【どう見るこの相場】マーケットの不安心理は後退したのか?キャッシュリッチの時価総額上位銘柄に期待

どう見るこの相場

■日米両市場の格差縮小にキャッチアップ?!

 「ニューヨークがくしゃみをすると、東京は風邪をひく」といわれ続けてきた。7月18日はまさにこれで、前日の米国のダウ工業株30種平均(NYダウ)が、115ドル安と続落したのが響いて日経平均株価は、422円安と3日続落し一時、心理的なフシ目の2万1000円台を下回る場面があった。しかし「逆もまた真なり」で、前週末19日は、前日のNYダウが、3ドル高しただけで、日経平均株価は420円高と急反発して前日の続落幅をほぼ埋めて、取り敢えずマーケットの不安心理が後退した。

 東京市場は、NY市場のコピー相場とされ、一段と海外投資家主導傾向を強めているから、この相関相場は致し方のないところがある。ただこの相関関係は、ここにきてやや質を変えているようにも見受けられる。米国株も日本株も上昇する「ウイン・ウイン関係」、両国株とも値下がりする「ロス・ロス関係」の正の相関度が、米国株が上昇しても日本株が値下がりする「ウイン・ロス関係」の逆相関を示す相場シーンのウエートが高まっている印象が強いのだ。例えば、米国の金利引き下げ期待で米国株が上昇しても、日米金利差の縮小で円高・ドル安が進み、日本株は、輸出関連株中心に売り先行となる格差拡大が頻発している。

しかもNYダウは史上最高値水準にあり、日経平均株価は、最高値はまだ1万7000円も遥か遠い先と大きな落差がある。この日米両市場の格差拡大は、どこからきているのか?直近では、米国のトランプ大統領の「自国第一主義」が響いている。制裁関税を武器に貿易赤字削減を求め、FRB(連邦準備制度理事会)に金利引き下げプレッシャーをかけ続け、この金融政策は、あの「昭和恐慌」を惹起させた近隣窮乏化政策の平価切下げ競争を招来させるとも悪連想される。

 もちろん日米両国民の国民性や企業経営者の企業マインドの違いも兼ねてから指摘されていたことだ。米国のインフレマインド横溢の国民性に対して、日本はなかなかデフレマインドから脱却できず、経営者マインドも、積極的にリスクを取り起業率も高い米国に対して、守りのリスクオフを選択し勝ちで廃業率も高い日本と違いが際立ち、日本企業の内部留保総額は、金融・保険業を含めるとすでに500兆円を超えている。前週末19日のNYダウは、FRB(連邦準備制度理事会)の金利引き下げ幅が、0.5%から0.25%に縮小するとの観測で68ドル安と反落しており、東京市場が相関・逆相関のどちらに反応するのか要注目となる。

 国民性や企業マインドの違いは、日本では、いまだに資産バブル破綻後の「失われた20年」の後遺症が尾を引いているのに、米国では、あの「リーマン・ショック」さえもうきれいさっぱり過去のことと忘却の彼方と去っていることにも表れている。しかも、日本のこのデフレマインドは、ここにきてまた老後生活を送るには2000万円の蓄えが不可欠との政府の報告書が明らかになったことで刺激され、今年10月から消費税が10%に引き上げられるのを前にしてさらに「節約志向」が強まる可能性がある。

 7月21日投開票の参議院選挙で、自民・公明の与党の過半数獲得が確定し、週明けのマーケットは、消費税対策やデフレマインドの根雪を溶かす経済対策などの政策催促相場が強まるだけに、この動向次第で日米両市場の格差拡大、格差縮小の相場の先行きの方向性も左右することになりそうだ。

 オールドスタンダードの金銭哲学では、「インフレではモノ、デフレではカネ」とするベストの資産選好を教えている。日本のマーケットが、この根深いデフレマインドを抱えながら日米両市場の格差縮小に向かうとしたなら、どのような銘柄が中心になるだろうか?一つ考えられるのが、「デフレはカネ」の通りにキャッシュリッチ銘柄の底上げアプローチである。このキャッシュリッチ銘柄は、ハイテク株が中心の日経平均株価の構成銘柄より、東証株価指数(TOPIX)型の時価総額上位株に多く分布している。

 折から前週末19日は、半導体関連株と並んでTOPIX型の主力銘柄の底上げが目立ち、時価総額トップのトヨタ自動車<7203>(東1)は、およそ3カ月ぶりに年初来高値を更新した。週明けは、このトヨタ自動車に追随しPBR1倍割れの時価総額上位株のボトムアップに照準を合わせるのも一法となりそうだ。

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