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クリーク・アンド・リバー社は上値試す、20年2月期大幅増益予想で1Q順調
- 2019/7/16 05:03
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
クリーク・アンド・リバー社<4763>(東1)はクリエイティブ分野を中心にエージェンシー事業、プロデュース事業、ライツマネジメント事業を展開し、事業領域拡大戦略を加速している。20年2月期大幅増益・連続増配予想である。第1四半期は順調だった。通期ベースでも収益拡大を期待したい。株価は反発して年初来高値圏だ。上値を試す展開を期待したい。
■クリエイティブ分野中心にエージェンシー事業やプロデュース事業を展開
クリエイティブ分野(映画・TV番組・ゲーム・Web・広告・出版等の制作)で活躍するクリエイターを対象としたエージェンシー(派遣・紹介)事業、プロデュース(制作請負・アウトソーシング)事業、ライツマネジメント(著作権管理)事業を主力としている。
19年2月期のセグメント別売上構成比は、日本クリエイティブ分野75%、韓国クリエイティブ分野0%、医療分野13%、会計・法曹分野7%、その他(IT分野のエージェンシー事業、新規事業など)6%である。なお韓国クリエイティブ分野はTVマーケット関連事業を新設会社に承継し、18年2月期第2四半期から持分法適用関連会社としたため20年2月期からその他に含めている。
収益面では、医療分野の売上と利益が季節要因で第1四半期と第2四半期に偏重するため、全体としても上期の構成比が高い特性がある。主力の日本クリエイティブ分野は売上・営業利益とも拡大基調である。新規事業分野は人件費などの費用が先行するが順次収益化を見込んでいる。
■事業領域拡大戦略を加速
M&Aも積極活用して事業領域拡大戦略を加速し、新規エージェンシー事業として建築、ファッション、シェフ、プロフェッサー、ドローン、舞台芸術、リサーチャー(研究開発支援者)、また新規サービスとしてJURISTERRA、プロフェッショナルメディア、VR Japan、Idrasys、エコノミックインデックス、クレイテックワークス(18年7月シリコンスタジオから承継したゲームコンテンツ開発・運営事業のスタジオリボルバーを商号変更)を展開している。
ゲームコンテンツ開発・配信関連(日本クリエイティブ分野)では、クレイテックワークスが19年、自社タイトルの芸術家育成ゲーム「パレットパレード」を配信予定である。VR関連(日本クリエイティブ分野)は、企業の教育研修分野などへの拡販に取り組んでいる。
AI・ロボット関連では、18年1月AIプラットフォーム「SmartRobot」開発の台湾インツミットに出資、台湾インツミットと共同でAIを用いたシステム開発を行う新会社Idrasysを設立した。19年6月にはクラウドAIプラットフォーム「MAGELLAN BLOCKS」を使ったAI予測モデル構築支援サービスを開始した。
ファッション分野では17年12月、プライベートワークス社代表取締役社長白井崇文氏と共同で、ファッションやライフスタイル関連のインフルエンサー・マネジメント事業およびメディア事業を行う新会社forGIFTを設立した。
また18年3月東大発バイオベンチャーのCO2資源化研究所(UCDI)に出資し、水素と二酸化炭素から菌体を培養してBiofeeds(バイオフィーズ:飼料蛋白素材)やバイオ燃料の資源化を目指す研究開発に協力している。
■20年2月期大幅増益・連続増配予想で1Q順調
20年2月期の連結業績予想は、売上高が19年2月期比11.6%増の330億円、営業利益が48.8%増の23億50百万円、経常利益が48.2%増の23億50百万円、純利益が49.5%増の14億50百万円としている。配当予想は3円増配の年間15円(期末一括)としている。連続増配で予想配当性向は22.0%となる。
日本クリエイティブ分野の増収効果や売上総利益率改善効果が牽引する。本社移転に伴って家賃・償却費が増加するが、前期計上した一時的費用の一巡、新規事業の黒字化も寄与して大幅増益予想である。
セグメント別営業利益(連結調整前)の計画は、日本クリエイティブ分野が46%増の15億80百万円、医療分野が31%増の7億円、法曹・会計分野が23%増の1億80百万円、その他が5百万円の黒字としている。なお新規分野ではファッション、シェフ、プロフェッサーの黒字化を見込んでいる。また新規サービスのVR Japan、Idrasys、エコノミックインデックス、クレイテックワークスは投資段階だが、赤字幅が縮小する見込みだ。
第1四半期は、売上高が前年同期比11.8%増の82億33百万円、営業利益が1.9%増の7億88百万円、経常利益が2.6%増の7億90百万円、そして純利益が11.4%増の5億06百万円だった。
売上面では派遣・紹介を中心に既存事業が順調に推移し、新規事業も伸長して2桁増収だった。コスト面で戦略的な人員増強や本社移転によって人件費・地代家賃・償却費が増加したが、増収効果で吸収して増益だった。
セグメント別営業利益(連結調整前)は、日本クリエイティブ分野が17%減の3億44百万円、医療分野が29%増の4億72百万円、法曹・会計分野が40%増の56百万円、その他が79百万円の赤字(前年同期は34百万円の赤字)だった。新規事業は、全体では投資先行で2億25百万円の赤字だが、新規エージェンシー事業の建築、ファッション、シェフ、プロフェッサーの4分野、およびJURISTERRAを活用したコンサルティングサービスでCREEK & RIVER Globalが黒字化した。
第1四半期の進捗率は売上高25%、営業利益33%である。医療分野が第1四半期と第2四半期に偏重することを考慮しても順調だろう。通期ベースでも収益拡大を期待したい。
■株価は上値試す
株価は反発して年初来高値圏だ。7月12日には1373円まで上伸して4月の年初来高値1395円に接近している。上値を試す展開を期待したい。7月12日の終値は1358円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS68円04銭で算出)は約20倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は約1.1%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS334円90銭で算出)は約4.1倍、時価総額は約307億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)