ケイアイスター不動産は戻り試す、20年3月期増収増益予想

日インタビュ新聞ロゴ

 ケイアイスター不動産<3465>(東1)は首都圏中心に戸建分譲などの不動産事業を展開し、M&A・アライアンスも積極活用して「不動産×IT」を推進している。20年3月期増収増益予想である。IT成長戦略を加速して中期的に収益拡大を期待したい。株価は5月安値で底打ちして反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。

■戸建分譲や注文住宅などの不動産事業

首都圏中心に1次取得層向けの戸建分譲や注文住宅などの不動産事業を展開している。分譲住宅は「デザインのケイアイ」を標榜し、住宅ローンが家賃以下となる販売価格設定で「高品質だけど低価格」の住宅を提供している。

 19年3月期の売上構成比は、分譲住宅事業71%、注文住宅事業1%、中古住宅事業4%、よかタウン事業(子会社よかタウンが分譲住宅・注文住宅)12%、旭ハウジング事業(子会社旭ハウジングが神奈川県中心に分譲住宅)5%、フレスコ事業(18年8月連結子会社化したフレスコおよびフレスコの子会社おゆみ野住宅が千葉県中心に注文住宅)3%、建新事業(19年1月持分法適用関連会社の建新の株式を追加取得して連結子会社化)3%、その他1%だった。

 19年3月期の販売棟数は、分譲住宅事業(土地販売含む)が2757棟、注文住宅事業が108棟、中古住宅事業が137棟、よかタウン事業が190棟、旭ハウジング事業が139棟、フレスコ事業が注文住宅84棟、土地販売47区画、分譲住宅34棟、建新事業が注文住宅48棟、土地販売31区画、分譲住宅21棟だった。

 19年4月には千葉県柏市中心に不動産売買・仲介を行うBRエステートを子会社化した。また18年12月には海外展開への足掛かりとして、米国ハワイ州ホノルルにて不動産業を展開するLLHR社と業務提携している。

■不動産仲介会社を組織化、FC事業も開始

 販売促進に向けて不動産仲介会社の組織化を図り、17年2月「KEIAI.NET」をスタートさせた。順次エリアを拡大させて加盟店数は19年3月期末に207となった。AIによる仲介会社向け商談サポートシステムを導入し、中期的に不動産ネットワークにおける加盟店数全国NO.1を目指す方針だ。

 19年6月にはエリア毎の用地仕入と販売網の強化を図るため、FC事業「KEIAI FC」を開始すると発表した。第1号店として、群馬県高崎市に本拠を置くマイホームとFC契約を締結した。

■M&A・アライアンスを積極活用して「不動産×IT」推進

 M&A・アライアンスを積極活用して「不動産×IT」を推進している。18年4月IoT家具・建具等の木工製品を製造するKAMARQ(シンガポール)と戦略的資本業務提携、18年6月スマートセキュリティソリューション事業のSecualと戦略的資本業務提携、18年11月工期短縮・生産性向上に向けてエスクロー・エージェント・ジャパン<6093>の連結子会社ネグプランと業務提携、19年6月KAMARQの子会社でIoT蘭連システム開発のカマルクX(鹿児島県)とIoT住宅向けセンサーおよびセンシング技術の共同開発で合意した。

 19年6月にはIT成長戦略を発表した。商品力向上による付加価値創造と競争力強化、AIやRPAなどを活用したデータドリブン経営による在庫回転率や生産性向上および利益・財務体質改善、住宅分譲の既存フロービジネス強化とストック型ビジネスでの新たな収益構造構築、IT施策のグループ・加盟店への横展開およびシナジー拡大、次世代不動産ポータルサイト開発による加盟店への住宅購入見込客送客強化を推進する。

 7月2日にはIT強化を目的として、AI特化型メディアを運営するレッジのCMO中村健太氏を社外CAOとして招へいすると発表した。

■20年3月期増収増益予想

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比14.4%増の1180億円、営業利益が7.6%増の64億円、経常利益が5.7%増の61億円、純利益が9.8%増の38億円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間84円(第2四半期末42円、期末42円)で、予想配当性向は31.4%となる。

 内部体制強化に向けた積極的なIT投資で販管費が増加するが、積極的な事業展開で増収増益予想である。消費増税の影響、生産性向上や内部体制強化のためのIT投資などで、成長の踊り場として増益率は小幅見込みだが、IT成長戦略を加速して中期的に収益拡大を期待したい。

■株主優待は9月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月30日時点で1単元以上保有株主を対象として、保有株式数に応じてQUOカードを贈呈している。

■株価は戻り試す

 株価は5月安値1401円で底打ちして反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。7月10日の終値は1729円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS267円77銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間84円で算出)は約4.9%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1100円60銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約246億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■内蔵インヒールで自然な足長効果、フォーマルからビジネスまで対応  青山商事<8219>(東証プラ…
  2. ■デュアル周波数対応で通信の安定性を確保  世界的なDX進展を背景に京セラ<6971>(東証プライ…
  3. ■リアルタイム文字起こしと自動要約で議事録作成を効率化  シャープ<6753>(東証プライム)は2…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■低PER・高配当利回り、不動産・銀行株が市場を牽引  3月の東京都区部消費者物価指数が前年比2.…
  2. ■新年度相場のサブテーマは「物価」?!  米国のトランプ大統領は、「壊し屋」と奉る以外にない。その…
  3. ■新年度相場の初動として注目される値上げ関連銘柄  4月予定の値上げは、原材料価格上昇や物流費増加…
  4. どう見るこの相場
    ■トランプ関税懸念も『総論弱気、各論強気』の市場展開  「トランプ・ディール(取引)」と「トランプ…
  5. ■名変更会社の局地戦相場の待ち伏せ買いも一考余地  今年4月1日以降、来年4月1日まで社名変更を予…
  6. ■あの銘柄が生まれ変わる!市場を揺るがす社名変更、次なる主役は?  「トランプ・トレード」が、「ト…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る