寿スピリッツは年初来高値更新、20年3月期2桁増益予想で1Q大幅増収

 寿スピリッツ<2222>(東1)は「お菓子の総合プロデューサー」を企業ビジョンに掲げ、首都圏エリア強化や商品プレミアム化などの重点施策を加速している。20年3月期2桁増益予想である。7月10日に第1四半期の売上高(概算)を発表し、大幅増収(23.6%増収)と好調だった。これを好感する形で株価は年初来高値を更新した。18年2月の上場来高値を目指す展開を期待したい。なお7月29日に第1四半期決算発表を予定している。

■「お菓子の総合プロデューサー」として地域限定ブランド菓子を展開

 地域限定ブランド菓子の製造・販売を主力とする持株会社である。全国各地のお菓子のオリジナルブランドとショップブランドを創造する「お菓子の総合プロデューサー」を企業ビジョンに掲げている。さらにWSR(ワールド サプライジング リゾート)宣言を経営スローガンに掲げ、中期経営目標を売上高経常利益率20%としている。

 主要子会社(セグメント)はケイシイシイ、寿製菓・但馬寿、シュクレイ、九十九島グループ、販売子会社(東海3社、中国・九州4社、関西2社)である。シュクレイはフランセを17年4月吸収合併して生産直販型会社に移行した。

 19年3月期の販売チャンネル別売上構成比は、通信販売6.2%(うちルタオ通販4.8%)、店舗販売(直営店舗、催事)44.5%、卸売(駅・空港・高速道路SAなどの小売店、代理店卸、OEM)45.9%、海外3.2%、その他0.1%である。

 駅・空港・高速道路SAなど、交通機関チャネルでの土産品としての販売比率が高いことも特徴である。またクリスマス・年末年始・バレンタイン・ホワイトデー商戦などで、下期の構成比が高くなる季節特性もある。

■首都圏WSR化展開など重点施策が大幅伸長

 重点施策として、プレミアム・スイーツブランドの創出と育成(地域・チャンネル特性にマッチした商品開発推進、主力商品リニューアルによるバージョンアップと価格改定、販路開拓やリアル店舗と通販の融合、新業態店の拡大)、インバウンド対策の強化(国内主要国際空港における免税売店等への販売強化、直営店舗での免税対応強化)、首都圏でのWSR化展開(シュクレイの多ブランド展開推進や販路拡大、グループ各社による期間限定店舗展開の推進など)、海外展開、生産性向上による製造採算改善などを推進している。

 重点施策の19年3月期売上高は、国内主要国際空港でのインバウンドが18年3月期比32.6%増の46億05百万円、海外(台湾現地法人売上高+韓国・香港向けロイヤルティ含む国内出荷売上高)が14.0%増の13億18百万円、シュクレイ(首都圏WSR化)が20.0%増の138億60百万円だった。いずれも大幅伸長している。

 シュクレイは首都圏中心に新規出店、および既存ブランドのリロケーションを加速している。またグループ各社が地方主要地域において、各ブランドでの新規出店を推進している。ケイシイシイは、大阪・東京で新ブランドのハイブリッド型店舗展開を開始した。

■20年3月期2桁増益予想で1Q大幅増収

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比10.9%増の452億円、営業利益が16.6%増の69億70百万円、経常利益が16.4%増の70億円、純利益が14.5%増の45億50百万円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間40円(期末一括)で、予想配当性向は27.4%となる。

 引き続き首都圏およびインバウンド対策の強化、生産性向上などに取り組み、2桁増益予想である。シュクレイは新規出店や認知度向上で好調を持続する。ケイシイシイは前期の北海道胆振東部地震によるマイナス影響が一巡する。寿製菓・但馬寿および九十九島グループは生産移管の影響が第1四半期で一巡する。その他には連結子会社となったHoney Sucrey Limited(香港)を加える。

 重点施策の売上計画はインバウンドが23.8%増の57億円、海外が36.6%増の18億円、シュクレイが15.4%増の160億円、またセグメント別の売上計画はシュクレイが15.4%増収、ケイシイシイが8.2%増収、寿製菓・但馬寿が6.0%増収、販売子会社が5.8%増収、九十九島グループが14.4%増収、その他が2.3倍増収としている。

 第1四半期の売上高(概算)は前年同期比23.6%増の106億28百万円だった。重点施策が奏功し、史上初のGW10連休も追い風となり、大幅増収だった。セグメント別(連結調整前)にはシュクレイが33.4%増の36億25百万円、ケイシイシイが15.0%増の28億78百万円、寿製菓・但馬寿が12.4%増の26億90百万円、販売子会社が19.2%増の16億06百万円、九十九島グループが52.4%増の10億59百万円、その他が4.2倍の2億59百万円だった。

 通期でも好業績が期待される。そして中期的にも収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は毎年3月末の株主対象

 株主優待制度は、毎年3月末現在の100株以上保有株主を対象に、保有株式数に応じて自社グループ製品や直営店舗利用優待券を贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は年初来高値更新

 株価は第1四半期の大幅増収を好感する形で年初来高値を更新した。18年2月の上場来高値を目指す展開を期待したい。7月11日の終値は6050円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS146円21銭で算出)は約41倍、今期予想配当利回り(会社予想年間40円で算出)は約0.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS587円87銭で算出)は約10.3倍、時価総額は約1883億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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