【編集長の視点】トーセは小幅続落も3Qの減収益業績を織り込み5G関連人気が底流し下げ渋る

トーセ<4728>(東1)は、前日22日に3円安の846円と変わらずも含めて小幅に5営業日続落して引けた。同社株は、今年7月4日に発表した今2019年8月期第3四半期(2018年9月~5月期、3Q)業績が、減益転換して着地したことがややネガティブとなって下値を探ってきたが、8月期通期業績は、期初予想通りに増収増益転換と見込んでいることも手伝い、織り込み済みとして25日移動平均線水準で下げ渋る動きもみせた。今年6月1日付けで5G(第5世代移動通信システム)やクラウドゲームなどのゲーム環境の変化に対応して組織を改革、研究開発推進部や企画開発推進部などを新設したことの再評価も続き、業績再成長期待にもつながっている。

■後ずれの家庭用ゲーム大型案件は4Qに寄与し8月期通期業績は増収増益

 同社の今期3Q業績は、売り上げ26億1500万円(前年同期比9.6%減)、営業利益2900万円(同64.9%減)、経常利益6300万円(同34.2%減)、純利益1800万円(同76.1%減)と減益転換した。デジタルエンタテインメント事業で一部の家庭用ゲームの大型案件に関して顧客の要望により仕様の追加に伴う作業量増加が発生し、開発の完了時期が第4四半期に後ずれし、販売管理費も増加したことなどが要因となった。

 ただ3Qの業績水準は、むしろ期初予想の3Q業績を上ぶれ、後ずれした大型案件の売り上げも第4四半期(2019年6月~8月期、4Q)に計上されることから、今2019年8月期業績は、期初予想通りに売り上げ53億2700万円(前期比17.9%増)、営業利益2億7100万円(同18.6%増)、経常利益3億3200万円(同24.2%増)、純利益1億9200万円(同2.4%増)と増収増益転換を見込んでいる。

 なお6月1日付けの組織改革は、ゲーム業界ではリッチコンテンツ化、4K・8K映像配信、VR・AR(仮想現実・拡張現実)などの新テクノロジーの導入が進んでおり、このキーテクノロジーとなる5G対応を一層強化することを目的としており、この高成長戦略に言及した『株式通信』を公表した今年5月27日に株価はストップ高しており、再人気化期待を高めている。

■ストップ高で開けた窓埋めが25日線水準で煮詰まり年初来高値奪回に再発進

 株価は、同社が開発を担当したNintendo Switch版「ドラゴンクエストライバルズ」の配信開始で年初来高値1034円をつけ、高値後は、再三にわたり世界同時株安の影響が波及して800円台央での中段固めをつけ、『株主通信』をポジティブに評価してストップ高、窓を開けて964円の戻り高値をつけた。足元では、3Q業績開示で下ぶれたものの、ストップ高で開けた窓埋めを25日移動平均線水準で継続し、煮詰まり感を強めている。戻り高値を奪回し年初来高値を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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