を揺るがす社名変更、次なる主役は?  「トランプ・トレード」が、「ト…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る